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「朝起きられない」は怠けているのではなく、実は病気のケースも…中学生の1割が発症しているとされる『起立性調節障害』“お菓子屋さん”の夢をかなえた小6少女の挑戦

北海道放送 / 2024年9月27日 16時11分

◇《小学生の約5%、中学生の約10%が発症とされる病》

「朝起きられない」と聞くと怠けていると感じるかもしれません。

実は小学生で約5%、中学生で約10%が発症している『起立性調節障害』という病気があります。

そうした病気を抱えながら、小学校6年生の女の子が、お菓子屋さんをオープンするという夢を叶えました。

香ばしい香りが部屋中に立ち込めています。作っているのは、北田怜奈(きただ・れな)さん。小学校6年生です。

この夏、念願のお菓子屋さんをオープンさせました。怜奈さんのすぐそばには、椅子が置かれています。

北田怜奈さん(12)「常にめまいみたいな感じ」

怜奈さんは、小学校3年生の秋、突然、朝ベッドから起きられなくなりました。原因は『起立性調節障害』。

自律神経が乱れて血圧が下がり、全身の怠さや頭痛など、さまざまな不調を引き起こす病気です。

北田怜奈さん(12)「地獄だった」

◇《辛い日々を救ったのは“お菓子屋さんの夢”》

学校に行きたいのに行けない、辛い日々が続きました。

怜奈さんの母親・弥生さん「朝元気なときは必ず(朝)6時前に起きてくる。元気がないと7時過ぎても起きてこない」

「LINEで“頭痛い”っていうスタンプが何個も送られてくる」

そんな苦しい毎日の中で、心の支えになったのが、お菓子作りでした。

オープン当日の朝7時。この日は、札幌市内のレンタルキッチンを間借りします。

怜奈さんの夢の舞台を、母の弥生さん、妹の真央さん、祖母、伯母も手伝います。

怜奈さんは料理教室に通い、3か月にわたり、試作を重ねてきました。

販売に必要な食品衛生責任者の資格は、母親の弥生さんが取得。母と娘、二人三脚で準備して来ました。

6種類の焼き菓子のうち、4種類のスコーンを怜奈さんが1人で作ります。目標は、スコーン140個に、ドーナツ50個、合わせて190個です。

怜奈さん「天才かもしれない」

伯母「きっちり計れた?」

怜奈さん「完璧だわ」

計って、混ぜて、成形する。単純に見えますが、集中力が必要です。

怜奈さん(12)「4年生。めっちゃ作っていたのは去年。計るのが楽しかった。面倒くさいけれど…」

◇《体調不良に苦しむ人をお菓子で笑顔に…》
『起立性調節障害』の影響で、怜奈さんは一日中起きていることが難しいといいます。

朝7時から作業を続けていて、辛そうな表情を見せる怜奈さん。なぜ、そこまで頑張れるのでしょうか?

怜奈さん(12)「人にあげるのは、丁寧に作りたいし、美味しく作りたい」「作ってあげたいという気持ちの方が高いから、そこまで疲れない」

自分と同じように、体調不良で苦しんでいる人に“お菓子を食べて笑顔になってほしい―”素材にも、怜奈さんの思いが込められています。

米粉は、小麦粉より消化がいいと言われていて、同じように不調を抱える人たちにも食べてほしいと選びました。

目標としていた190個のお菓子も、無事焼き上がり、あっという間にオープンの時間になりました。

◇《米粉を原料にスコーンとドーナツを手作り》
怜奈さんの活動を日ごろから見守っている人たちが、さっそく駆けつけました。

お客さんは、ほとんどが顔見知り。それでも緊張しながらも、笑顔で接客します。

怜奈さんの家庭教師「とても頑張っているので、応援したいなとという気持ち」

体操教室の先生「また少し大人に感じます。凄いなと尊敬します」

怜奈さん(12)「緊張した…もっと量を作れるようにしたい」

怜奈さんには、さらにもう一歩、チャレンジしたいことがありました。

およそ1か月ぶりに、レンタルキッチンにやってきた北田怜奈さん。

怜奈さん(12)「ママ 、何個作るの?スコーン」

母親の弥生さん「全部で230個」

2度目のオープン日は、3日後です。場所は地元で開かれる「マルシェ」に決まりました。

◇《“起立性調節障害”を乗り越え…夢の実現に挑戦》
一度目のオープンとは違い、多くのお客さんが初対面の人です。

小学3年生のとき『起立性調節障害』を発症した怜奈さん。コロナ禍もあり、人とコミュニケーションをとる機会はほとんどありませんでした。

次のマルシェでは、初めて会う人とも交流したいと話す、怜奈さん。

母親・弥生さん「本番はできるね?」

玲奈さん(12)「本番には強い」

しかし、体調面では不安が…。

母親・弥生さん「途中で“できない”っていう身体の状態が、いつ来るかわからないところでの、チャレンジなので…」

マルシェ当日は、あいにくの雨模様。たくさんの人がいる会場。初めて会うお客さん。怜奈さんの苦手なものばかりです。

そんな彼女の緊張をほぐしたのは…。

訪れた女性「頑張っているね~本当に」

買ってくれた人たちの「笑顔」でした。

訪れた男性「僕も福祉系の仕事をしていて、それでもこういう病気は初めて知った。素晴らしい企画だと思う」

残り1時間…、お菓子が順調に売れ、お客さんと交流するにつれて、怜奈さんの表情も柔らかくなっていきます。

玲奈さん(12)「どうぞ!ありがとうございます!」

最後のお客さんを見送り、きょうの分は、完売です!

母親・弥生さん「やったね」

玲奈さん(12)「うん」

母親・弥生さん「イエーイしないの?なんでだよ。もう片付けちゃってる(笑)」

(Q.お客さんと交流していく中で頑張ろうと思えた?)
玲奈さん(12)
「思います。作るの大変だったけれど、喜んでもらえるなら頑張りたいなと思います」

(Q.作っていた時から、きょうのマルシェまでどういう気持ちの変化が?)

怜奈さん(12)
「初めての人が来て、緊張していたけど途中から楽しくなってきました」

不安の中、諦めずにやりぬいた北田怜奈さん。生きづらさを抱えながらも、彼女の挑戦は続きます。

◇《起立性調節障害とは?》
「起立性調節障害」と診断される子どもは、近年、増えています。原因ははっきりしていません。

ただ、運動不足や夜更かしも背景にあるのではないか…と考えられています。

軽症の場合は数か月で改善しますが、登校など日常生活に支障のある場合は、症状が改善するまで2、3年かかる場合もあります

今回、私たちの取材に応じてくれた北田怜奈さんは、自律神経を整えるため、自宅で軽い運動をしたり、漢方薬などを飲んだりしながら、自分のペースで登校しているということです。

堀啓知キャスター)
北田怜奈さんが、お母さんの弥生さんと二人三脚でオープンさせた、米粉のスコーンとドーナツのお店『れなねこのお菓子やさん』。

スコーンの品揃えは「プレーンスコーン」「アールグレイスコーン」「クランベリースコーン」「ごまスコーン」「チョコスコーン」と5種類で、価格はそれぞれ280円です。

そして、ドーナツは「ココナッツチョコドーナツ」(1個280円)となっています。

今のところ、3回目の対面販売がいつになるかは未定ですが、今後もオンラインショップも併用して、月2回ほどのペースでお菓子を販売していくそうです。

詳しい情報は『れなねこのお菓子屋さん』のインスタグラムやLINEで発信していくとのことです。

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