数値で見る東京都のパンデミック。無策の小池都政と大政翼賛医療デマゴギーの罪

HARBOR BUSINESS Online / 2020年7月15日 8時31分

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「映え」だけを狙った、事実上無策な小池都政における愚策と欺瞞の象徴となった「東京アラート」 まちゃー / PIXTA(ピクスタ)

◆「第一次第二波」パンデミックの渦中にある日本

 前回、合衆国の失敗をご紹介しました。そしておなじ結末へ向かいつつある日本について7月初めに引き続き論じる予定でしたが、事態は既に東京での新規感染者数の指数関数的増加を示しており、全国でも接触追跡不能の新規感染者がランダムに発生していることから東京だけでなく日本全体で第一次第二波*パンデミックが進行していると考えられます。

〈*本来、昨年12月からのパンデミックを第一波、今年10月頃からの到来を予想されるパンデミックを第二波と呼称することが一般であった。しかし全世界でパンデミックの再燃を第二波と呼称し、既に定着してしまっている。筆者は混乱を避けるため暫定的に昨年12月からのパンデミックを第一次パンデミックとし、その中でのSpike(棘)やSurge(うねり)を第一波、第二波と呼称している。その上で今年10月頃から襲来すると予想されているパンデミックを第二次パンデミックと呼称し、明確化している〉

◆「医師会検査」で統計の精度が大きく向上した東京都、7月末まで予想してみる

 今回は、2月からの第一波と異なり、少なくとも東京だけは、事態の推移を見極めることが可能なだけの最低限のPCR検査が医師会主導によって行われてきています。この検査を筆者は、「医師会検査」と呼称しています。東京都のPCR検査結果の集計方法は、日本全体とおなじでこの時代に電話FAXピーゴロゴロ、鉛筆ナメナメ人力集計と極めて非効率であることと集計方法が標準化されていないという問題がありかつ遅いです。更に恣意的数値の操作=メイキングの温床であると指摘されています。しかしこのことには目をつぶって分析して行きます。

 東京都の新規感染者数=新規陽性者数は、5/23の2名を底値に一貫して増加傾向で、6/24に55人と50人を超え、7/2に107人と100人越え、7/9に224人と200人越えで一週間ごとに倍増してきています。なお、東京アラート発動の目安の一つであった20名は、5/29に21名、6/4に34名で超えましたが、7日移動平均が20名を超えたのは6/7の21名でした。

 自然科学者ならば、6/5頃には東京での新規感染者数が指数関数にのったのではないかと疑い始めますが、ある程度科学的知識がある人でも6/20頃には東京の新規感染者数はExponential Growth(指数関数的増加)となっている事に気がついたと思います。

 現在、東京の新規感染者数は、6/16前後から7日で二倍の速度で増加しており、完全にExponential Growthとなっています。またこの新規感染者数は、発表の14日前に感染した人の数を示していると考えられており、7/12に発表された新規感染者は、6/28頃に感染したものと考えられます。従って、7/12に感染した人は、800人程度と考えられ、この人数は、7/26頃に発表されます。

 このまま社会的行動制限などの介入が行われなければ、8/2には1600名の新規感染者が報じられ、その背後では、6400名/日の新規感染者が発生することとなります。8/2時点での5/23以降の入院患者累計は、5000名程と予想され、この時点で東京都の医療はパンク寸前となっている可能性があります*。

〈*東京都は最悪のレヴェル4段階でCOVID-19による入院患者の病床を4000床、ICUを700床まで確保する計画である。現在は、レヴェル1で、入院病棟1000床、ICU100床が確保されている〉

 実際には、先の週末から新幹線がガラッガラ、公園に人が居ないなどの報告が多く見られますので、報道により自衛のために市民が自発的な社会的行動制限を始めたものと考えられ、結果として7/11頃からパンデミックへの自発的介入が始まったと考えられます。この結果が統計に表れるのは、7/24以降です。

 7/24迄に統計が発表される新規感染者は既に7/10に感染しており、その数は800名/日と見積もられます。従って、7/24の5/23以降の入院・重症患者数の累計は、2000名前後と見積もられ、この数は現時点での東京都のCOVID-19対応病床数を特設分も含めた3000床*に高い圧力を加えます。7/24までは、ほぼ確定した未来と言えます。それよりあとは、7/11以降の介入次第で変えることができます。

〈*東京都 病床3000床確保など医療体制強化へ 新型コロナ 2020/07/09 NHK〉

◆第一次第一波パンデミックではどうだったのか

 3月から4月の第一次第一波パンデミックでは、検査数が現在の1/10未満のため、大量の感染者の取りこぼしがあり、統計の精度はかなり低いものであったと考えられます。そのため現在の統計と数値の直接比較はできませんが、その傾向から学ぶものは多くあります。

 第一次第一波パンデミックの時、東京では、4/10の199名をピークに新規陽性者数が減少傾向に転じています(4/10の199名はその背後に検査抑制による莫大な見逃し感染者がいますので、現在の200名とは直接比較はできません)。従って当時の東京では、3/27前後に新規感染者は減少に転じたものと考えて良いです。これは、花見自粛が求められ*、実際に人出が激減した3月最週末に該当します。また3/25には志村けん氏の感染、その後の短時間での重体化が報じられ**、市民に衝撃を与えていました。(諸外国でもトップスター級の著名人がCOVID-19に感染、死亡等すると市民の行動に強い影響をもたらしている。)

〈*都立公園の花見自粛要請 東京都、上野公園など一部通行止めへ2020/03/27産経新聞〉

〈**志村けんさんが新型コロナ感染 重症の肺炎で入院 濃厚接触者は自宅待機2020/03/25毎日新聞〉

 従って、市民による自主的な社会的行動制限という介入は、3/26頃から始まり、ウィルスの増殖を大きく抑制していったものと考えられます。残念ながら、当時の検査数は、50人〜250/日程度と現在の1/50〜1/10程度しか無く、統計の精度が著しく低いために精査することは困難ですし、現在の数値との直接の比較はできません。

 志村けん氏のCOVID-19発病と入院が報じられて10日後、日本政府は漸く緊急事態宣言をだしましたが、新規感染者数の7日移動平均からは4/24前後から(日々統計では4/19前後から)その効果と考えられるものが現れています。

 ここで注意すべきは、自粛や政府による介入が行われても実際にその効果が統計に現れるのは14日後頃ということです。

 仮に7/11から自発的社会的行動制限という介入が行われてもそれによって新規感染者数増加の統計が影響を受けるのは7/24頃であり、そこまでは5/23以降の新規感染者数の指数関数的増加から、かなり正確に予測が可能であるということです。そしてその予測は、速やかに大規模な公的介入=社会的行動制限を行わなければ東京都の医療機関は8月にも新型コロナウイルスに圧倒されてしまう可能性があるということを示しています。

◆実はごく一般的な自然科学・工学的現象

 感染症学の専門家ではない筆者が、ここまで数字を挙げて予測可能なのは、指数関数的増加に乗った以上、SARS-CoV-2(新型コロナウィルス)への感染者数ほかは、一般的な自然現象、工学的現象と全く同じであるためです。そして勿論、過去2か月間の医師会検査による知見の蓄積が大きく寄与しています。

 パンデミックは、筆者にとっては原子炉内でのプルトニウムの増殖と全く同じ扱いができます。東京都が原子炉炉心、人間が核燃料および増殖ブランケット、社会的行動制限を制御棒など、新型コロナウィルスを中性子とすれば、次のような超高性能増殖炉となります。

増殖比(実効再生産数) 1.5〜2.0(もんじゅでは1.1)

増倍時間(倍加時間)7-8日(もんじゅでは10年)

 これに気がついたとき、筆者はちょっとシビれてしまいました。筆者は原子炉中の核燃料の挙動で考えますが、他の多くの自然現象、工学的現象とも対比できます。

◆実効再生産数R0をみる

 次に重要指標とされる実効再生産数を見ましょう。実効再生産数は、ウィルス感染者一人が何人に感染させているかを示すもので、1.0を下回れば感染者は減少、1.0を上回れば感染者は増加します。

 日本における新型コロナウィルスの実効再生産数は「8割おじさん」こと北海道大学の西浦博博士のモデルを用いたものが東洋経済オンラインに、インスタグラム創業者の一人であるKevin Systrom氏らによるモデルを用いたものが二人の学生さんによりRt Covid-19 Japan として公開されています。

 筆者は、6月中旬からこれら二つを比較してきましたが、計算式の違い、採用する統計の違いからやや挙動が異なるものの、両者はだいたい一致しており、東京については信頼置けるものと考えています。東京ではR0が意思決定に使える程度に信頼できるのは、統計が最低限度の質を備えている、要するに医師会検査の実施によって検査母集団が統計として信頼できる最低限の規模を唯一満たしているからです。実際、他道府県のR0は検査数第二位の大阪であっても日々激しく変動し、その変動は90%信頼区間を越えることもあるため、あまり使い物になりません。

 感染症対策において数字は極めて重要で、船においては見張り、航海用レーダー、捜索用レーダー、射撃用レーダーに該当し、これらが無かったり精度が低ければ、耳栓と目隠しをして霧の東京湾を新月の深夜に航海するようなものです。

 他の道府県と東京都の挙動を比較すると、やはり最低でも一千万人あたり一日数千件の検査数が安定して行われなければ、実効再生産数はまともに算出されないというもので、東京都を除くほとんどの道府県は、帝国海軍の如くガラクタ電探(レーダー)で闘い、敵=ウィルスに簀巻き(すまき)にされているようなものでしょう。

 東京では、6/1頃からほぼ一貫して実効再生産数R0が1.0を超えており、パンデミック対策において重大な事態が続いています。未だに国も都も積極的介入に動かないのは殺人行為そのものです。一方で、市民による自発的介入が行われている兆候があります。

◆より簡便で有用な週次陽性者増減比をみる

 東京では、実効再生産数がパンデミックの実態を把握することに使えますが、中身がブラックボックスになりやすいという問題があります。実際には、週次陽性者増減比というものが使われることが多いです。これは、一週間の新規感染者数の合計をその前一週間の新規感染者数で割ったもので、中学生でも自分で計算できます。東京都はこれも公開してきています。

 週次陽性者増減比は、中学生でも計算できる簡単な指標ですが、たいへん優秀で、この数値が1.0を超えれば週次で陽性者は増加し、1.0を割れば減少していることになります。東京都は5/28に週次陽性者増減比が1.0を超え、その後もほぼ一貫して1.0を超えており、現在1.8前後で安定しています。

 この数字から計算した現在の増倍時間=倍加時間は、8日で、新規感染者数の日時推移から読み取った7日とほぼ一致します。

 従って現在東京都では、約一週間ごとに新規感染者数が倍増しているという事になります。勿論、自主的な社会的行動制限や公的な社会的行動制限によって日数が伸びることになりますが、一方で今数値として表れているものは二週間前の事実であり、今介入を始めてもその結果が統計に現れるのは、およそ二週間後です。この時間差は必ず念頭に置いて対策を考えねばなりません。

 ここで第一次第一波パンデミックにおいてこの指標(週次陽性者増減比)がどうであったかを見てみましょう。

 東京都における週次陽性者増減比をみますと、第一次第一波パンデミックにおいて最も増加傾向が強かった(微分係数が最大な)のは、3/29(実際には3/15頃)で陽性者数の増減が減少に転じたのは4/19(実際には4/5頃)となります。この当時の検査数は極めて過少でしたが、そうであってもとくに3月下旬のオリンピック延期決定前後に始まった都民による自主的介入、社会的行動制限の影響が大きかったことが読み取れます。実は、4/6の緊急事態宣言による介入の効果は余り見いだせないのですが、これは既に3月第4、第5週にかけて行われた市民による自主的介入の効果がたいへんに大きかったことと緊急事態宣言によってそれ以降の介入による社会的行動制限の継続が効果を挙げたことが考えられます。ですから緊急事態宣言が4/6であったことも結果的にはある程度役に立っています。

◆都合の悪い統計は隠しますByブレジネフ東京都知事

 このように、中学生でも計算できる簡単で直感的な指数からも感染症対策の過去と現在と未来を見通すことができます。とても優れた指標です。

 ところでグラフに変なことが書いてあります。

「本グラフは、新たなモニタリング項目から除外されたこと、日々公開している陽性者数から算出可能であることから、7月17日をもって削除いたします。」

 これは酷い話です。

 小池都政は、「東京アラート」では、橋を赤く照らして業者を儲けさせただけで実際にパンデミックの兆候が見えてくると東京アラートを廃止*し基準を変えてしまいました**。更に新たな基準もパンデミックの進行が基準に抵触する度に変更し続け、とうとう数値基準は撤廃、東京都知事の考え次第とし、統計も入れ替え、事態の推移を見ることに最も適した週次陽性者増減比を排除し、消してしまうことにしました***。実のところ、公開されている統計にもあちこちに恣意的な操作がなされており、深刻な問題を抱えていると指摘されています****。

〈*新たなコロナ警戒の目安なし 都が東京アラートの運用終了、軸足は経済に2020/06/13東京新聞〉

〈**感染者増、東京アラート出さない都庁 逆に指標を見直す [新型コロナウイルス]2020/06/15朝日新聞〉

〈***東京都、休業要請の数値基準廃止 感染監視で新指標―新型コロナ2020/06/30時事通信

〈****東京都が発表している陽性者数makirintaro氏のブログrenormalization〉

 このように現代史において政治家の失敗や都合で基準や統計を消す前例として極めて有名なのは旧ソ連邦のブレジネフ政権末期、1976年頃から1986年のグラースノスチ開始までです。

 旧ソ連邦では、ブレジネフ政権による内政の大失敗によって国は急速に疲弊してゆき、見かけの外交の華々しさに反して、鉄道などのインフラは維持ができず疲弊し事故や故障が相次ぎ、農業生産は低迷、市民の健康状態も悪化、とくに有名な事例では、平均寿命が毎年低下し男性で60歳を割り込むことになりました。この頃になると次々にソ連邦の統計は発表されなくなり、勿論平均寿命も発表されなくなったため、むしろ世界はソ連邦の社会の疲弊を広く知ることになりました*。

〈*『ソ連経済と統計―ゴルバチョフ経済政策の評価』島村史郎編著 東洋経済新報社 1989年8月1日:本書は極めて優れているが、なにより素晴らしいのは、現在の本邦の陥っている隘路を的確に指摘していることである。本邦は、ブレジネフ末期以降のソ連邦と酷似しているというのが牧田の考えである。ただし、ソ連邦の官僚は原簿を死守して後世に残したので、のちに統計の修復や政治犯の第二次大戦前後まで遡っての名誉回復が行われている。この点で本邦と根本的に異なり優れている〉

 政治家が、不都合な統計を消す。まさに小池都政です。西新宿の老朽化したツインビル「緑のクレムリン」におわす、「レオニード・小池・ブレジネフ」の名を差し上げましょう。

 小池都政のやっていることはブレジネフ末期のソ連邦そっくりで、派手な外交=メディア演出にご執心で、内政は完全に失敗、モスクワオリンピックも無意味なアフガニスタン侵攻で合衆国、カナダ、日本ほか西側諸国の一部、中国、アジア諸国、アフリカと南米の一部諸国によるボイコットで大失敗と、小池都政の模範となっています。但し、ブレジネフ時代のソ連邦でも労働者はアル中になっても餓死はしなかったとされており、その点は本物のブレジネフが圧倒的にマシです。

 そのうちマトリョシカ(ロシアの民芸品の入れ子人形、日本の入れ子人形が源流とされる)のなかにおが屑として詰め込まれるかもしれません。

◆検査陽性率がみせるマズい兆候

 ここで話を戻して、東京都における検査陽性率を見ます。検査陽性率は、たいへんに重要な指標で、検査が足りているかを判断できます。一般的なサンプリングの考えから、陽性率が10%を超えると検査が不足する「検査負け」の状態であり、検査結果の統計と現実との乖離が大きくなります。また感染症拡大、縮小は、周期的な現象ではありませんので陽性者数の10倍の検査数でも不足で、パンデミックの制圧にほぼ成功したニューヨーク州では、検査陽性率2%未満を維持してきています。検査数が多い=サンプリングレートが高いと言うことは、データの取りこぼしが少なく、感染者の見落としが少ないことを示し、現状把握には重要です*。

〈*デジタルストレージオシロスコープのサンプリング周波数で考えると理解しやすい〉

 東京都の検査陽性率は、7日移動平均で5/22の0.8%を最低値に5/23より上昇基調で、6/19に2.1%と2%を超え、ニューヨーク州の上限値目安を超えました。7/10には5.9%となっており、このままでは7月中旬には10%を超える可能性があります。新規感染者数が増加し続ける以上、検査数は増やさねばなりません。

 現在、東京都の検査態勢は辛うじて感染者の増加に追従できていますが、新規陽性者数の指数関数的増加が今後も続けば月末には東京だけで2万人/日の検査能力が必要となります。

 東京都の検査陽性率は、第一次第一波パンデミックでは検査数の不足から4/11には31.7%とたいへんに高い値を示しましたが、5/1には10%迄下がりました。その後5/7から医師会検査が1000件/日を超えて実施され、これにより陽性率は一挙に4.3%迄下がり、5/19〜5/22には、最低値の0.8%を示しました。

 そうです。検査を増やせば感染者が増えるのではなく、検査陽性率が下がるのです。検査陽性率が下がればそれだけ統計の信頼性が向上します。東京都は5/22まではたいへんに良好な傾向を示し、パンデミックを制圧できるかに見えましたが、その後の失策によって現在の深刻な状態に陥っています。

◆「検査を増やしたから陽性者が増えた」は悪質エセ医療デマゴギー

 日本特有の国策翼賛医療デマゴギーとして根強いのが、検査を増やせば患者=陽性者が増えると言うものがあり、東京の動向についてもこのデマゴギーが流布されました。ブログ医者やTwitter医者にもこの傾向が極めて強く情けない限りです。

 まず日本を除く世界共通の大前提。

「検査が感染者を増やすのでは無い。感染者を増やすのはウィルスだ。(”No,President Trump,Testing Is Not Causing Case to Rise.The Virus Is Just Spreading Faster.”)」

 これは日本を除く全世界の医療関係者、研究者が、CNN・BBCほか様々な媒体で口を揃えてタルサで始まったトランプ氏のデマゴギーに対して行った反論です。

 東京都は、5月連休明け発表分から医師会検査が本格稼働し、公開されてきました。これにより東京のPCR検査数は、それまでの200人/日から直ちに1000人/日以上、その後も漸増し、6月は2000人/日近く、現在は3000人/日前後となっています。

 東京都では5/7発表分から一挙に1000人/日の検査数が増えましたが、東京都での新規感染者数は、5/23まで一貫して減り続け、ゆっくりとした増加に転じたのは5/24発表分からです。この間も検査数は2000人/日近くまで漸増していました。現実には、むしろ6月下旬からの指数関数的新規陽性者の増加に対応するために検査数を増やしている現実があり、それでも「検査負け」によって検査陽性率が増大中です。

 従って、「検査数が増えたから新規感染者が増えた。」という主張は全く根拠がありません。完全に無根拠の空想で嘘です。

「東京では、PCR検査を増やしたから感染者数が増えたのだ」というきわめて悪質なエセ医療デマゴギーについては、INFACT でも誤りと判定されています*。

〈*[新型コロナFactCheck] 「(6月中旬)東京都が桁違いに検査数を増やした」は本当か? 2020/07/03 インファクト〉

◆検査は多ければ多いほど良いこれ世界標準

 極めて早期に的確に介入し、パンデミックを制圧した台湾という例外を除き、全世界では、徹底した検査によって市中の感染者を発見し、隔離、治療、追跡、検査を繰り返すことで新型コロナパンデミックと闘っています。そして感染症を制圧し、経済活動再開に向けて正攻法で成功しつつある国も多くなってきました。

 一方で日本は、徹底した検査抑制を国策によっておこない、結果として大規模な第一次第二波パンデミックが全国で進行しており、世界に大きく取り残されつつあります。

 日本は、東部アジア・大洋州(カンボジア以東の東アジア、東南アジア、大洋州)を覆う謎々効果(4月末から5月にかけて世界的にその存在が合意されたことで、何故かこの地域ではCOVID-19によるパンデミックの威力が他の地域の1/100である。筆者はこれを3月から謎々効果と仮称している)によって守られているのにかかわらず、合衆国と同様の失敗で、経済活動再開に大失敗をし、状況は3月末に巻き戻っています。

◆ジャパンオリジナル!医療右翼による国策翼賛医療デマゴギーの蔓延

 WHOのテドロス事務局長と新型コロナウィルス対策タスクフォースのファウチ博士を代表として、世界中の公衆衛生当局、感染症対策の専門家や責任者が口を揃えてTEST, TEST, TEST, TEST, Check, Trace and Quarantineと繰り返すのに対し、本邦のみ「検査は感染者を増やす」「検査で医療崩壊する」などといった医療右翼による国策翼賛医療デマゴギーが幅を利かせ検査を抑制した挙げ句、市中に大量の未把握感染者を取り残し、トランプ政権による教科書的失敗で大規模パンデミックに見舞われている合衆国に続き大規模な第一次第二波パンデミックを起こしています。

 この医療右翼による国策翼賛医療デマゴギーは、医療関係者に支持され、こともあろうに一部のおかしな医師や医学研究者、医師会などが全国津々浦々に撒き散らし、現在の深刻な状況を招きました。そして本来は招来せずに済んだ医療への巨大な圧力となり、膨大な人数にのぼる医療関係者の首を締め付けはじめています。

 この医療右翼による国策翼賛医療デマゴギーは、福島核災害でも、薬害エイズなど各種薬害、公害病でも見られた日本独特のものですが、今回はとくに悪質で、日本人の集団自殺になりかねないものです。

 この医療右翼による国策翼賛医療デマゴギーは、一見、科学、医学を装っており、迂闊ものに諸手を挙げて歓迎されましたが、大学教養部程度の思考力と知識があれば誰でも容易にその嘘を見抜ける代物で、典型的なエセ科学、エセ医療デマゴギーと言えます。

 5月来、準備してきましたが、次回からいよいよジャパンオリジナル、医療右翼による国策翼賛医療デマゴギー=エセ医療デマゴギーの正体を暴きます。

◆コロラド博士の「私はこの分野は専門外なのですが」新型コロナ感染症シリーズ15

<文/牧田寛>

【牧田寛】

Twitter ID:@BB45_Colorado

まきた ひろし●著述家・工学博士。徳島大学助手を経て高知工科大学助教、元コロラド大学コロラドスプリングス校客員教授。勤務先大学との関係が著しく悪化し心身を痛めた後解雇。1年半の沈黙の後著述家として再起。本来の専門は、分子反応論、錯体化学、鉱物化学、ワイドギャップ半導体だが、原子力及び核、軍事については、独自に調査・取材を進めてきた。原発問題について、そして2020年4月からは新型コロナウィルス・パンデミックについてのメルマガ「コロラド博士メルマガ(定期便)」好評配信中

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