伝説のF1ドライバーの名を冠する、史上もっとも“一体感”に優れたマクラーレン
IGNITE / 2018年5月28日 18時0分
1994年のF1サンマリノGP、アイルトン・セナがタンブレロコーナーに散り、“音速の貴公子”は伝説となってしまった。それから24年という月日が経っているとは思えないほど、あの時の映像が鮮明に浮かんでくる方も多いだろう。セナはまだ34才だった。
そして2018年、伝説の名を冠したサーキット指向型のロードカー「マクラーレン・セナ」が生み出された。
「セナ」の開発コンセプトは、「公道でも走れる、マクラーレンの究極のサーキット仕様モデル」。当然ながら、マクラーレンの頂点シリーズである“アルティメット”にその名を連ねる。
こちらの写真は、去る5月22日に増上寺で日本初披露された時のもの。「フォルムは機能に従う」というデザイン哲学に則ったアピアランスは、流麗かつ猛々しい。重視したのは軽量化やエアロダイナミクスで、各パーツをキャビンに“クリップオン”する方式を採用している。
とくに象徴的なのは、可動式のアクティブ・フロントエアロブレードとアクティブ・リアウィングになるだろう。走行中、直線でもコーナリング中でもこれらが継続的に角度を変えることによって、時速250キロで800kgに達するという強大なダウンフォースをはじめ、トラクションの向上や空力バランスの微調整を行う。
ミッドに積む4.0LのV8ツインターボエンジンは、最高出力800ps/7,250rpm、最大トルク800Nm/5,500~6,700rpmを生みだし、3,000rpm程度の回転域でも最大トルクは700Nmにもなる。
トランスミッションは7速DCTを組み合わせ、完全停止からわずか2.8秒で時速100キロ、6.8秒で200キロ、17.5秒後には300キロに達する。最高速度は340キロをマークしている。
ブレーキパフォーマンスも驚異的で、理論上の制動距離は時速300キロから215m、200キロから100m、100キロからは30m未満となっている。
ボディサイズは、全長4,744×全幅2,051(ミラー収納時)×全高1,229mm。カーボンファイバー製シャシーとカーボン製ボディパネルとの超軽量化によって乾燥重量は1,198kgに抑えられ、パワーウェイトレシオは1.49kg/psを実現しているという。
カーボンファイバー製の軽量レーシングシートをはじめ、コックピット周りもカーボンファイバー剥き出しとして軽量化を促進。ヘリコプターのパイロットが得る360度の視野にインスパイアされたというガラス張りのドアは、視認性を向上させつつデザイン上のアクセントにもなっている。
足回りには油圧式のアクティブサスペンション、ドライブモードは「コンフォート」「スポーツ」「トラック」の3種類を採用。乗り味はマシンからのフィードバックを重視して快適さのレベルを必要以上に追わず、強烈で直感的なドライビング・エクスペリエンスをもたらすセッティングとされている。そう、ドライバーとマシンとの“絆”とも言える絶対的な一体感が、このマシン最大の特徴なのだ。
価格は約1億円(67万5000ポンド)。1台ごとに約300時間をかけて、今年9月から手作業で組み上げが始まる。限定500台のオーナーはすでに決定。日本に何台が割り当てられたかは不明だが、どこかで見かけた時はかなり貴重な瞬間になるだろう。
(zlatan)
画像元:マクラーレン・オートモーティブ
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