自民党総裁選3候補、統一教会との”協助”関係でも菅官房長官が独走<政界宗教汚染〜安倍政権と問題教団の歪な共存関係・番外編>

HARBOR BUSINESS Online / 2020年9月11日 8時33分

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次期総理総裁の本命とメディアがこぞって持ち上げている菅義偉官房長官

 9月14日に投開票される自民党総裁選。主要派閥の支持により議員票の7割強を固め独走状態となっている菅義偉官房長官、菅氏に大きく水を開けられている石破茂元幹事長と岸田文雄政調会長。本稿ではこの3候補及び周辺の議員について、筆者が追及してきた統一教会(世界平和統一家庭連合/天の父母様聖会家庭連合)との関係を中心にまとめてみたい。

◆首相肝入り候補を統一教会礼拝に派遣、教団世界副会長を官邸に招待した菅官房長官

 過去の筆者記事の中で、何度も指摘してきたのが菅氏と統一教会との緊密さだ。

 首相官邸と統一教会との関係が明確な証拠を以って可視化された2013年の参院選。官邸2トップ、安倍首相と菅官房長官が落選必至と見られていた全国比例区の候補者を統一教会との裏取引によって当選に導いた。その人物は現参議院議員で元産経新聞政治部長の北村経夫氏。祖父・岸信介元首相の恩人・天照皇大神宮教の北村サヨ教祖の孫とあって安倍首相肝入りの候補者だった。安倍首相は北村氏への組織票を「じきじきに」教団へ「依頼」、菅長官は参院選運動期間中、極秘裏に北村氏を福岡県内の統一教会の地区教会2か所の礼拝へ派遣、講演を行わせた。

〈参照:|自民党安倍政権と統一教会。2013年参院選時に蠢いた策動〉

 さらに菅長官は17年5月、統一教会系列のワシントンタイムズ財団と米下院議員らからなる世界平和国会議員連合のVIPたちを引き連れ来日していた金起勲(キムギフン)北米大陸会長兼世界副会長一行を首相官邸に招待したとされる。

〈参照:|韓国の新興宗教に忠誠を誓う自民党・国防部会長〉

 また、教団イベントで来賓挨拶を行った他、選挙運動員として教団信者を登用した疑惑が持たれている菅原一秀前経産省や山本朋広防衛副大臣といった子飼いの無派閥議員を統一教会に紹介したのも、長年自民党の選対を取り仕切ってきた菅氏の差配と見られている。

◆教団系メディアに鼎談記事、関連政治団体で講演の石破元幹事長

 一方、石破茂元自民党幹事長にも統一教会との関係が発覚している。地方創生相だった2015年6月、統一教会の関連政治団体・世界戦略総合研究所が永田町の憲政記念館で開いた第85回定例会において『地方から創生する我が国の未来』と題した講演を行っている。

 また、教団系メディア・世界日報の月刊誌Viewpointにも石破氏は2度登場。党幹事長に就任する約半年前、衆院予算委員会野党筆頭理事と自民党安全保障調査会長を務めていた時期、同誌の12年2月号に長野祐也元衆院議員や木下義昭世界日報主筆兼社長(当時)と行った新春座談会記事が掲載された。その3年後の15年2月号にも地方創生相として両氏との鼎談が掲載されている。

  その他、佐藤正久外務副大臣の叔父がCEOを務めていた統一教会の関連海洋摂理会社・海洋平和が2018年6月に開いた株主総会へ、石破氏が祝電を贈っていたことも判った。

 また石破氏は、偽書を基に富士王朝にあった天皇家ゆかりの神社の再建を謳う不二阿祖山太神宮が毎年関連NPO名義で開催する『FUJISAN地球フェスタWA』の名誉顧問を2015年以降、毎年務めている。〈参照:|安倍昭恵氏も関与していたオカルト神社の例祭に参列してみた。関連イベント役員には石破茂氏の名も〉

 石破派(水月会)では第4次安倍第1次改造内閣で法務相を務めた山下貴司衆院議員も18年7月、岡山県のジップアリーナ岡山で統一教会が開催した大規模信者集会『復興祈念2018孝情文化ピースフェスティバルin OKAYAMA』に来賓出席している。

〈参照:|弁護士団体の要請を無視、“反社会的”教団の式典に来賓出席する閣僚たち〉

 石破氏の推薦人に名を連ねた谷垣グループの中谷元元防衛相も、Viewpointの14年10月号に黒木正博世界日報論説主幹らと行った鼎談記事『集団的自衛権と日本の安全保障』が掲載されている。16年4月号にも防衛相としてインタビュー記事が掲載された。

◆本人は接点なしも派閥幹部は”濃厚接触”の岸田政調会長

 統一教会との関係においては菅氏に迫る勢いの石破氏、この2人の総裁候補と違って、岸田政調会長にはこれまで統一教会との接点は見当たらない。

 ズレたジェンダー観が周知のものになってしまった「家族円満アピール」も記憶に新しい。

 しかしながら、トップが“クリーン”であっても岸田派(宏池会)の幹部や構成議員には教団との関係が取り沙汰された議員が複数いる。

 在庫一掃内閣と揶揄された現在の第4次安倍第2次改造内閣で科学技術大臣となった宏池会副会長の竹本直一氏は2017年7月、教団がお膳立てしたアメリカ外遊議員団に参加、教団幹部らとともに撮影した記念写真をブログに掲載している。

〈参照:|韓国の新興宗教に忠誠を誓う自民党・国防部会長〉

 竹本氏も数年来、前述の『FUJISAN地球フェスタWA』の顧問として名を連ねている。

 同じく閣僚入りした北村誠吾地方創生相は18年3月、長崎での日韓トンネル実現シンポジウムに参加し、翌19年6月に長崎で開かれた日韓トンネル推進長崎県民会議総会に出席。同年8月にも教団フロント団体・平和大使協議会が長崎県庁内の会議室で開いた” 平和フォーラム”に参加している。

 宏池会座長で総裁選の選対を取り仕切る林芳正元文科相は、Viewpointの12年4月号に『林芳正・農林水産相インタビュー記事『林芳正・自民党政調会長代理に聞く「一体改革」法案出して議論を』が掲載されている。

 宏池会事務総長代理の平井卓也前科学技術大臣は16年6月、教団2世組織であることを隠して活動する勝共UNITEの渋谷でのデモ行進を報じたテレビ東京のニュース画像を引用しFacebookに「このようなデモはあまり報道されませんが、学生はシールズというイメージは間違いです」と投稿。教団2世組織を使った党ぐるみの策動の一旦を担った疑惑が持たれている。当時、自民党IT戦略特命委員長に就き、同党のネットメディア局長とネットサポーターズクラブ(J―NSC)代表を歴任してきた平井氏はその後16年8月に自民党情報調査局長、17年8月には自民党広報本部長、そして18年10月に初の閣僚入りを果たした。〈参照:|自民党安倍政権と統一教会。2016参院選、教団2世信者を使った策動〉

 さらに、平井氏には科学的根拠が疑わしいとして批判されることも少なくないEM菌に関して、有用微生物利活用推進議員連盟、所謂EM議連の幹事長という経歴もある。

 総裁選に際し党員投票の実施を求め党所属の国会議員145人の署名を二階幹事長へ提出したのが岸田派若手のホープ、自民党青年局の小林史明局長だ。しかし、この小林議員も昨年6月、地元広島で平和大使協議会が主催した反LGBTセミナーへ祝電を贈っていたことが発覚した。このセミナーにおいて国際青少年問題研究所所長の肩書きで講演を行ったのは教団の政治組織である国際勝共連合本部の青津和代本部長だ。

 祝電を贈った経緯や統一教会及びその関連団体との関係・選挙等の支援の有無などを小林議員の国会事務所に問い合わせた。小林議員の事務所はこの祝電について「電報の文面にありますとおり、地域の方々が参加している会合に対し、その参加しているみなさんのご多幸をお祈りしたまでです。支援のあるなしに関わらず、地域の活動に対し、要請があれば基本的に対応しています」と答えている。支援を受けているか否かについては言及がなかった。

◆教団との関係は新政権でも継続&深化か

 今回の総裁選に関連する議員を辿るだけでもこれだけの繋がりが出てくることからも、教団があらゆるところに触手を伸ばしていることが判る。

 菅官房長官が選出されることが規定路線の自民党総裁選、新総理総裁となる菅氏とこれまでの統一教会との関係性から、両者の結びつきがより緊密になっていくことは想像に難くない。政策で「自助・共助・公助」を掲げた菅氏、これまでに発覚した統一教会との「互助・協助」がどのように発展していくのか注目される。

<取材・文/鈴木エイト>

*(本稿は「にょろ」氏ツイッター @hyoloro*非公開 を参照した)

【鈴木エイト】

すずきえいと●やや日刊カルト新聞主筆・Twitter ID:@cult_and_fraud。滋賀県生まれ。日本大学卒業 2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」で副代表~主筆を歴任。2011年よりジャーナリスト活動を始め「週刊朝日」「AERA」「東洋経済」「ダイヤモンド」に寄稿。宗教と政治というテーマのほかに宗教2世問題や反ワクチン問題を取材しトークイベントの主催も行う。共著に『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)

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