バカの気持ちがわからない ~1分でわかる大阪人の言い分~

インフォシーク / 2013年5月22日 15時30分

東京・神宮球場、3塁側外野席

大阪人は怒っているように思われやすい。

その理由はわからなくもない。口調の荒さがそう感じさせるのだろう。

先日、家路へ続く終電数本前の車内で、大学時代の友人M(男)とばったり出会った。

「もうすぐ結婚するねん」とドヤ顔をかましてきたコテコテ大阪人に久々に会ったせいか、電車内ではあったが些か盛り上がった。

M「お前、結婚式来いや」
私「大阪やろ?遠いわ。なんで行かなあかんねん」
M「アホか。式、ちょうど1ヵ月後やさかいまだ日あるやんけ。調整せいや」
私「アホ。忙しいっちゅうねん。駅でバッタリのタイミングで言うなや。時間も金もないわボケ」
M「ほな、しゃあないな。来て欲しかってんけどなぁ」

切れ目なく会話が続く。文字に起こすと荒々しいが、面持ちは終始にこやかだ。

私「ほな調整したるわ。細かいことわかったら教えてや~」
M「さすがや!」

そんな話をしているうちに私が住む最寄駅に到着。

座席から立ち上がり「すみませ~ん」と手刀付きで降りようとしていたそのとき、周囲の雰囲気にびっくりした。

立ち上がった周辺はササーッと人が離れ、通り道が生まれていく。終電に近い時間特有のやや混みな車内なのに、まるでモーゼ。十戒状態。

そして道を創り上げた東京人はみな下を向いている。

いわゆる「無視」を決め込んでいる。

やってもうた。

「ケンカしてる」と思われてしまったのだ。

私自身、車内でたまに見かけるケンカし合っている乗客には「しょーもない、早よ帰れボケ!」と思ってはいても口には出さず、通り道を開けている。

それと同じ行動をされたのだ。ただの会話というか、若干のイチャイチャをケンカだと思われたのだ。

東京人よ、活気ある大阪弁をケンカと捉えるな。

そして恐れるな。

これまでもいくつか「怒ってるんですか?」と聞かれたことがある。

荒っぽい口調や止まらないかけあいがそう思わせるのだろうが、なにより疑惑の目を向けられる一番の要素はきっと「アホ」だろう。

アホ。

東京でいうところの「バカ」に近い。しかし全く同じ意味とはいえない。

毛嫌いなどしていない相手との会話で、何の気なく言い合う「アホ」。

相手がなにを言っているのかよくわからないときにも「アホか?なに言うてんの?」とワンクッションを置くときにも重宝する。

しかし東京人に同じ要領で使うと、相手からは「真剣に相談してるのにアホって…」と怒る人もいる。

テレビの向こう側で関西芸人が「アホか」を発してもギャグで済んでいるが、自分に言われるとなると、降りかかる火の粉は払わねばならぬな精神が突然舞い降りるのだろう。

電車の中で下を向いていた免疫力の低い人たちに「アホか」と言ったら憤慨されていただろう。

では、東京人が使う「バカ」について大阪人はどう思っているか。

「東京人にアホと言ったら怒るのと同じで大阪人にバカと言ったら怒る」とよく言われるが、それは間違いだ。

別に怒ることは無い。

しかし「バカ」は、使い方や意味がわかりにくい。

たとえば、「バッカじゃないの?」と崩した言葉は「バッカじゃないの?(笑)」と「バッカじゃないの?(怒)」の場合があるが、笑いながら言っている人も実は本気で怒っている人もいるので、怒っているのか怒っていないのかがわからない。

上京したての頃、ある上司から「バカにしてんの?」と言われた。

声色からキレている雰囲気はない。というか飲みの席。お互い酒が回っていた。

しかも私に向けて言ったのではなく、上司のウケないギャグを誰も拾わなかった状況。

一番後輩の私は「軽い感じで絡んで来てるんやな」と判断し「してないっすよ~」程度で返したが予想は外れ上司の逆鱗に触れた。

「アホ」と言う大阪人とたまたま居合わせただけで、目線を合わそうとしない東京人の自意識過剰ぶりには驚くが、大阪人は誰であれどんな風に「バカ」と言われても、平静を装いリスクヘッジを図る必要があるようだ。

鹿タカシ
しかたかし ライター・コピーライター・歌い手(バンド活動休止中)。大阪生まれ。大阪芸術大学にて写真を専攻した後に上京しなぜかコピーライターとなって約10年。現在は都内広告プロダクションに勤務しながら、大阪人からみた東京、また東京在住の人からみた大阪人について研究。

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