「肉食離れ」は進むのか? 増えつつある「代替肉」製品を食べてみた

HARBOR BUSINESS Online / 2020年10月15日 8時32分

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 ヴィーガンの文化が世界的な広がりを見せています。その裏には、環境問題への関心と肉食離れがあるようです。そんな中、大手流通グループ「イオン」が、食感や味を肉に似せた代替肉の商品を発売。実際に食べてみました。

◆世界的な「肉離れ」の現状

 現在、多くの先進国では、食肉消費量を減らす政策が打ち出されています。数年前には、国連の専門家も菜食中心の食事を推奨しました。実際に、ドイツやデンマーク、スウェーデンでは「食肉税」の導入が検討され、肉を食べる人への風当たりが年々増しているといっていいでしょう。

 その背景には、いくつかの要因がありますが、温室効果ガスの排出に食肉が大きく影響を与えているという研究結果があります。

 FAO(国連食糧農業機関)の発表によると、畜産業から出される温室効果ガスは人為的に排出される温室効果ガス全体の約15%に相当する、年間およそ7.1ギガトンにのぼるといいます。

 

 また、食肉用の動物を飼育するには、広大な土地や膨大な飼料と水が必要とされ、これが地球環境を圧迫していると考える向きもあるのです。

 さらに、動物愛護という思想的な背景も手伝ってヴィーガン文化のような「肉離れ」は進んでいます。ヴィーガン発祥の地イギリスにおけるヴィーガンの割合は約60万人(2018年)程度で、人口の1%ほどにしか過ぎず、大きな流れとは言えないようにも見えます。しかし、その60万人のうち42%の人が「1年以内にヴィーガンに切り替えたばかり」という調査結果があり、その数が急激に増加していることが見えてくるのです。

◆イオンから発売されたベジティブ

 そうした中、大手流通グループ「イオン」は、プライベートブランド「トップバリュ」から、植物由来の新商品を複数発売しました。

 まずは「大豆からつくったハンバーグ(バジル香るコク旨なトマトのソース)」。食感や味を肉に似せた代替肉の原料として重宝される大豆が原料となっています。レンジか湯煎で温めて手軽に作れるのも魅力で、調理時間はレンジなら2分かかりません。

 その味はというと、食感は細挽きされたひき肉に限りなく似ており、これが本物の肉ではないとは思えないほど。逆に、粗めに切られた玉ねぎの食感がアクセントになり、ハンバーグらしい食べ応えを実現しています。

 また、その玉ねぎの甘みとマッチするトマトソースは、酸味が抑えられ老若男女に受け入れられやすい優しい味付け。よく観察してみると、粗挽きのハンバーグに見られる見た目の凹凸が少ない部分から代替肉であることがわかりますが、ソースをかけてしまえばそれも気になりません。ただ、咀嚼する中で感じられる香りが肉ではなく豆であることを伝えてきます。

 とはいえ、何も知らされずに食べたら代替肉であることはなかなか気が付けないようなクオリティになっています。1個180gというたっぷりの大きさも、満足感充分の一品です。

◆訪日外国人のヴィーガン市場

 同じくハンバーグにはソースの違う「大豆からつくったハンバーグ(焦がし醤油香る玉ねぎソース)」も。ハンバーグ自体だけでなく、ソースにも玉ねぎの甘みとコクが加わり焦がした醤油の香りが加わった和風ハンバーグです。トマトソースでは若干気になった、噛んだ時の豆の風味も、こちらのソースにはマッチしていて気になることがありませんでした。

 イオンは、こうした商品の開発をすすめていますが、日本のヴィーガン人口は他の先進国に比べるとかなり少ないようです。しかし、カロリーや糖質が比較的低く、食物繊維などを多く摂取できる植物由来の食品は、健康への関心の高まっている日本でも流行の前夜にあるといっていいかもしれません。

 また、観光庁によると2018年に訪日外国人が日本での飲食に費やした金額は9783億円にのぼるといいます。そこから、多言語レストラン紹介サイト「Vegewel」を運営しているフレンバシー社の調査結果である、インバウンド客のうち4.7%が「ヴィーガン」および「ベジタリアン」という推計をかけあわせると、訪日外国人のヴィーガン市場は年間で約460億円になります。

 コロナウイルスが下火になり、来年の東京オリンピック・パラリンピックが開催されればさらに需要が高まることが見込まれるのです。

◆パスタソースも植物性で

 一見、肉々しく見えるこちらのパスタも植物由来の原材料だけでできています。「大豆からつくったボロネーゼ」も、ハンバーグ同様、代替肉として大豆が使われています。大豆たん白を使うことで肉に近い食感を実現しています。味付けもトマトのコクや旨味はもちろん、バジルをはじめタイムやローレルが使われていて香り高く本格的です。温める必要がなく、茹でたパスタに混ぜるだけという手軽さも魅力のひとつです。さらに実は、このパスタの麺も「ひよこ豆と玄米からつくったスパゲッティタイプ」という商品で、一般的な原料である小麦を使っていません。

 小麦は動物性の食品ではありませんが、日本におけるヴィーガン文化が、動物愛護や環境問題よりも健康志向に親和性が高いため、購買層が近いと考えられます。

 こちらの麺については、小麦でできたものより粘り気が強く出る感じがあり、ツルッとしてキレのいいパスタの食感を好む方には不向きかもしれません。とはいえ、小麦を避けた食生活でグルテンフリーのダイエットをする方などには大変重宝する一品となるでしょう。

 世界的な大きな動きとなりつつあるヴィーガンという暮らし方。日本での隆盛はまだ少し先かもしれませんが、コロナ禍が明けて再び訪日外国人が増えると、その様子は一気に変わるでしょう。イオンのこうした取り組みは、その先駆と言えるのかもしれません。

<取材・文/Mr.tsubaking>

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