新型コロナ対策としての、パチンコ店の「行列対策」が画期的な理由

HARBOR BUSINESS Online / 2020年7月16日 8時33分

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desidesi / PIXTA(ピクスタ)

◆ウィズコロナ下でのパチンコ店の課題

 ウィズコロナの新しい生活様式におけるパチンコ店の営業にとって、パチンコ店がクラスターの発生源にはなりにくいということが広く世間に浸透し始めているところではあるが、しかしパチンコ店の営業のすべてのシチュエーションが「安心安全」というには、パチンコ店側にもいくつか課題が残されている。

 その悩みの種の一つが開店前の客の行列問題である。

 全国のすべてのパチンコ店に行列が出来る訳ではないのだが、繁盛店であれば平日であっても一定の行列が出来るし、週末や祝日等の日には数百人の行列が出来る店もままある。密集や密接を極力避けなければならない現状において、各店とも行列する人たちの間隔を開けたり入場時間の抽選時間をずらしたりと様々に対策を講じているが、やはりパチンコ店にネガティブな感情を持つ人たちにとっては危険視されやすい状況であることは間違いない。

 そのような中、パチンコ業界の新たなチャレンジが始まっている。開店前の客の行列を最小化するためのオンライン抽選である。

◆オンライン抽選なら後から並んでも入場順が一番になる可能性が

 東京都千代田区にあるアイランド秋葉原店は全国でも有数の「行列店」である。設置総台数581台に対して2000人から3000人が行列を作る日もあるほどの有名店だ(参考記事:全国のパチンコ店が、一斉に鹿目まどかの誕生日を祝った謎)。

 遊技機の設置台数が600台満たないのに、なぜ2000人以上も並ぶのか不思議に思う読者もいるだろう。

 一般的なパチンコ店の入場システムについて簡潔に説明するならば、開店前に多数の客の行列が予測できる場合は、先着順の入場ではなく、事前抽選により入場順を決めることが多い。先着順の場合、朝早くから行列を作り近隣住民や店舗に迷惑を掛けたり、また徹夜組が出没したりする問題が発生するからだ。

 抽選方式の場合、お店が指定する抽選時間に間に合いさえすれば、仮に2000番目の抽選でも入場順が1番になる可能性もあるのだ。

 7月7日。

 この日は、ラッキーセブンのゾロ目の日ということで、パチンコ店は否が応にも盛り上がる。正確に言えば盛り上がるのは客のほうで、その客の期待感を受けたパチンコ店側でも相応の出玉(パチスロの高設定台の投入)で迎えるところも多い。

 一部サイトにはコロナウイルスの感染が収束していない状況にも関わらず秋葉原のパチンコ店に5000人以上の客が並んだという不正確な記事が掲載されたりもしたが、この5000人という数字はアイランド秋葉原店のオンライン抽選に参加した人数である。

 その抽選方法は、当日の午前8時までに「抽選参加登録」をまず済ませる。この数字が5844名である。

 その後登録者は各自抽選を済ませ、午前9時半までに「来店意向」をネット上で表明する。アイランド秋葉原店では、この「来店意向」をネット上に登録する際に、客の位置情報も確認しており、実際に開店時間に間に合う(到達可能範囲内にいる)客のみが「来店意向」を表明することが出来る。ちなみに7月7日に同店への来店意向表明者数は1177名であった。

◆登録時には顔認証も導入し不正を防ぐ

 このオンライン抽選ではまた、初期登録時にユーザーの顔写真の登録も義務付けている。替え玉抽選や抽選番号の売買を防ぐ事が目的だ。

 結果的にアイランド秋葉原店では、開店10分前の午前9時50分に400名を速やかに並ばせ入場させ、抽選番号401番以降の人たちは開店時間が過ぎた10時10分に集合させることにより、入場時の過密状態を回避している。

 7月7日にオンライン抽選を実施したのはアイランド秋葉原店だけではない。都市部の人気大型店舗のうち少なくないパチンコ店では当日オンライン抽選を実施した。

 しかし一部の店舗では、アクセスの集中によりサイトのサーバーがダウンしてしまい逆に混乱をきたしたところもあった。マルハン新宿東宝ビル店では、サーバーダウンにより当初の抽選番号通りの入場実施を行えず改めて店舗前での再抽選を行った。

◆パチンコ店のオンライン抽選は他業界にも画期的な提案となる

 もちろん店舗側ではそのような事態を想定し、事前に「サーバーダウン等のトラブルの際の対応」も事前に告知していたのだが、一部SNSやまとめサイトではこの際に客による暴動が起こったであるとか、けが人が出て救急隊員が駆け付けたであるとかのデマが流れた。

 その点については店舗の公式アカウントが否定をしているが、まあ抽選で若い番号を引いた客からすれば迷惑千万な話であったろうが。

 パチンコ店におけるコロナウイルス感染症対策として、開店前に行列を作らないオンライン抽選は、政府が目指す「新しい生活様式」に沿うものではあるのだろうが、同日同時間帯に多くのユーザーからのアクセスが集中することによるトラブルもあり、まだまだ改善点の余地はある。

 ユニクロのエアリズムマスク販売時の報道がそうであったように、現状のコロナ禍において、「客の行列」というのはニュース報道にも取り上げられやすく、企業や業界のイメージダウンに直結しやすい。

 パチンコ店が積極的に取り入れようとしている専用のオンライン抽選システムは、顔認証から位置情報までをも網羅しておりシステムとしての完成度も高く、他業種他業界への汎用性にも優れている。

 サービス業を始めとした客商売を主とする人たちは、パチンコに興味がなくとも、このオンライン抽選システムを一度体験してみるのも一興かも知れない。

<取材・文/安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi

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