「重陽の節句」って何?いつ、何をする行事なの?
イエモネ / 2024年1月24日 15時3分
【2024年1月24日更新】9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」と呼ばれ、「端午の節句」などと並ぶ五節句の一つ。薬効があるとされる菊を用いて、長寿や無病息災を祈願します。菊を用いた菊酒や、収穫期の栗を使った栗ごはん、秋ナスなどが行事食。ピンポンマムというピンポン玉のような菊の花をお部屋に飾ったり、キク科のカモミールの香りでリラックスしたり、菊を取り入れて無病息災を願ってみてはいかがですか。
毎年9月9日は「重陽の節句」。「端午の節句」などと並ぶ五節句の一つです。その由来や行事食、おすすめの過ごし方について、和文化研究家の三浦康子さんに教えてもらいました。
重陽の節句とは?
重陽(ちょうよう)の節句とは、9月9日に菊を用いて無病息災や長寿を願う節句のこと。奇数は縁起のいい「陽数」とされ、9月9日は最も大きい「九」が重なることから重陽の節句となりました。
中国伝来の行事で、日本には平安時代ごろに伝わって貴族の宮中行事として取り入れられました。当時は、中国から伝来したばかりの珍しい菊を眺めながら宴を催したそう。菊には延寿の力があるとされ、菊を用いて厄払いや長寿祈願をしました。これが時代とともに民間にも広がり、江戸時代に五節句(※)の一つに定められました。
※五節句…人日(じんじつ/1月7日)、上巳(じょうし/3月3日)、端午(たんご/5月5日)、 七夕(たなばた/7月7日)、重陽(ちょうよう/9月9日)
他の節句に比べると、現代では馴染みの薄い重陽の節句ですが、命を尊び、健やかで幸せな日々が続くことを願う大切な日なのです。
重陽の節句の楽しみ方
重陽の節句に欠かせない菊や旬の食材を用いた行事食、風習などの楽しみ方を紹介します。どれかひとつでも取り入れてみてはいかがでしょうか。
菊酒
「菊酒(きくざけ)」とは、菊の花を漬けたお酒のこと。菊を鑑賞しながら菊酒を飲むと、長寿になると言われています。冷酒を注いだ盃に菊の花びらを散らして飲んでも風流ですね。
菊湯や菊枕
重陽の節句には、菊を湯船に浮かべた「菊湯」に入り、乾燥した菊の花びらを枕に忍ばせる「菊枕」で眠ると、菊の香りが邪気を払ってくれると信じられていました。
現代では、キク科のカモミールのエキスが入った入浴剤を使ったり、カモミールのアロマオイルを寝室で焚いたりするのが取り入れやすそうですね。
ピンポンマム
菊には仏花のイメージがあるので、日常使いには敬遠しがち。でも「ピンポンマム」という種類なら、ピンポン玉のような真ん丸のフォルムで、色のバリエーションも豊富。お部屋に飾ってもポップな印象です。
栗ごはん
重陽のころは栗の収穫時期と重なるため、秋の実りを祝って重陽の節句に栗ごはんを食べる習わしがあり、「栗の節句」とも呼ばれています。
栗ごはんは、市販の甘栗で作ると簡単。米1合に対し、むいた甘栗を4〜6個、塩小さじ1、1割増しの水を加えて炊飯器で炊きます。炊きあがったらしばらく蒸らし、米と栗をざっくり混ぜて。器に盛り付け、黒ごまを振っていただきましょう。
秋ナス
「おくんち(九日)にナスを食べると中風にならない」という言い伝えもあります。
「くんち」とは収穫を祝う秋祭りの一つで、旧暦9月9日に行われたため、その名が付いたと言われています。九州で行われる「長崎くんち」や「唐津くんち」はその名残りです。
ここでいう「中風」とは、発熱や悪寒、頭痛などの症状の総称。重陽の節句には、ナスの煮びたしや焼きナスなどのナス料理を食べて、不老長寿や無病息災を祈るのもいいですね。
監修:三浦康子
和文化研究家。日本の文化を今に生かす方法をさまざまなメディアで提案。事育」提唱者。著書に『子どもに伝えたい 春夏秋冬 和の行事を楽しむ絵本』(永岡書店)他多数。
http://wa-bunka.com/
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