黒沢清監督、深田晃司監督ら絶賛 『水を抱く女』新場面写真公開
クランクイン! / 2021年3月4日 12時0分
第70回ベルリン国際映画祭にて銀熊賞(最優秀女優賞)と国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)をダブル受賞したクリスティアン・ペッツォルト監督最新作『水を抱く女』より、新場面写真8点が解禁。併せて、本作を鑑賞した黒沢清監督や深田晃司監督ら著名人からのコメントも到着した。
本作は、ベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)受賞作『東ベルリンから来た女』(2012)など社会派で知られるドイツの名匠クリスティアン・ペッツォルト監督が、“水の精・ウンディーネ(オンディーヌ)”の神話をモチーフに描くミステリアスな愛の叙事詩。「愛する男に裏切られたとき、その男を殺して水に戻る」という切ない宿命を背負った女の物語が、官能的なバッハの旋律にのせて、現代都市ベルリンで幻想的に蘇る。
今回解禁された新場面写真は、パウラ・ベーア演じるウンディーネが際立つ存在感を漂わせる姿や、ウンディーネと恋に落ちる心優しい潜水作業員のクリストフ(フランツ・ロゴフスキ)との仲むつまじい様子などを切り取ったもの。劇中でカップルを演じたパウラとフランツについて、ペッツォルト監督は「彼らの相互作用には大きな信頼がある。これは今までに他の俳優コンビの間では感じたことはありません。彼らのあらゆる触れ合い、あらゆる視線、すべてが信頼と尊敬と信じられないほどの解放感に満ちています」と、2人の相性に太鼓判を押している。
また本作を鑑賞した著名人からも、絶賛コメントが到着。昨年、監督作『スパイの妻』が第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞(監督賞)を受賞した黒沢清監督は、同映画祭で審査員を務めていたペッツォルト監督の最新作となる『水を抱く女』について「これは驚いた。ドイツ製ダーク・ファンタジーだ。ベルリンの地縛霊が忽然とよみがえり、官能も恐怖も申し分なし。こんなのがあったんだ」と驚きの声を寄せた。
昨年、監督作『本気のしるし ≪劇場版≫ 』が第73回カンヌ国際映画祭の「Official Selection 2020」作品に選ばれた深田晃司監督は「パウラ・ベーアの視線に導かれベルリンがミクロの街角からマクロの歴史へと展げられていく快感。しかし、そこにあるのはひとりの女性への呪いだった。呪いをかけたのは誰か。巨大な悲しみをこの映画は私たちへと投げかける」とコメント。
俳優・映画監督の竹中直人は「自分がいつかこの世を去る時…心が張り裂けるくらいに何を自分の瞳に残せるだろう…狂おしいくらいに確かだったもの…それは一瞬だけ瞳に焼きついた《映像》なのかも知れない。止めどなく涙が溢れてしまった。素晴らしい映画だった」と賛辞を贈っている。
映画『水を抱く女』は3月26日より全国順次公開。
<著名人コメント>
●黒沢清(映画監督)
これは驚いた。ドイツ製ダーク・ファンタジーだ。
ベルリンの地縛霊が忽然とよみがえり、官能も恐怖も申し分なし。
こんなのがあったんだ。
●清塚信也(ピアニスト)
我々音楽家が数百年に渡り常に芸術作品にしてきたウンディーネの伝説をこんなに近くに感じられて、本当に素晴らしい経験になりました。
この映画に関するウンディーネも、やはり物悲しく、切なく、そして神秘的で、芸術的価値のあるものでした。
時折流れるピアノの音も美しく、芯から流す涙を経験しました。
都市伝説好きな日本人にも、是非お勧めです。
●池田理代子(劇画家・声楽家)
チャイコフスキーに「ウンディーネ」を、ドヴォルザークに「ルサルカ」を作らせ、アンデルセンに「人魚姫」を書かせた、魅惑に満ちた『水の精』の神話。
永遠に人々を魅了してやまないウンディーネ(オンディーヌ)の物語が、二人の名優を得て、現代を舞台の映画として登場した。
水の中に消えていく彼女の姿が、恐ろしくも愛しく魅力的で、忘れることが出来ない。
●竹中直人(俳優、映画監督)
自分がいつかこの世を去る時…
心が張り裂けるくらいに何を自分の瞳に残せるだろう…
狂おしいくらいに確かだったもの…
それは一瞬だけ瞳に焼きついた《映像》なのかも知れない。
止めどなく涙が溢れてしまった。素晴らしい映画だった。
●ロバート キャンベル(日本文学研究者)
「波」という意味のラテン語が語源の名をもつウンディーネ。
やさしく揺らぐような目で海を眺め、潮が引くように力強く男を誘って、深みへと連れていく。
その世界に浸る人は幸せであり、元には戻れない。
相手役をつとめるロゴフスキの演技に感動した。
●岡田利規(演劇作家・小説家・チェルフィッチュ主宰)
物語としては、とんでもなく奇妙で、ほとんど、いびつ。それなのに、映画としてのこの、溢れる説得力は、なんなのだろう?? すべてにおいて確信犯的(に違いない)なクリスティアン・ペッツォルトのマジックに、心地よく翻弄された。
●下村由理恵(クラシックバレエダンサー)
「宿命」とは切なく、悲しい。
私自身、舞踊化されたオンディーヌを演じた時に感じたこの感情。
終盤になるにつれ、どんどん引き込まれ、見終わった感覚は、今迄にないものでした。
可哀想なウンディーネ、宿命を恨むほど…。最後は涙、涙、涙しました。
●深田晃司(映画監督)
パウラ・ベーアの視線に導かれベルリンがミクロの街角からマクロの歴史へと展げられていく快感。
しかし、そこにあるのはひとりの女性への呪いだった。呪いをかけたのは誰か。巨大な悲しみをこの映画は私たちへと投げかける。
●渋谷哲也(ドイツ映画研究者)
ペッツォルトはいつも幽霊を主人公にする。行き場を失い新たな船出をひたすら待つ存在。
水の精ウンディーネもまた絶えず装いを変えてゆく大都市ベルリンをさまよう孤独な魂だ。
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