4月の休みは、木村伊兵衛写真賞の受賞作品を見に行こう

3月17日、第40回木村伊兵衛写真賞の受賞者が発表された。

石川竜一氏と川島小鳥氏の2人が受賞した木村伊兵衛写真賞とは、どんなものなのだろうか。2人の受賞作品と併せて、紹介していこう。

■木村伊兵衛写真賞とは

木村伊兵衛写真賞は、故木村伊兵衛の業績を記念して1975年に創設された。木村伊兵衛は戦前・戦後を通じて日本の写真界の発展に貢献した人物である。

プロ・アマ、年齢を問わず、毎年1月から12月までに雑誌、写真集等で発表された作品を対象とし、優れた成果を上げた新人写真家に贈られる賞だ。朝日新聞社が主催し、受賞者や受賞作品は毎年3月発行のアサヒカメラ誌に掲載される。

新人を対象としていることや、優れた写真家を輩出していることから「写真界の芥川賞」と呼ばれることもある名誉ある賞だ。

■受賞者　石川竜一氏

（c）Ryuichi Ishikawa

対象作
「絶景のポリフォニー」
「okinawan portraits 2010-2012」（赤々舎刊）

石川氏は、1984年沖縄生まれ。

沖縄国際大学社会文化学科卒業で、在学中に写真と出会った。
2010年、写真家の勇崎哲史に師事し、2011年に東松照明デジタル写真ワークショップに参加ししている。
2012年には「okinawan portraits」で第35回写真新世紀佳作を受賞。
写真集には「SHIBA踊る惑星」「しば正龍 女形の魅力」「RYUICHI ISHIKAWA」がある。

石川氏は、生まれ育った沖縄を舞台に写真を撮る。受賞作品である「絶景のポリフォニー」や「okinawan portraits 2010-2012」も同じだ。何を撮りたいかではなく、日常を撮ると何が写るのかを知りたいという石川氏のアイデンティティーが詰まった作品になっている。

■受賞者　川島小鳥氏

（c）Kotori Kawashima
対象作
明星

川島氏は、1980年東京生まれ。
早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、沼田元氣氏に師事している。
2006年、一人の少女を4年間にわたって撮り続けた作品で、第10回新風舎平間至写真賞大賞を受賞。
2007年には写真集「BABYBABY」を発売し、2011年には友人の娘を撮り続けた作品「未来ちゃん」で第42回講談社出版文化賞写真賞を受賞。

受賞作品は、3年間台湾に通い、時には現地で暮らしながら台湾の少年少女の姿を撮ったキュートな写真集だ。
イキイキとした若者達に惹かれて台湾通いが始まり、「新しい星「明星」だと思った」という瞬間を切り取った作品になっている。

受賞作品の展示は、4月11日～20日まで、東京・新宿のコニカミノルタプラザ（ギャラリーC）で開催される。写真界の新星の作品を、見に行ってみてはいかがだろうか？

＊第40回木村伊兵衛写真賞受賞者決定のお知らせ

（月野透子）