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世界が注目する鹿児島 ~「生きた火山」桜島を楽しむ旅へ~

インフォシーク / 2014年3月28日 14時0分

鹿児島市街地のあちこちから見える桜島

ドーン!とにぶい爆発音が聞こえ、山頂からはモクモクと噴煙。昼なのに街は暗く、人々は雨でもないのに傘をさして歩く。桜島噴火のニュースが流れるたび、火山灰があんなに降る街は大変だなあ、と同情してしまう。

ところが最近、そんな鹿児島が、世界の注目を集めているらしい。

昨年1年間の噴火はなんと835回。火山のすぐそばで、これだけの大都市が機能しているのは、世界的にみても非常に珍しいのだとか。生きた火山と、そのふもとで暮らす人々の魅力を知るべく、いざ、鹿児島へ。

●体を震わせて灰を払う柴犬
高い建物が少ない鹿児島市では、市内至るところから美しい桜島が眺められる。湾の近くの高台に上がり噴火見物へ。どっしりと構える桜島を見つめること10分……突然、音もなく山頂から噴煙がバフッ! もう一回、バフッ! まさに生きた火山だ。

しかし、「おおっ!」とどよめいて喜ぶのは観光客ばかりで、地元の人は眉間にシワを寄せ「うあ~」。それもそのはず、噴煙が風に乗ってこちらに来ようものなら、空からドカ雪ならぬドカ灰が降ってきて、せっかく洗った洗濯物も磨いた愛車も灰だらけ。市民にとって、天気よりも気になる降灰予報。「桜島上空の風向き予報」や「降灰速報メール」を日々チェックしているそうだ。

ふと民家の庭先を見ると、ぶるぶると体を震わせている悲しそうな柴犬がいた。頭にも背中にも積もった灰を払い落としているのだろう。庭や家先に積もった灰を、人々は雪かきのごとくかき集め、市から配布される「克灰袋」に入れ集積所へ。持ってみたら、これまた、どっしりと重い。鹿児島に1年住んだら、二の腕が締まりそうだ。


集積所に集められた「克灰袋」。灰を克服するという意味だそう

●道を歩けば、イルカが飛び出す!?
鹿児島の人は怒るかもしれないが、実は桜島を島だと思い込んでいた。大正3年の大噴火で大量の溶岩が流れ、大隅半島とドッキングして陸続きになったそう。その上、桜島に約5000人も暮らしているのも知らなかった。火山の真下に人が住めるものなのか? もやもやもやと沸き起こる疑問。ドッカン!ときたら、ちょっと怖いけれど、フェリーで桜島に渡ることにした。

鹿児島港へ到着すると、港の錦江湾につながる水路に人だかり。みんな水路を覗き込んでいる。何かいるのかしら? 水面がユラユラと波打ったその瞬間、水面をバッシャーンと割ってイルカ3匹が華麗なジャーンプ!!って、あれ? 水族館の外だよね? なんと、フェリー乗り場の横にある「いおワールド かごしま水族館」では、1日数回、水路にイルカを放し無料で曲芸を見せてくれるそう。鹿児島の水族館、太っ腹すぎる!!


(左)ごく普通の水路で見られるイルカの大ジャンプ(右)水族館では、もっとすごいショーが堪能できます

●船は24時間 酔っ払いに優しい街
水族館にスイスイ泳いで帰っていくイルカたちを拍手で見送りながら、フェリー乗り場へ向かう。せっかくなので、錦江湾を50分かけて周る観光船「よりみちクルーズ船」をチョイス。神瀬や大正溶岩原を見ながら、さまざまな角度から桜島を楽しめる。

ちなみに、普通の定期船は、桜島港まで約15分、大人は運賃160円(4月1日より)。驚くべきことに24時間運行だ。桜島からフェリーで出勤しているサラリーマンも多く、飲み屋で深夜までグダグダ飲んでいても、深夜料金もなくいつでも150円で帰ってこられる。「だから、つい飲んじゃうんだ。酔っ払って船で寝てても、ちゃんと起こしてもらえるし」と語る地元の男性。さすが芋焼酎の本場、のん兵衛には親切だ。

忘れてはならないのは、定期船名物の立ち食いうどん「やぶ金」。乗船から下船まで、わずか15分。猫舌の人がうっかり頼んだら、下船できないのではと心配になるけれど、ささっと出してくれるから大丈夫。


(左)よりみちクルーズは毎日1便運行(右)注文してすぐ出てくる「やぶ金」のうどん

●マグマな島に、ついに上陸!
さあ、いよいよ桜島に上陸。「スーパーマグマロード」と名づけられた恐ろしげな道を通り、湯之平展望所へ。じょじょに近づく火山。バフッ、バフッと噴煙を上げ、強気な噴火で観光客を威嚇する。向こう岸では、笑って見ていられたけれど、ぐっと山肌が近づくとやはり怖い。地底からぐつぐつマグマが煮え立つ音が聞こえてくるようだ。

うろたえる観光客とは裏腹に桜島の人は慣れたもの。とはいえ、もしもの時のために、防災訓練は欠かさず、各地域ごとに避難用の港や、噴石を避けるための避難壕が点在している。市街地よりも灰の量も多いためか、お墓にまで屋根がついている。

●みかんを練りこむ桜島のうどん
けれども、そんな困った灰にもいいところがあって、いや水はけの良い火山灰土壌だからこそおいしく育つ農作物がある。世界最大の大根「桜島大根」と、世界最小のみかん「小みかん」だ。その小みかんが練りこまれた「小みかんうどん」が観光客に人気なのだとか。みかんとうどん。炭水化物に柑橘類。あまり思いつくことのない勇気ある組み合わせ。

食べる前は不安でいっぱいだったのだけど、これが実にうまい。酸っぱすぎず、ほんのり甘さがあって、つゆと素敵にからんで思わずペロリ。次世代のすごいうどん、道の駅「桜島」火の島めぐみ館でいただけます。


(左)人気の小みかんうどんセット。ついてくるかき揚げも評判だとか。(右)桜島大根は通常6キロ、大きいもので30キロにも

●今年の休暇は「火山の旅」を
お腹がいっぱいになったら、ごつごつした溶岩が続く「溶岩なぎさ遊歩道」を散策しよう。途中の「桜島」溶岩なぎさ公園足湯に足をつけながら、錦江湾の行きかう船を眺めれば極楽気分。桜島での楽しみ方はいろいろだ。砂浜を掘れば、温かい温泉が湧き出てマイ足湯を作ることもできるし、海水浴にカヌー、火山ガイドウォークや桜島の灰を活用した陶芸体験、溶岩で作ったピザ釜でピザを焼くなどのプログラムも用意されている。

街を歩いていると、桜島を見上げて、「今日はいい子だ」「昨日は機嫌悪くて困った」と語るおばちゃんたちの桜島談義を耳にする。まるで我が子。愛されているなあ。

一方で、タクシーのおじさんや駅前にある「かごっまふるさと屋台村」のマスターたちと話をすると、決まって「東京から来たの? ここ、何にもないでしょ?」と謙遜されるのだが、いやいや、おじさんたち、自分の住んでるとこのスゴさを分かってないな。「うちのマンションから東京タワーが見えて、夜景がきれいで」と自慢されるより、「うちの庭から火山が見えて、時々爆発して」と語られたら、もう世界最強。世界各地を旅してきたけれど、火山と人が見事に共生してる、こんなにイケてる場所もないと思うわ。一生に一度は生きた火山を楽しむ旅。今年の休暇は、桜島上陸はいかが? 火山を堪能しながら、鹿児島の人たちの暮らしに触れてみてはいかがだろう。


(左)雄大な桜島を見ながらポカポカに。温度はかなり高い。(右)溶岩なぎさ遊歩道。森になるまではあと100年かかるそう。

●鹿児島市観光サイト「よかとこ かごんまナビ」

●桜島観光ポータルサイト「みんなの桜島」

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