選挙対策でコロナ感染者拡大の兆候を放置、その責任を都民に転嫁する小池百合子知事

HARBOR BUSINESS Online / 2020年7月27日 8時31分

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パネルを持って都民に呼び掛ける小池知事。写真は7月17日の都知事会見

◆小池都知事の“無策”が感染者数の増加を招いた

「東京をはじめ、過去最多の新型コロナウイルス感染者数を記録していることについて、小池百合子都知事に重大な責任がある」と指摘する記事が、7月25日配信の『夕刊フジ』に掲載された。

 タイトルは「小池都知事“無策”で感染者数増加『全国拡大は東京起点の疑い』中原英臣氏が指摘」というもので、まず西武学園医学技術専門学校東京校校長で医学博士の中原英臣氏の話を以下のように紹介したうえで、「(小池知事は)『東京問題』をみずから解決する気はないのか」と結んでいた。

「『東京アラート』も都知事選を前に解除され、大丈夫だと言っているうちに感染者が急増してしまった」「東京から地方へ移動した後、感染が確認される事例が増えており、全国的な感染拡大は東京が起点であると言わざるを得ない」(中原氏)

 菅義偉官房長官が北海道講演で口にした「東京問題」は、「小池百合子・都知事問題」だったのだ。都知事選対策を優先してコロナ対応を後回しにした結果、まず都内で過去最多の感染者を記録、そして第二波として全国に広まってしまったということだ。

◆「なぜ東京アラートの指標をなくしたのか?」の問いは無視

 都知事選投開票2日前の、7月3日の都知事会見。この日も私は指名されなかったので、会見終了直後、TBSの金平茂紀記者に続いて恒例の声かけ質問をした。

 私が会見終了後に“声かけ質問”をしているのには訳がある。小池知事は、わずか40分前後の会見の中で、答えやすい質問をしてくれる記者ばかりを指名する。そのため、私はずっと会見で挙手しているにもかかわらず、30回以上会見で指名されないままでいるからだ(一連の“声かけ質問”や直撃取材の内容については、8月7日発売の『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』で詳細に伝えている)。

 この日は、私よりも先に金平記者が会見への不満を口にした。

金平記者:知事、仲間うちだけ当てないでくださいよ。

小池知事:お顔が見えませんので、失礼しました。

金平記者:ちょっといいですか。

小池知事:(再質問は受けつけず、無言のまま立ち去っていく)

横田:知事、選挙優先で(外出自粛要請の)解除を急いだのではないですか。形だけの「東京アラート」が問題だったのではないですか?

 

 私の質問は、レインボーブリッジなどを赤に染める「東京アラート」をなぜ点滅させなかったのかを問い質すものだった。『夕刊フジ』の記事でコメントしていた中原氏と、問題意識を共有していたともいえる。

 小池知事は「1日あたりの新たな感染者が20人以上」「感染経路不明の割合が50%以上」「週単位の感染者増加比が1以上」という東京アラートを解除するか否かの指標を作った。それなのに、途中で自ら数値目標による指標を削除してしまっていたのだ。

◆感染拡大の兆候を隠蔽・改竄した

 ちなみに都民に警戒を呼びかける東京アラートが初めて発動されたのは、感染者が34人となった6月2日のこと。そして2期目の都知事選立候補を表明した前日の6月11日に東京アラートを解除。都内の休業要請の目安となるロードマップも「ステップ3」に戻して外出自粛要請のレベルを緩めた。「小池都政のコロナ対策が成功して第一波を抑え込んだ」と印象づけたうえで、2期目を目指すと出馬表明したのだ。

 しかし都政ウオッチャーは、この“小池劇場”を冷ややかに見ていた。

「感染者数が減って東京アラートが解除されたまま、都知事選の告示日(6月18日)を迎えようとしたが、また感染者数が増加に転じてしまった。しかし、いったん解除した東京アラートが再び赤に戻ると、『小池都政のコロナ対策は不十分だった』と批判されかねない。そこで小池知事は、数値目標をなくして東京アラートが再点滅しないようにしたのは間違いない。『何のための東京アラートなのか』という批判が他候補から出たのは当然でした」

 まさに小池知事は、感染拡大の兆候を隠蔽・改竄したに等しい。「選挙(自分)ファースト・都民二の次」と批判されても仕方がない。本来ならいったん緩めたコロナ対策を再び強化すべき危うい時期だったというのに、東京アラート解除をした状態を放置した。

 このせいで、都民の間に「外出自粛を緩めても大丈夫」という気の緩みが広がったのは間違いない。この都知事選中の甘い対応が投開票前の感染者数100人超えを招き、小池知事再選後には過去最高の感染者数を何度も更新することになったのだ。

◆感染拡大の責任を棚上げし、「都民の努力不足」に責任転嫁!?

 2日連続で感染者が240人を超えた7月10日、小池知事が2期目初の定例会見でどんな釈明をするのかが注目されたが、ここで口にしたのは「都民の努力不足」と言わんばかりの責任転嫁だった。「東京問題」を解決する意欲が感じられない小池知事の弁明は、次の通りだ。

「みなさま方に改めて申し上げますと、いま出ている数字もやはり2週間前の一人ひとりの行動がこのような形で数字になって表れているということは、ずっと変わらないわけですね」

「みなさんが気をつけていただき、経営者としても気をつけていただいて、新しい日常を作っていくという、その過程でございます」

 本当なら「東京アラート」を赤に再点滅させて都民一人ひとりと警戒心を共有するべきだったのに、それをしなかった自らの職務怠慢を棚に上げたのだ。

◆「大阪モデル」以下の“欠陥商品”でしかなかった

 この日も私は指名されなかったので、小池知事再選後の定例会見で初めての声かけ質問をした。

横田:知事、都知事選中の甘い対応が過去最高の感染者数を招いたのではないですか。選挙ファースト、自分ファーストではないですか? 知事選圧勝で総理ポストを目指すことしか考えていないのではないですか?

小池:(無言のまま会見場を立ち去る)

 2期目になっても、権力の階段を登り詰めることしか考えていない姿勢が浮き彫りになったような気がした。

 もともと「東京アラート」は、コロナ対策で人気急上昇をした吉村洋文・大阪府知事の「やってる感演出」の一環、「大阪モデル」の真似だった。コロナウイルス感染拡大に伴う自粛要請・解除について大阪独自の基準「大阪モデル」を作った吉村府政は、その警戒基準として「赤色(警戒レベル)」と「黄色(注意喚起レベル)」と「緑色(基準内」の3段階を設けた。

 そして、5月11日から通天閣や大阪城、万博跡地の「太陽の塔」をライトアップすることになった。3日後の14日には、「大阪モデル」の基準(数値目標)が7日連続でクリアされたことから点滅当初の「黄色」から「緑色」へと変わった。

 もちろん、この「大阪モデル」も感染症対策として科学的根拠に欠けた「やってる感」演出の一環に過ぎないほとんど意味のないシロモノだったが、小池はこの「ライトアップ」を評価し、同じようにコロナ感染拡大の警戒レベルを決める東京都独自の基準(数値目標)を作って「東京アラート」と名づけて、レインボーブリッジや都庁での点滅を始めたのだ。

「東京アラート」で吉村知事と同じく支持率アップが期待できると目論んだに違いないが、見かけはほぼ同じでも、中身は大阪モデルよりさらに科学的根拠に欠けた「それ以下」のシロモノだった。

「大阪モデル」の場合、科学的根拠に欠けたものであったが、数値目標を簡単に廃止すること無く、その結果吉村府政では7月13日、それまで「緑」だった通天閣に「黄色」のライトが再点灯することになった。「新規の感染経路不明者(直近7日間平均で10人以上)」「経路不明者数の前週比(同2倍以上)」「直近7日間の累積新規感染者数(計120人以上かつ後半3日間で半数以上)」の基準を上回ったためだった。

 これに比べて小池都政では、感染者数100人超えが続いてもレインボーブリッジが再び「赤色」でライトアップされることはなかった。都民の感染拡大防止には役に立たない、“欠陥商品”でしかなかったということだ。

 都知事選中の甘い対応を反省せず、自らの職務怠慢を棚に上げて「都民の努力不足」に責任転嫁をする小池都知事こそ、都内で300人を超える過去最多の感染者を招き、全国にコロナ第二波を広げた最大の原因だといえる。

<文・写真/横田一>

【横田一】

ジャーナリスト。8月7日に新刊『仮面 虚飾の女帝・小池百合子』(扶桑社)を刊行。他に、小泉純一郎元首相の「原発ゼロ」に関する発言をまとめた『黙って寝てはいられない』(小泉純一郎/談、吉原毅/編)の編集協力、『検証・小池都政』(緑風出版)など著書多数

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