最高値更新のビットコイン。好調の背景に超高利回りを生むDeFiとカネ余り。本格バブル突入か?

HARBOR BUSINESS Online / 2021年2月19日 15時31分

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 ビットコイン価格が3年ぶりに高値圏にある。2020年の暮れから上昇し始め、2021年2月17日にはNY市場で一時5万2338.85ドルと最高値を更新するなど絶好調だ。この急騰劇を後押ししたのが、「DeFi」というブロックチェーン技術を活用した新たな金融サービスだ。そのブームに乗って大儲けする秘策を探った!

◆超高利回りを生むDeFiとカネ余りで本格バブルへ?

 アメリカ大統領選を経て、NYダウはついに3万ドルの大台へ。その影でビットコインが再び爆上げしているのをご存じだろうか? 直近2か月のパフォーマンスは80%超。1BTC=190万円を突破し、3年ぶりの高値を更新し続けているのだ。その起爆剤の1つになったのが、’20年、仮想通貨界隈で話題をさらった「DeFi」だ。ビットコイン投資家として知られる田中Daisuke氏が話す。

「DeFiは『Decentralized(非中央集権) Finance(金融)』の略で、ブロックチェーン技術を活用した分散型の金融サービスやアプリケーションを指します。代表的なのは分散型取引所を意味する『DEX』と、仮想通貨を貸し借りできる『レンディング』、それと米ドルなどの法定通貨と価値を連動させた『ステーブルコイン』の3つ。

 取引所やレンディングのサービスは以前からあったものですが、特定の企業が管理・運営する体制を排した非中央集権型のサービスとして、DEXの分野ではUniswap(ユニスワップ)というサービスが急成長し、レンディングの分野ではCompound(コンパウンド)というサービスが人気を博しました」

 こうしたDeFi系サービスの多くはビットコインに次ぐ人気仮想通貨として知られるイーサリアムをベースに構築されている。ブロックチェーン上で契約を自動的に実行するイーサの「スマートコントラクト技術」を活用することで実現したサービスなのだ。

 そのため、DeFiはイーサや、イーサリアム上のステーブルコインであるUSDC、USDT(ともに1通貨単位の価値を1ドルに固定したトークン)などでしか利用することができない。保有している仮想通貨をコンパウンドで貸し出してリターンを得ようと思ったら、ビットコインをイーサやUSDCなどに替えないといけないのだ。おのずとイーサのニーズが高まり、6~9月にかけてはビットコイン以上にイーサが値上がりしたという。

◆DeFiとは?

 DeFiとは、既存の金融システム(CeFi=Centralized Finance)と対照的な、ブロックチェーン上に構築された分散型の金融サービス、ないし金融アプリケーションを指す。管理主体や金融仲介を排除した点に特徴があり、居住地や経済状況などに関係なく誰もがアクセス可能。身分証不要で匿名性が担保されている点にも特色。

 多くのDeFiがイーサリアムブロックチェーン上でスマートコントラクト(契約の自動化)技術を活用して構築されているが、同じくスマートコントラクト機能を有するポルカドットやバイナンス・スマート・チェーン上に構築されたDeFiも登場している。そのサービスは主に以下の3つに分類される。

①分散型取引所 DEX=Decentralized Exchange

既存の仮想通貨取引所と異なり、管理者のいない取引所。秘密鍵を自分で管理するため不正流出リスクが小さく、本人確認が不要。最大手のUniswapは中央集権的取引所を上回る出来高を記録。そのほかにもCurve、0x(ゼロエックス)、Balancer、Kyberなどがある。

②レンディング Lending

仮想通貨を貸してリターンを得る銀行的サービス。これまでは中央集権的取引所などがレンディングサービスを運営していたが、それを管理者のいない分散型システムで実現。Compoundが一番人気だが、Aave、Cream、instaDAppなどのサービスも。

③ステーブルコイン Stable Coin

特定の通貨との交換レートを一定にしたトークン。ドルとペッグしたUSDTやUSDCが最もメジャーだが、イーサリアムネットワーク上で発行されるビットコインと等価交換可能なwBTC(Wrapped BTC)やイーサリアムを担保にして発行されるDAIなども。

◆年利100%超も?超高利回りを生んだDeFi運用

 では、なぜこうしたDeFi系サービスが人気を博したのか? それは「儲かる」からにほからない。

「鼻の利く投資家たちが熱をあげたのが、DeFi系サービスを利用した『イールドファーミング』です。直訳すると“利回り農業”。文字どおり、DeFiで高いリターンを得る行為を指します。レンディングで仮想通貨を貸し出せば利子に相当するリターンを得られます。DEXに保有するトークンを預け入れるだけでも、流動性提供の対価として手数料収入が得られます。

 さまざまなDeFi系サービスを駆使して個人投資家は利回りの最大化を図ってきたのですが、そんな“イールドファーマー”を爆発的に増やすきっかけとなったのは、ガバナンストークンの配布。議決権を有する投票券のようなトークンとして、コンパウンドが6月から流動性提供者やサービス利用者に対してCOMPの無料配布を開始したのが先駆けです。投資家は受け取ったCOMPの数に応じて、新サービスなどに対する自身の意思表示ができるようになったのです。

 本来ならば金銭的価値のないトークンだったのですが、これを取り扱う取引所が現れると大爆騰してしまいました。その結果、多くのDeFi系サービスがガバナンストークンの配布を開始。流動性を供給することで、こうしたトークンの付与を受ける行為は“流動性マイニング”と呼ばれ、DeFiへの資金流入を加速させたのです」(田中氏)

 このCOMPは取引所に上場するや否や、わずか4日間で6倍にまで急騰した。さらに、収益を自動的に最大化してくれる“レンディング代行サービス”の「yearn.finance」のガバナンストークンとして配布された「YFI」は上場1か月で320倍にまで大爆騰! あまりの人気ぶりから、「YFII」などのコピートークンを生み出すほどのムーブメントを巻き起こしたのだ。

◆2か月半で4倍増を達成したDeFiは一旦ピークアウト?

 その盛り上がりを如実に示しているのが、DeFi系サービスへの資金流入量の総額を示す「TVL(Total Value Locked)」。6月初旬は10億ドル(約1100億円)だったが、11月半ばには140億ドル(約1兆5000億円)にまで膨張したのだ。ただし、DeFiブームは一旦ピークアウトした可能性もある。「DeFiトレーダー」を自認するカナゴールド氏が話す。

「DeFi系トークン全体の価格推移を端的に示す指数で見ると、9月頭に高値をつけて調整局面にあります。その理由の1つは投資疲れでしょう。投資家の多くが寝る間を惜しんで流動性マイニングに熱中し、その投資熱の高まりに便乗するかたちで、パクリ系のDeFiやコピートークンが増殖しました。

 バグが発見されて数日で100分の1に値下がりするようなトークンも現れたほか、10月にはレンディング系のハーベストファイナンスで制度設計上の粗を突かれて25億円相当のトークンが盗まれる事件も起こりました。DeFiには相応のリスクもあることが知れ渡って、流動性マイニングの人気が急低下したのです」

 だが、ブームが去ったわけではない。

「一気に資金流入が進みましたが、このブームに乗れていない投資家が数多くいるのでバブルと呼べるような盛り上がりにはなっていません。DeFiで稼ぐには一定のリテラシーが必要なのです。バブル化するのは、誰もが買えるようになってから。日本の仮想通貨取引所がDeFi系トークンを上場させたら、再び仮想通貨全体がバブル的人気を博して急騰すると見ています」(カナゴールド氏)

◆ビットコイン価格は’21年に4万~5万ドルに到達する!?

 実は’21年以降のビットコイン価格に対して、強気の見方が高まっている。11月には世界最大の仮想通貨取引所のファウンダーとして知られるCZ氏が、「シティバンクのマネージングディレクターが機関投資家向けレポートで『’21年12月までにビットコインは31万8000ドルに値上がりする』と予想している」とツイートしたことが話題になった。足元のビットコイン価格から、20倍に急騰する可能性を指摘したというのだ。

 にわかに信じがたい予想だが、田中氏も「’21年には少なくとも’17年の高値である2万ドルを更新する」と見ている。

「世界的な金融緩和でお金がダブついている影響が大きい。ドルやユーロなどの法定通貨の価値が下がりやすくなっているので、インフレヘッジを目的としたビットコイン買いが進みやすい状況にあるのです。

 実際、10月には米決済サービス企業のスクエアが投資目的で53億円相当のビットコインを購入したことが話題になりました。大きな金額ではありませんが、総資産の1%をビットコインに振り分けたのです。

 同様の動きが加速すれば、アメリカ企業だけで数十兆円規模のビットコイン買いを生んでもおかしくありません。決済大手のペイパルが10月にビットコイン市場に参入して個人の資金も流入しやすくなっているので、さらに買い圧力は強まる可能性がある。個人的には4万~5万ドルまで値を伸ばす余地があると見ています」(田中氏)

 企業が資産ポートフォリオに組み込むようになれば、一段高は必至。足元のビットコインは高値圏にあるように見えるが、今こそが絶好の買い場なのかもしれない!

【田中Daisuke Shosaki氏】

’14年に10万円でビットコインを購入したことをきっかけに仮想通貨投資を開始し、大きな資産を築くことに成功。BTC建て資産の拡大に注力中。@tanaka_bot_1

【カナゴールド氏】

東証や国内仮想通貨取引所bitFlyerなどでエンジニアの経験を積んだ後、独立。現在はDeFiトレーダーを名乗り、DeFiによる資産運用に注力。@hereisyourbtg

※時価総額などは’20年11月23日時点

<取材・文/高城 泰(ミドルマン) 池垣 完 図版/ミューズグラフィック チャート提供/TradingView>

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