3が日、あの初詣有名スポットはどれくらい「密」だったのか?

HARBOR BUSINESS Online / 2021年1月4日 8時33分

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川崎大師

 今年のお正月は、帰省を取りやめて家で過ごす人もいれば、積極的に外出する人たちもいました。日本は12月31日に新規感染者が全国で4337人も見つかり、1月1日は東京で783人の新規感染者が見つかり、東京都、埼玉県、愛知県、京都府などで病院の空きベッドが100%を超える事態に陥っており、千葉県、神奈川県、大阪府、福岡県などで予断を許さない状況となっています。

 こうなってしまうと、新型コロナウイルスのみならず、従来の病気で入院することもままならなくなり、さまざまな疾病において死亡率が高まることになります。この状況をどうにかするためには、政府が「緊急事態宣言」も含めた外出自粛を呼びかける強めのメッセージを発信しなければなりませんが、経済を止めようものなら内閣を支持してもらえなくなってしまうという恐怖心から、「国民に協力を呼び掛けるだけ」という無策が続いています。

 その結果、お正月の定番スポットではたくさんの人が初詣をしたり、買い物に行ったりを楽しんでしまいました。

◆雷門をくぐると、そこは「密」だった

 東京都台東区浅草の浅草寺は、非常に人気の高い初詣スポットのため、例年であれば、正月三が日だけで約290万人が訪れると言われています。歩くのもままならないほど大混雑するはずの浅草寺ですが、元日ではなく2日とはいえ今年は雷門をバックに記念写真を撮れるぐらいに人が少なかったので、おそらく半分以下の参拝客ではないでしょうか。それでも境内の仲見世は狭く、なんだかんだで密な状況が出来上がってしまいます。

 一応、政府は国民の皆さんに、やんわりと参拝日をずらしてもらうようにお願いしていましたが、みんなが一斉にずらしてしまったら意味がありませんので、あえて三が日に行こうという人が出てきます。結果として、いつもよりは少ないですが、それでも境内には「密」が出来上がり、これで感染者を減らすのは、かなり難しいように思います。

 浅草寺の前には、キリスト系の「悔い改めよ」という看板を持ったオジサンの隣で、「PCR陽性は感染者ではない」というプラカードを掲げたオジサンが立っていました。彼らは1つのグループのようで、人々に悔い改めることと合わせて、PCR検査についても何か呼び掛けています。「コロナはただの風邪」と言っている国民主権党とは別の団体なのですが、また別のベクトルで何か言っている人たちがいるということになります。

 どうやら「日本のPCR検査は、そのやり方を間違えているので、本当は陰性なのに、コロナの死骸を数えて陽性になっている」と主張したいようなのですが、それはずいぶん昔に流れた不正確な情報です。いつから時間が止まってしまったのか知りませんが、まずは自分が悔い改めた方が良いというパターンです。しかし、この手のタイプの人たちは着実に広がっているような気がします。

◆明治神宮は空いているけど屋台立ち並ぶ参道は「密」

 毎年、正月三が日だけで約320万人が訪れ、全国で最も多くの参拝客を集めることで知られる東京都渋谷区代々木の明治神宮は、まったく密ではありませんでした。元旦はそこそこ人が集まったそうですが、夜には閉門するという情報も出回り、あんまり出かける人は多くなかったと思われます。

 本殿の手前あたりは混雑するかもしれませんが、手前はまったく混雑している感じはありません。感染を防止するという観点で言えば、参拝客が少ないことは良いことなのですが、複雑な気持ちなのは、きっと献血のお願いをしているスタッフの方々でしょう。明治神宮は密ではないのですが、その代わり、原宿と表参道の間の道は、とっても「密」でした。

 ただでも狭い原宿と表参道をつなぐ道に、ぎっしりと屋台が並んでしまっているもので、マスクを外して屋台の食べ物を味わいながら密の中を歩くということになります。若者たちも一定の配慮はしているようで、実際、歩きながら食べている人よりは、立ち止まって食べている人が多かったですが、屋台を出している方々も、今年は全国的にイベントが中止になっており、ここで売らなかったらいつ売るんだという話で、こちらもこちらで生活がかかっているわけですから、売れるものなら1つでも多く売りたいのです。

◆巣鴨・とげぬき地蔵は予想外に「密」

「おばあちゃんの原宿」と言われる豊島区巣鴨の高岩寺(通称・とげぬき地蔵尊)。ここはさすがにガラガラなのではないかと思ったら、想像以上に「密」でした。しかも、ここには浅草寺や明治神宮では見ることのできなかった50代から60代ぐらいの人たちが多く、周辺の商店も「ここで売らなければ、いつ売るんだ」ということで、もちろん、年明けから自粛しているような店舗はなく、どこも元気に営業していました。

 意外なのは、お寺そのものは空いていて、そんなに「密」ではなかったということです。巣鴨の場合は、皆さん、お参りに来たかったというより、ワチャワチャしたかっただけなのかもしれません。「どうせ、おじいちゃんやおばあちゃんは自粛しているだろうから、逆に、とげぬき地蔵尊だったら空いているんじゃないか」と逆張りをして来た人たちもいると思うのですが、同じことを考える人はけっこう多かったというわけです。そして、境内にも屋台は出ているわけで、意外と「射的」なんかが人気だったりするわけです。

 しかし、屋台の射的が、客が入れ替わるごとに念入りに銃をアルコール消毒するはずもなく、いろんな人が手に触れた銃を「ちょっと貸してみな!」なんて言いながら、銃を顔にくっつけたりしながら、ジーッと景品を見つめたりしているわけです。例年であれば、とっても微笑ましい幸せな家族のワンシーンなのですが、今年は「この人たち、何をしているんだろう」になってしまいます。

 しかし、こうなってしまうのは、店主や客が無知や無謀なわけでもなく、どちらかと言えば「自然なこと」ではないかと思うのです。こういう話は日本に限ったものではなく、全世界で同じようなことは起こっています。断固として新型コロナウイルスに罹りたくなくて、毎日家に引きこもっている人もいれば、こうして出かけて危険な行動に気づかない人たちもいる。それが人間です。だからこそ、どうやって外出を自粛してもらうのかを、政治家たちが真剣に考えなければならないのです。

◆川崎大師は参拝客が減っても「密」

 神奈川県川崎市の川崎大師は、明治神宮に次ぐ全国2位の参拝客数を誇り、正月三が日だけで約300万人が参拝します。浅草寺や明治神宮と同じく、ここも参拝客は半分以下になっているのではないかと思うのですが、それでも「密」であることに変わりはありません。今年も飴を切るリズミカルな包丁の音が参拝客を出迎えており、休業しているお店は見当たりません。それどころか、人が集まるところにこそ屋台が立ち並ぶわけで、駅から川崎大師に向かう参道にはギッシリと屋台が並んでいました。

 今年は例年に比べて屋台の売上もそんなに高くなかったのではないかと思いますが、屋台の美味しそうなニオイと、久しぶりに味わうこの雰囲気を出されたら、たこ焼きの一つも食べたくなるというもので、たこ焼きをハフハフしながら歩くとなれば、当然、マスクは外します。政治家というのは、こういうことが起こってから対処するのではなく、こうなることを予測して動くべきものです。「先手、先手」とか言っていますが、この光景を見て、自分たちが先手で動けていると思えるでしょうか。ただ、補足しておくなら、参道がこれだけ密になっていても、参拝客の皆さんは気を付けているのです。

 というのも、これだけ参拝客で溢れているのに、川崎大師駅はガラッガラなのです。正月の三が日に改札口が見えるなんて、奇跡です。つまり、参拝客の多くは車で来ていて、うっかり満員電車に乗って感染することがないように気を付けているということです。

 これは密になりながら参拝している人たちも「コロナはただの風邪」と言いながらウェイウェイ参拝しているのではなく、自分たちなりに感染対策をしながら、ここまでならセーフというラインを決めて参拝しているということになります。「この時期に絶対に参拝なんかしないわ!」と言っている人たちから見ると、感染対策が甘いように感じるかもしれませんが、まったく感染対策をしていないわけではないということです。

 東京都や埼玉県では病院のベッドが埋まっています。千葉県や神奈川県もベッドが埋まるのは時間の問題です。そして、新型コロナウイルスは重症化してしまうと、3~4ヶ月入院することもあり、ベッドはなかなか空きません。ということは、今、このタイミングで緊急事態宣言を出したとしても、医療崩壊を起こしつつある病院を正常に戻すことはできず、これから数ヶ月の混乱は覚悟しなければならない状況にあります。しかし、決断が遅くなれば遅くなるほど、事態は深刻になるばかり。1日も早く、1時間でも早く、緊急事態宣言を出すなり、営業自粛要請を出すなりして、人と人との接触を8割以下に減らさなければなりません。迷っている時間はないのです。

◆おまえたちの仕事は、祈ることではない!

 国民の皆さんに「それぞれで気を付けてもらう」というのでは、気を付けるレベルにも個人差があり、拡大するばかりの感染を止められません。不幸なことに、日本はメディアに出演して「やみくもにPCR検査をしても意味がない」と言ってしまうヤブ医者や、政治学者のくせにエレガントに慎重論を展開してしまう文化人などが続出し、PCR検査の拡充がちっとも進まなかったため、公費で賄ってもらうこともできず、無症状の感染者が街を歩く状態です。しかし、こうした初詣の惨状を見る限り、今すぐ手を打たなければならないのは明らか。PCR検査も頭打ち状態なのに、政治家たちは何をしているのでしょうか。

 病床使用率が100%を超え、全国で最も高い致死率となっている大阪府の吉村洋文知事は、今年は大変な年だったので、大阪府民にとって素晴らしい一年になるようにということで、みんなを代表して「お祈り」に来ていました。お祈りで解決するなら政治家は要りません。このままだと疫病を抑えるために大仏を建立しかねません。21世紀に1000年以上前の政治を繰り広げるのは、やめていただきたいです。

 ヤバいのは、今をときめく知事だけではありません。立憲民主党の政調会長だった逢坂誠ニ議員も、「1日も早い感染の終息を祈念」です。野党がやるべき仕事もまた「お祈り」ではないはずです。ろくすっぽ対策を進められない与党の大臣どもにビンタをかますのが、野党の仕事です。

 そりゃ地元の付き合いだとかもあるでしょうが、結局、与党も与党なら野党も野党で、全員まとめてやるべきことをしていないということです。もう祈りたい気持ちになるのは国民の方でしょう。

◆選挙ウォッチャーの分析&考察

 今年の初詣スポットは、参拝客こそ例年の半分以下とはいえ、「密」になってしまう状況を避けることはできませんでした。もし、こうなることを予測して、年末までに「緊急事態宣言」を出していれば、こうした「密」はもう少し避けられただろうと思いますが、すべてにおいて判断の遅い菅義偉政権は、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県の1都3県の知事から「緊急事態宣言を発令してほしい」と要請を受けても、「視野に入れる」と言ったっきり、ちっとも発令される予感がしません。

 こうしている間に、人々は換気の行き届いていない場所で食事をしたり、お釣りを受け取った手で屋台のフードを食べて歩くのです。この時期、「緊急事態宣言」を出すと言ったら、人生のかかった受験生たちはどうするんだという話もあって、今年の「大学入学共通テスト(昔で言う「センター試験」)」は1月16日・17日なので、それを待つとなったら、とんでもない感染者数になります。今のところ、「学校は通常通り」ということになっているようですが、政治家が1年にわたって何の対策もしてこなかったツケが、今になって回っているとしか言いようがありません。マジでお祈りしている場合ではないのです。

 いまや新型コロナウイルス対策をしていない人なんて、ごく一部の「コロナはただの風邪」と言っている人たちを除いて、ほとんどいないのです。みんながそれぞれの基準で気を付けているのに、感染が拡大しているわけなのですから、今のままではいけないことだけは確かです。となれば、ここで解決のために動くのが「政治」です。無能な政治家たちが、この緊急事態に目覚めてくれることを、それこそ「お祈り」するしかありません。そうでなければ、次の選挙で必ず落とすことです。

<取材・文・撮影/選挙ウォッチャーちだい>

【選挙ウォッチャーちだい】

選挙ウォッチャーとして日本中の選挙を追いかけ、取材しています。選挙ごとに「どんな選挙だったのか」を振り返るとともに、そこで得た選挙戦略のノウハウなどを「チダイズム」にて公開中

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