「これは長嶋茂雄になりきるしかないなと」松井秀喜氏「４番サード」で２０年ぶり東京ドーム凱旋弾！イチロー氏とハグ

８回、３ランを放ち、イチローさん（左）とベンチ前で抱擁する松井さん（カメラ・竹松　明季）

◆エキシビションマッチ　ＫＯＢＥ　ＣＨＩＢＥＮ１７―３高校野球女子選抜（２３日、東京ドーム）

　マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏（５０）が率いる「イチロー選抜ＫＯＢＥ　ＣＨＩＢＥＮ」と、高校野球女子選抜が対戦する「ＳＡＴＯ　ｐｒｅｓｅｎｔｓ　高校野球女子選抜　ＶＳ　イチロー選抜ＫＯＢＥ　ＣＨＩＢＥＮ」が２３日に東京Ｄで行われ、初参加の松井秀喜氏（５０）が２０年ぶりの東京ドーム凱旋アーチを放った。試合は１７―３で勝ち、イチロー選抜の４連勝となった。

　東京ドームに帰ってきた背番号５５が、一振りで鮮やかすぎるフィナーレを飾った。１４―３の８回２死一、三塁。松井さんがカウント２ボールからの３球目を振り抜くと、全盛期をほうふつさせる放物線が右翼席へ届いた。２万８４８３人の観衆に、往年の記憶がよみがえる。東京Ｄ２０年ぶりのゴジラ弾。ベンチに戻ると、笑顔のイチロー氏から熱いハグで迎えられた。

　「この好きな球場でプレーできて、なおかつ最後でホームランが出たんでね。とにかくお客様に喜んでもらえたのが一番良かった」。東京Ｄでの本塁打は０４年３月３１日、ヤンキースの一員として日本での開幕２戦目で放って以来。約２０年６か月、７４８１日ぶりだった。

　前日にニューヨークから帰国した。イチロー氏と同じユニホームを着たのは、０４年のＭＬＢオールスター以来だった。「４番・中堅」で出場したが、守備で右太もも裏を肉離れし、三塁に守備変更。「４番・サード」となり、松井さんは「それを聞いたらもう、これは長嶋茂雄になりきるしかないなと」と恩師・ミスターばりの勝負強さを発揮した。

　主催のイチローさんは松井さんを「同世代のライバル」と呼んだ。「“近くにいたんだけど遠い存在”みたいな。１０年ぶりに会ったが、再会するんだったら野球場がよかった。しかもプレーヤーとして再会したかった。すごく感慨深い」。松井さんも「“遊びじゃ絶対いけない”という思いで、この何週間、久しぶりに野球に向き合った」と１学年上のレジェンドからのラブコールに真剣に応えた。

　来年の参加を要請されると、「東京ドームでこの歓声を聞いちゃうと、また聞きたいと思っちゃうんですよ。足次第です」。同時期にＮＰＢからメジャーへとはばたきながら、交わることは決して多くなかったスター同士。一回だけではもったいないと誰もが思った「５５」と「５１」の共演だった。（西村　國継）