図解：仮面ライダー鎧武の登場人物たち

「図解：仮面ライダーの登場人物たち」

「ところで…アイツは誰なのだ！」

ということは、ときどきある。

テレビの生中継など見ていても、ときどきアナウンサーよりも目立つ放送事故気味ギャラリーがいて、「ア…アイツは誰なのだ！」となるときがあるし、後ろにスタッフなんか映っちゃったりして「バ、バカ！…アイツは誰なのだ！」というときもある。また、パーティーなんかで有名人と仲良く喋っているのだけれど、まるで誰だかわからん、「…アイツは誰なのだ…？」というのもある。

他にも道を歩いていると、空き缶を頭に乗せてバランスをとりながら歩いている妙なおっさんがいたり、公園で花を愛でていると思ったら突如食べるおっさんもいる。

「ゲゲッ…ア、アイツは誰なのだ!!!」

なのである。

かくいう私も、（花は食べないが）、友人の映画監督・清水崇がハリウッドで呪怨をリメイク撮影（The Grudge）し、東京凱旋・大・大・大試写会！ のようなものが催されたあとの打ち上げで、多くの関係者及び清水崇監督に売り込みたくてウズウズしている俳優陣がゴッタ返す中で、なぜか清水崇監督が、ずっと私の隣でバカ話をし続けたことがある。

あのときはさすがに、「近づけない…、一緒に笑っているあのバカ面、アイツはいったい誰なのだ！」という空気を味わった。

（そういう思惑から逃げたくて、私の隣に座り続けていたかもしれません、もしかしたら…の話ですが！）

ついでに書いてしまうが！ 3月1日に全国公開した「実写版 魔女の宅急便」の初日舞台挨拶（新宿バルト9にて）で！ 挨拶中の舞台上で、清水崇監督の携帯が何度か鳴っていて、「…だ、誰だ！ こんな大事なときに監督に何度もメールを送るバカは！」となっていたかもしれないのだが…え～っと、え～っと、あれはですね、え～っと、え～っと、犯人は…私ですね、はい。

だって、まさか、舞台挨拶に携帯持ってくなんて思わなかったのだ！

え～っと…関係者のみなさん…本当に申し訳ありませんでした…。

さてさて、余談は置いておいて、こんなことを書いた理由は、仮面ライダー鎧武の話をしたいからなのである！

毎週日曜朝に放映されている仮面ライダー鎧武が、実に面白い！ フルーツライダーという設定も面白いのだが、地球を守るために行動する色々な立場の登場人物たちの、それぞれの人間性に潜む問題描写が、これまた面白いのだ。

というわけで、登場人物を単純な図で分けて表してみた！ （画像をご覧ください）

縦軸は、力主義と博愛主義で分けている。違う言い方をすると、オレたちの目的を達成するために犠牲はさ、まぁ知ったこっちゃねぇだろ、特別な存在であるオレがいることが大事だろ？ という主義と、いやいやそれはどうだろう？ 大事なことって何だっけ？ なんだっけ？ ポン酢しょうゆがあること…じゃないよね、ラブじゃないの？ ピースじゃないの？ 愛し合ってるかい？ という主義なのである。

横軸は、正義と悪である。これは違う言い方をすれば、本当に地球のために闘おうとしている者と、まぁ、それよりはオレの欲望優先でしょ、という者と思っていただきたい。

縦軸の上部には、主人公が住む街の支配者たちが位置されている。一般市民たちは下部だ。ちなみに主人公は、下部なのである。

ここで面白いのは、街の支配者のリーダー的存在は左上「力×正義」に位置するのに、彼の右腕とも言える側近たちは全員、右上「力×悪」に位置することである。

街の支配者のリーダー的存在は、その力主義傾向破綻人格から、他人からまるで信頼されていないのである。かなりの嫌われ者だ。側近たちは、ひとまず従っているフリをしているだけなのである。

このあたりの、力主義の姿と、一度権力や力を味わうと底抜けに邪心が生まれてくる人間的限界は、社会や会社にもよく見られる風景で、思わず唸ってしまうお父さん方も多いのではないか。

主人公は左下「博愛×正義」だ。彼はあくまで、一般市民的人間なのである。たまたま仮面ライダーとしての力を手にしてしまったが、彼はそのおかげで、力の使い道に迷いながら闘う傾向がある。

右下「博愛×悪」は、登場人物としては今のところいない。ただし、実は一般市民のほとんどは、ここに属する可能性もあるのが、仮面ライダー鎧武の特徴と思う。人間は基本的に悪の要素を持ち、悪に支配されやすく、世の中には理由のない悪意がある、ということを描いている面があるからだ。

3月2日（第20話）に放映された仮面ライダー鎧武に、こんなセリフが出てきた。

「（理由のない悪意は）ある日、突然に現れ、世界を覆い尽くした」
「1人の憎しみは、100人の善意を打ち砕く力を持つ」

仮面ライダー鎧武、奥深い。生きている中で…思い当たることが多すぎるぜ…！

…えっ？ 冒頭の「ところでアイツは誰なのだ!?」の話はどうなったのかって？

この図に出ていない登場人物がいるのである！ パティシエの仮面ライダーだ！

地球を守るわけでもなく、悪というわけでもなく、ただ菓子を作って、闘っているだけの仮面ライダー。

最初は強かったのに、ただのギャグ要員になった仮面ライダー！

…いや、ホントに…オマエは、いったい誰なのだ!?

（えっと…強引でしたか？）

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ガッケンター
1973年1月生まれ。芸術家。ライター。MC。芸術活動のかたわら、仲間と協力してゆるゆる映画応援サイト「ガッケンターサイト」、フリーペーパー「ガッケンターニュース」、映画監督や俳優もゲスト出演する「ガッケンターＴＶ」（インターネット）を展開。