東京都はコロナ禍をいつまで持ち堪えられるのか? 舛添要一氏が小池都政と安倍政権のコロナ対応を斬る!

HARBOR BUSINESS Online / 2020年8月9日 8時33分

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圧倒的支持率で再選した小池都知事だが、コロナ対策では妙案を提示できぬままだ 写真:産経新聞社

◆「検査と隔離」をやらなかった小池都政は初動から誤っていた

 年始から世界中を混乱に陥れている新型コロナウイルスには各国が対応に苦慮しているが、残念ながら我が国は特に後手に回っている印象だ。特に日本経済の要である東京では緊急事態宣言が解除されて1か月後の7月上旬から軒並み一日の感染者数が200人を超し、小池都知事はついに最高レベルの警戒を宣言した。そんな都政のコロナ対策に、元東京都知事の舛添要一氏は苦言を呈する。

「現在、感染者が増えているのはPCR検査の数を増やしたから。検査数を増やせば、発見される感染者が増えるのは当然です。ただ、諸悪の根源はこの規模の検査を最初からやらなかったこと。感染症対策の基本は『検査と隔離』ですが、初動から誤っていたのです」

 PCR検査については、「病床が足りなくなる」、「医療崩壊を招く」などと「大政翼賛エセ医療デマ」が喧伝され、大規模には行われなかったが、それは「建前にすぎない」と舛添氏は言う。

「コロナに関する情報を独占しているのは国立感染症研究所で、ここを中心に検査も行っています。民間企業などと協力すればかなり大規模な検査ができますが、情報を独占して権力を保つためにそれを行わないのです。この体質をまずは変えていくべきでしょう」

 コロナ禍の中で行われた先の都知事選において歴史的な大勝を収め再選された小池百合子氏は「東京版CDC(アメリカ疾病予防管理センター)を創設する」と息巻くが、舛添氏は真っ向から批判する。

「感染研を解体して全国をカバーする日本版CDCを創設するのは賛成ですが、東京に限定する機関を作っても意味がない。利権の温床になるだけです。全国を網羅する機関を作らなければ感染研が威張ったままで事態は解決しません」

◆基準が曖昧な小池都政

 また、小池都知事のコロナ対策に多くの欠陥を指摘する。

「休業などを要請・解除する基準が東京は曖昧。いち早く策定した大阪府の『大阪モデル』は基準が3つ、かつ数値目標もあるのでわかりやすい。しかし、東京は『東京アラート』を早々に廃止、数値目標も削除したため基準はあってないようなものです。基準を曖昧にすることで経済活動を優先させやすくする狙いがあるのでしょうが、わかりにくい基準に都民は混乱しています」

 そして、政府の指揮系統にも疑問を呈する。

「なぜか西村康稔経済再生担当大臣が前面に出てきて、肝心の加藤勝信厚労大臣は何をしているのかさっぱりわからない。責任逃れと見られても仕方ありません」

◆都の貯金は大幅に減少。休業補償は貸し付けに

 感染が拡大すれば再び休業要請を行うことは必至だが、セットになるのは補償だ。

「休業補償の問題は法制化されていないことが根本的問題であり、今後改めなければなりません」

 それでも今回のコロナ禍では、東京や国では感染拡大防止協力金や持続化給付金などを行っている。しかし、東京都では自治体の貯金にあたる財政調整基金が約9500億円から500億円にまで減少。東京では、これまでのような多額の補償は不可能なのだろうか。

「財政的に経済支援は貸し付けが中心にならざるを得ないでしょう。ただ、給付金と違い貸し付けであれば『ずるい』などと『自粛警察』に後ろ指をさされることもないでしょうから、借り主の心理的負担も和らぐと思います」

◆舛添氏の考える東京都の感染拡大防止策は?

 舛添氏は感染拡大が収まらない東京について、最善策を次のように提案する。

「歌舞伎町や池袋などの繁華街で感染が増えていると言われますが、例えばその地域で働くすべての人に検査を実施する。夜だけではなく昼に働いている人も含めてです。体制が違うので同一視は難しいですが、中国は都市を封鎖、一日40万人の検査を一気に行い、感染拡大の封じ込めに成功しています」

 このような大規模検査では相当数の感染者が見込まれ、感染者が出た飲食店などは休業せざるを得なくなるが……。

「お店で感染が出た場合は2週間ほどの休業になりますが、その間は貸し付けで補償を行えばいいのです。休業中に除菌などを徹底的に行い、『検査・除菌済み』などと都によるお墨付きを与えれば、お客とお店にとっても安心してその後の営業を迎えられます」

 また、東京では来年7月に五輪が開催予定であるが、現状の対策では「中止やむなし」であると舛添氏は語る。

「大規模な検査と地域の封鎖をしなければ感染者数をゼロにすることは不可能。また終息の目処がたっていない国も多く、ワクチンも開発できていない現状を鑑みると、五輪開催は甚だ難しいでしょう」

 コロナ禍の「第二波」到来により首都機能は停滞したまま、五里霧中の状態だ。再選した小池都知事は、この局面を打開できるか。

【舛添要一氏】

国際政治学者、元東京都知事。’09年の新型インフルエンザ流行時には厚生労働大臣としてらつ腕を振るう。現在は執筆、コメンテーターなど幅広く活躍中

<取材・文/別冊SPA!編集部>

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