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東海道五十三次の宿場町で「大工集団の町おこし」全国初の商店街ホテル

IGNITE / 2018年5月5日 18時0分

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大津百町は江戸時代、京都と北前船をつなぐ拠点として活気に溢れていた(画像提供(公社)びわこビジターズビューロー・大津市歴史博物館)

■地域工務店が会社をあげて行う地方創生ビッグプロジェクト。東海道の宿場町を大工の手で蘇らせる

その昔「大津百町」と言われ賑わった東海道五十三次の宿場町、大津。そのシャッター商店街に賑わいを取り戻す秘策として、町家を改装したホテル7棟が2018年4月29日一斉にプレオープンを迎えた。

半世紀ほど前までは、「結」(ユイ)や「講」(コウ)という日本の伝統文化を象徴する相互扶助組織がどこにも存在していた。

集落を代表して寺社仏閣に参拝し、その道中で学んだことを仲間に伝えることも目的だった。伊勢に詣でたように大津に来てほしい、古き良き日本の空気感を体感してほしい。ホテル名「講」にはそんな想いが込められている。

このプロジェクトでは、大工が商店街の空き家7棟をホテルに改修する。

7棟のうち 5棟は一棟を丸ごと貸し切るスタイルで、誰にも邪魔されることなく町家ステイを堪能できる。他の2棟にはひとり旅にも適した客室も用意する。

全国で町家を宿泊施設に転用した事例は多数あるが、このプロジェクトが他と大きく異なる点はふたつ。

ひとつは商店街で営業する飲食店や銭湯などを丸ごとホテルとして見立て、大津の街全体をコンテンツ化した想定という点。もうひとつは、行政でなく民間の中小企業がリスク投資を決意して始めた点だ。2018年2月に滋賀県立大学で行われた近畿財務局主催の地方創生セミナーでは、谷口氏が講師として登壇。民間企業が行う町おこしに注目が高まった。

代表の谷口弘和氏。昔は大手ハウスメーカーの大工だった

■「よそ者に貸す家はない」。突きつけられた壁と、改めて知った大津の魅力。

人口12,000人の滋賀県竜王町で、木造注文住宅の設計施工を行う工務店を経営する谷口弘和氏。平成13年に大工2人で開業し、現在社員数は80名を超える。社員の半数は大工で、その数は県内トップを誇る。建築業界では大工は外注が常識とされるなか、毎年全国の大学から新卒採用して大工を育成。住宅会社にも関わらず、現場監督や営業マンを置かず、高学歴大工が在籍する異色の工務店。年間の新築着工数は43棟、古民家再生や庭事業も請け負う。

谷口氏がこのプロジェクトを思い立ったのは3年前。支店計画がきっかけだった。
「京都大阪からの問い合わせが増えたため大津で場所を探していたのですが、街にはいまひとつ活気がありませんでした。シャッター街の商店街も多く、昼間も人通りがまばらで正直驚きました」。

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