仮面ライダー演技論。演技の上手い下手って何だろう?
インフォシーク / 2013年1月8日 17時30分
1月6日放映の仮面ライダーウィザードで、とうとう2号ライダーが姿を現した。知らない方のために簡単に説明するが、昨今の仮面ライダーシリーズは必ず2人目の仮面ライダーが出てくるのである。そうしてストーリーには厚みが施され、おもちゃ屋には1号ベルトと2号ベルトが並び、メーカーとおもちゃ屋はウハウハなのである。きっとね。
今回現れた2号ライダーは、仮面ライダービースト。モチーフはライオンである。なんと変身のときには変身ベルトが「エル・アイ・オー・エヌ♪ ライオーン!」とご丁寧に説明してくれる。実は主役の仮面ライダーウィザードも、変身ベルトが「シャバドゥビタッチ・ヘンシーン!」と自分の役割を陽気に説明するので、今回の仮面ライダーはとにもかくにもやかましい。
そんな仮面ライダービーストを見ながら、私はぼんやりと考えていた。演技が上手いとか下手とかって何なんだろうな。
主役の白石隼也と、ビースト役の永瀬匡の演技があまりにも違ったのだ。白石隼也は非常に淡白というか、薄い演技。なんというか、醤油顔な演技である。例えがおかしいですね、はい。かたや永瀬匡は熱くて濃い演技。まさしくソース顔な演技だ。もちろん演技を現す言葉ではないが、まぁそんな感じなのである。
どちらが良いとか、正しいとか、そんなことを言いたいわけではなく、温度差がなんとも気になった、というのが本音である。
私は過去に、2つの演技方法を学んだことがある。って、私なんぞが知ったかぶって語ると、あらゆる方面から専門家クレームが矢の如く飛んでくるだろうから、あえてぼかしながら書くことにするけれど、フランスで生まれた演技論と、アメリカで生まれた演技論であった。
フランスのものは、身体に注目するのだが、感受性を掘り起こしながら本質にたどり着き、それが拡大されてダイナミックな演技になっていくというもの。(多少違ってもクレームは受け付けません)
アメリカのものはというと、あらゆる外面状況・条件を収集し事細かに設定の準備を施し、その中に自分を放り込む。自身の体験を擬似的に置くことで、心がいっぱいになるような感情行動も自然体となっていくものだった。(多少違ってもクレームは受け付けません!)
私自身はアメリカのスタイルの方が性に合っていたのだが、そんなことは誰も聞いていないので置いておくとして、この2つの演技論が同じステージに立つことは可能なのだろうか、と当時はよくそんなことを思った。
そして今回の主役とビーストの演技は、そんな難しいことまで考えさせるくらいの、THE・醤油演技と、THE・ソース演技に見えたのである。
ちなみにこの演技は、偶然ながら2人のキャラクター設定にも似ている。そもそも主役は、今どきのチャラい、本心を隠したキャラクター設定のはず。そうして絶望に負けそうになったとき(言いかえれば死にそうなとき、もしかしたら死にたくなったとき)、心の支えを必要とする、というような前提で日々救済活動をしている。かたやビーストは、まだ謎に包まれていることが多いが、悪玉の大将がビーストのことを「古(いにしえ)の魔法使い…」と呟いたこと、悪玉たちはビーストにとってはただの食糧であること、そして会話から察するに、もしかしたら絶望に負けるなんてことはそもそも考えたこともなく、そんなことより明日のために食らうことの方が大事、死とは食らうことができなくなったとき、という人間の原始的姿である可能性がある。なんというか、これまた醤油的生き方とソース的生き方と言えなくもない。そしてそれが、今回の2号ライダーのメッセージかもしれない。
まぁそんなことも手伝ってか、2人の演技の醤油 vs.ソースなズレは、より表面化しやすい。そう思うと演技が上手いとか下手とかいうのは、現実に見ている側に受け入れられるか、られないか、ただそれだけなのかもしれない。出てくる役者全員が同じ演技論を学んでいない限り。演技の技術が役者にとっての根拠やトレーニングでしかない、となると少し寂しい話ではある。日本だけなのかな。
仮面ライダーウィザードは面白い。演技に対しての違和感が命とりになってはいけないのだ。仮面ライダーのアクションに負けるな、がんばれ、若き俳優たち!
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」の運営や、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターTV」(インターネット)の製作をしている。
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