免疫細胞の遺伝子を変えるがん免疫療法、米国で初承認! がん治療の歴史が変わる?

ヘルスプレス / 2017年8月2日 8時0分

 また、6歳の時、「CTL019」を最初に投与されたEmily Whitehead(12歳)さんは、治療後、重篤な副作用で生命の危機に瀕したが、現在は良好な状態を維持している。

 ただし、このCAR-T療法にはデメリットがある。

 約30万ドル(約3370万円)以上の高額の治療費がかかり、複雑な治療手順が必要なケースや、重篤な合併症が起きるリスクもある。したがって、ノバルティス社は、当面は「CTL019」の使用を米国内の30~35カ所の認定施設に限定する予定。

 重篤な副作用や二次がんの発症リスクについては、今後の追跡調査の結果によって判断・対処する方針だ。

坂口特任教授は「ノーベル生理学・医学賞」を授賞するか?

 さて、このCAR-T療法の影の立役者を忘れてはならない。大阪大学免疫学フロンティア研究センター(免疫学 / 分子生物学)の坂口志文(しもん)特任教授だ。

 1983年、学位論文「胸腺摘出によるマウス自己免疫性卵巣炎の細胞免疫学的研究 」が注目された坂口特任教授は、1995年、インターロイキン-2受容体α鎖であるCD25分子による過剰な自己免疫反応を抑える「制御性T細胞(Regulatory T cell ;Treg)」を発見し、その免疫機序を世界で初めて解明した。

 ジョンズ・ホプキンス大学客員研究員、スタンフォード大学客員研究員、スクリプス研究所免疫学部助教授、東京都老人総合研究所免疫病理部門部門長、京都大学再生医科学研究所生体機能調節学分野教授、同大再生医科学研究所所長などを歴任。

 2017年の「ノーベル生理学・医学賞」候補に有力視されている。

 生物製剤「CTL019」によるCAR-T療法は、ALLの患者に希望をもたらすだろう。「制御性T細胞」による自己免疫治療は、関節リウマチ、1型糖尿病、IPEX症候群などの患者に勇気を与えるだろう。

 「自己か、非自己か」。ヒトは、正常な自己を攻撃する免疫細胞を持っている。ヒトの免疫応答システムを探求する遺伝子治療や免疫療法の近未来は、限りなく輝いて見える。
(文=編集部)

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