鈴木亮平「もっとできたという思いを残したくない」 “妄想”旅行記にも全力投球!

クランクイン! / 2020年9月19日 8時0分

鈴木亮平

 役どころに合わせたストイックな姿勢が知られている俳優・鈴木亮平。東京外国語大学卒で、高校時代には、全国高校生ドイツ語スピーチコンテストで優勝したことのあるインテリでもある。加えて耳に入ってくるのが、大の「世界遺産好き」という趣味への傾倒ぶり。マニア、フェチといってもいいレベルに到達した鈴木が、ついに“妄想”旅行記『行った気になる世界遺産』を完成させた。

◆執筆のための膨大なリサーチ「現地に行ったほうが早い(笑)」 

 鈴木書き下ろしのエッセイとイラスト満載の本書では、「ナン・マトール遺跡」「セレンゲティ国立公園」など、厳選された30の世界遺産を紹介するが、普通の旅行記とは違い、すべてが実際には現地に足を運ばぬままに書かれている。

 「昔から趣味で、行きたいところに“妄想”で行ってたんです」と口を開いた鈴木。「僕としては本当に行ってるんですよ。頭の中で。ただそれが変態的だという認識もあるので、読む方がどう楽しんでくれるのか」と多少の不安を漏らすが、出来上がった本は確かな出来栄え。その地に行った気になるだけでなく、1章ずつが1編の美しい小説として成り立っている。

 「かなりリサーチしています。嘘は付きたくないので。嘘とフィクションは違いますからね。世界遺産の魅力を最大限に伝えるために、めちゃくちゃリサーチして、理想の旅に(頭の中で)出かけています。正直、これだけリサーチに時間がかかるなら、現地に行ったほうが早いくらいなんですけど(笑)」。

◆仲間内でのあだ名は“すぐ調べるクン”

 世界遺産検定1級を取得している鈴木だが、世界遺産に興味を持ったのは、仕事を始めて以後。もともと旅行や歴史には興味があったものの、「世界遺産」というくくりでは見ていなかった。「意識するようになったら、いつの間にか詳しくなっていたんです」というが、そこに凝り性の性格が関係しているのは間違いない。

 「スマホが大好きなんです。世界遺産にしても、今はストリートビューがありますからね。すぐに(スマホで)行っちゃうんです。でも確かに、世界遺産だけじゃなく、何でも調べるタチではあります」と答え、「仲間内では、“すぐ調べるクン”というあだ名で呼ばれています。それ何?と疑問に思ったら、『ちょっと調べていい?』とすぐにスマホで調べます。兄が学者なんですが、僕にも学者肌なところがあるのかもしれませんね」と告白した。

◆「もっとできたという思いを残したくない」

 俳優業でも私生活でも、ターゲットにとことんのめり込む。そんな性格の源泉を鈴木は「責任感からかもしれません」と自己分析。

 「世に出るものには全力を尽くさないとダメだと思っています。脚本は隅から隅まで分かっておきたいですし、今回なら世界遺産の魅力を余すことなくプレゼンしたい。妥協はしたくない。観客や読者に向けてはもちろんですが、役や世界遺産に対しての愛情からですね。もしも、もっとできたという思いが残ってしまったら、役や世界遺産に対して失礼だと感じてしまいますから」と熱く語る。

 逆を言えば愛情を持てなければダメ。本書でいえば、どんなにビジュアル的に美しい世界遺産であっても、歴史的背景や文化的ストーリーに惹(ひ)かれなければ、書くことができない。実際、途中で書くのを止めた場所もいくつもあるのだとか。そんななか、特に強く惹かれたのが、ポーランドの「ワルシャワの旧市街」の歴史。中世を感じさせるこの街は、かつてナチスドイツの攻撃により焼け野原になり、そこから完全復元された場所なのである。

 「僕もビックリしました。ここにはポーランド国民の街への愛着や歴史への思いが詰まっている。毎年1度、1分間、ワルシャワの人々、全員が立ち止まる時間があります。本書では、その1年に1度の時間にワルシャワを訪れました。ぜひ皆さんにも知ってほしいし、そうした瞬間を紹介できるのも、想像の強みかなと思います」。

 鈴木の趣味全開の本書。その発売は、図らずもみなが自由に海外旅行を楽しめない今に重なった。

 「確かに奇(く)しくものタイミングですね。想像で旅をするのは楽しいし、ストレス解消にもなります。ひょっとしたらこうした想像力が、これからの時代を生きていく武器になっていくのかもしれない。なんて、自由に楽しんでいただければ。『かなり変な本だ』という自覚はあるので」と笑う鈴木。自分の好きを堂々と語るその姿はあくまで紳士。やけにまぶしかった。(取材・文:望月ふみ 写真:ヨシダヤスシ)

スタイリスト/HIRONORI YAGI
ヘアメイク/YASUSHI MIYATA(THYMON Inc.)

 鈴木亮平著『行った気になる世界遺産』は発売中。

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