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『ヘブバン』が紡いだ奇妙な縁!高校生が新作ゲーム『Starry Museum』開発者にインタビューする様子を密着取材

インサイド / 2024年9月22日 12時30分

G-blossomとGlitzVisualsが2025年夏リリースを目指してSteam/ニンテンドースイッチ向けに共同開発中している『Starry Museum』。主人公・アストンが記憶を取り戻すため、光る猫・テリアと共にギミックを解きながらステージを攻略していくホラーアドベンチャーです


煌めく星明かりに照らされた幻想的な世界観と、印象的なグラフィックにホラー要素を織り交ぜた、独創的なテイストの作品であり、公称ジャンルは「幻想ホラーアドベンチャー」とされています。


先日、“とある人気スマートフォンゲーム”がきっかけとなり、ひょんなことから横浜創英高等学校の学生たちが課外授業の一環で、『Starry Museum』を手掛けるG-blossomとGlitzVisualsに開発者インタビューを実施することになりました。


AAAタイトルのみならず、ハイクオリティなスマートフォンゲームの台頭に加えて、インディーゲームの熱が勢いを増しているゲーム業界の多様性のような時代。果たして2006年生まれの高校生たちは何を思い、どんな質問をクリエイター陣にぶつけていくでしょうか?


今回インサイドでは、横浜創英高等学校の高校生グループが、開発者インタビューを実際に行っているところに密着取材を決行しました。本稿でそんな様子をお届けしていきます。


※本インタビューは2024年6月10日に行われたものです


◆企画の始まりはあのスマートフォンゲームでの繋がりから


米岡 氏:──今回はこのような企画にご参加いただきありがとうございます。株式会社StealthWorks.代表の米岡と言います。こちらにいる坂井くんが私と同じ『ヘブンバーンズレッド』のプレイヤー同士で繋がっております。


今回の企画ですが、弊社StealthWorks.が『ヘブバン』のムービーを作成し、生放送内で取り上げられたことがコミュニティの中で広まりまして、それを機に坂井くんの通う学校の課題として「ゲーム製作の研究」にまつわる相談を受けました。


【ヘブバン】メインストーリー第四章後編「凍てつく息吹と爆ぜる感情」開幕直前特別番組 1:27:45〜

最初はシネマティックに関連するところで協力していましたが、実際のゲーム製作そのものについても知りたいということで、今回株式会社G-Blossomと、株式会社Glitz Visualsにご協力いただくことになりました。


村石 氏:株式会社G-Blossomの村石と申します。弊社はエンジニアに強みを持った会社でして、他社のゲーム開発に参画・開発協力するのを事業としています。自分自身がエンジニアとして育ち、ゲーム開発に携わって10年ほどが経過しました。


やはり自分自身でもゲームが作りたくなりまして、コアゲーマーというよりはライトユーザーや、ゲームの楽しみをまだ知らない人たちに向けて、満遍なく届けられるゲームを目指しています。今回触れてもらった『Starry Museum』も、「誰でも楽しめる」「コア過ぎない」といったところを目指して開発を進めています。


江口 氏:Glitz Visuals代表の江口と申します。僕の会社は基本的にゲーム開発というよりかは、ゲームで使われるCG、モデリング、アニメーション、ライティングなどを主な事業としております。あとは、米岡さんのStealthWorks.が得意としている映画だったり、CGだったりムービーだったり...そのシステムのパイプラインとかを作ったりもしています。


ありがたいことに『ファイナルファンタジー』とかほかにもあまり言えない大きなタイトルとか、映像とゲームのどちらでもやらさせていただいています。あとは僕がカジノが好きでして、「テキサスホールデム」というポーカーの会社も運営しています。


坂井くん:横浜創英高等学校3年の坂井優斗と申します。今回、米岡さんに凄くお世話になりまして、自分もこうした企画が実現できて嬉しいです。米岡さんも仰っていましたが『ヘブバン』が凄い大好きで、インサイドさんの記事も拝見していますし、ここには凄いゲームが好きな方が集まっているのかなと思います。


先ほど『Starry Museum』を試遊させていただき、コンシューマーゲームを凄く久しぶりに触りました。ああこれが本当のゲームか...みたいな感動がありました(笑)


茅野くん:横浜創英高等学校3年の茅野真大です。課外授業の一環として今日はお話を聞かせていただくのですが、自分もゲームが好きですので有意義な時間にできればと思います。よろしくお願いします。 


小林くん:横浜創英高等学校3年の小林聖和と申します!最初はゲームという観点で課外授業を進めていたんですけど......。まさかここまで、こんなところまで話が大きくなるとは思っていなかったです(笑)


先ほど江口さんが携わっていらっしゃる『ファイナルファンタジー』シリーズとか大好きな作品なので、ぜひ色々な話を聞けたらいいなと思います。


香西くん:横浜創英高等学校3年の香西俊冶と申します。最初はこちらの3人で課外活動を行っていまして、僕はそこに後から参加しました。僕はゲームに限らず、漫画・アニメ・小説などいろんな媒体の「物語」を探究しています。


今回はそれをどのように表現されているのか、製作しているのかなどが気になって、今回の活動に参加させていただきました。本日は有意義な時間にしたいと思っております!


村石 氏:いやぁ......ハードル上がるなぁ(笑)


米岡 氏:坂井さんからの話がまさかここまで大きくなるとは......みたいなものはありますが、これが大人の段取り力だということを見せられたんじゃないかと思います(笑)



◆高校生たちの興味は尽きない。気になるアレコレにクリエイター陣がガッツリ回答した学生インタビュー


━━では最初の質問です。現在のゲーム市場はスマートフォンゲームも含めて、レッドオーシャンな市場だと考えています。中には類似した作品も数多く見られる世界で、自社のタイトルが埋没しないためどのようにして独自性を生み出していますか?(坂井くん)


江口 氏:キッツい質問ですね...(笑)


村石 氏:(笑)


そうですね。まず企画的なところから話しをしますと、トレンドを探しつつ、何かと何かを組み合わせて新しいものを作るということを考えています。今回の『Starry Museum』も、綺麗なグラフィックにホラーの相反する要素を組ませたらどうなるのか?といったところが独自性として挙がりますね。


ただ、Steamストアに並ぶと間違いなく埋もれてしまうので、サムネイルをキャッチーなものにしたり、言葉選びを工夫したりもしています。マーケティングはすごく大事なので、SNSをやるにしても定期的に更新するのではなく、スライドしていたら思わず目に止まってしまうような投稿だったりとか。


そういう言葉選び、ビジュアルっていうのを今後考えて『Starry Museum』でもやっていかなければいけないなぁ、と感じています。


江口 氏:僕の中ではマーケティングが特に凄く大事なところだと思っています。ゲームの内容も大事ではあるんですけども、似たようなゲームというのは出てしまう。毎日数多くのゲームが出ているので。そうなると「どうマーケを変えるのか?」という話になリます。


アート面で新しくても、カレー味の●●●か●●●味のカレーなのか、みたいな問題になってくると思っていて。アートはもちろん全力を尽くした上で、SNS以外にもインフルエンサーマーケティングのような、“人が人を繋いでくれる部分”というのが今の時代に大事なんじゃないかな、と思っております。


━━ゲームを制作する上で「世界観」「ストーリー体験」「だれもが遊びやすいゲームシステム」など、大切にしていることは人それぞれあると思いますが、お二人がゲームを制作する上で一番大切にしていることはなんでしょうか?(茅野くん)


村石 氏ライトユーザーに楽しいゲームをしっかり届けたいと思っていて、「わかりやすさ」「操作のしやすさ」「のめり込みやすさ」みたいなところを大事にしています。複雑なものが嫌というよりは、できるだけ色んな人に触って貰えるものを考えて作っています。


江口 氏:ウチはゲームを作っているというより、ビジュアルを作っている会社に近いので、ちょっとニュアンスは違うかもしれないですが、作っている人が何より楽しむことが一番大切だと思っています。


苦しみだけで作ったものってあまり良いものじゃないんですよね。ほとんどの仕事の90%くらいはツラいもので、残り10%の快感のために我々は仕事をしているんですけども、その10%がとてつもなく楽しんですよ。ほとんどの時間は苦しいんですけど(笑)


マラソンもほとんど苦しいけど、最後ゴールしたときとてつもなく気持ちいいじゃないですか。そういうイメージです。ただ、そのマラソンを如何に楽しめるか。スタッフが楽しまないと、お客さまにエンターテイメントとして何も伝えられないので。だから自分たちがまず一番楽しむってところを一番大事にしています。


━━「ゲームをだれよりも愛している人」「プログラミングを書くのが速い人」など、さまざまな人がいると思いますが、村石さんと江口さんが一緒に働きたいと思う方はどのような人でしょうか?(小林くん)


江口 氏:逆にどういう人だと思いますか?(笑)


小林くん:やっぱり自分と趣味が合う人だったりとか、思考が似ている人...まあでも思考が似てても?うーん......。どんなことでも一緒に楽しんでくれる人とか?


江口 氏:あ~なるほど(笑)


StealthWorks.さんとG-BlossomさんとGlitz Visualsとで、3社ともそれぞれの“理念”があるので皆働きたいと思う人は違うと思うんです。ただ、僕の会社で一緒に働きたいと人は「仕事を仕事と割り切ってない人」と働きたい(笑)


これはブラックな発言になりかねないですけども......仕事は生活するためにするのではなくて、誰かに幸せを届けた上でそのお返しとして、たまたまお金が入ってきたくらいのニュアンスで頑張りたいと、ずっと思っていまして。


元々好きでミュージックビデオのCMを作っていたのですが、そのミュージックビデオを見てアーティストを好きになってくれた人に、そのMV僕が作ったよと話して「えっそれ見てその人のこと知ったんだよ」って言われたらめちゃくちゃ嬉しくないですか? 嬉しいのにお金も貰える。それって本当に幸せなことなので、誰かを幸せにして自分が生活できていることが理解できている人と一緒に仕事したいなって僕は思います。


小林くん:いやぁスゴイなぁ......。


米岡 氏:こういうことを聞きたかったんだよね?(笑)


江口 氏:(笑)


どの仕事もニーズがあるから生まれているんですよ。たとえば「MacBook」も「紙」もあるからこそ誰かの仕事に繋がっているじゃないですか。「水」だってそうです。全てが誰かの幸せのためにあるので、無駄な仕事なんてないです。詐欺とか人を騙すこと以外は。なので、仕事を楽しみに変えられている人と働きたい。......すみません!(笑)


村石 氏:喋りづら!(笑)


米岡 氏:熱量がいきなりピークまで(笑)


村石 氏:そんなに格好良いことは言えないんですけど、僕は結構単純です。理念としてはこれまで話したようにライトユーザーとかゲームを知らない人に届けたいってところなので、同じように考えて「ちゃんと楽しませてあげたい」って思いながら開発、デザイン、企画できる人。作る理由の根底にプレイヤーを楽しませたいと思ってくれる人と一緒に働きたいですね。


それを思っていればツラいことも乗り越えられるし、色んな工夫をして「こうすればもっと面白くなるかもしれない」と、アイディアも出てきます。際限なく成長できるし、そう皆が思っていれば会社としても最終的には良い方向に行くと思います。ちなみに米岡さんのところはどうですか?


米岡 氏:ウチはそこまで明確に理念があると言ったらアレだけど、とにかく一般常識がある人(笑)


大手の会社さんだったら各専門学校で一番の人を採るとかあると思いますが、ウチはそういう人よりもクラスの二番手、三番手を狙っているというか。すごくやる気はあるけど実際に何をやれば良いのかわからない人は、スイッチが入った時に伸びると思ってて、自分も昔そんな感じだったんです。


何かやらないといけなくて悶々としているけど、何をやって良いのかわからないから、手を出しては「これ向いてないのかな?」とか。明確にコレをやりたい!と決まっている人は中々いないと思ってて、ウチはそういう子を引っ張ってきては人材を育てています。そこで撮影してくれている子もインターンで入ってきて、映画「鋼の錬金術師」のヒーローショットにいきなりぶち込まれるみたいな......(笑)



そうするとその本人の実績にもなりますし、友達や親戚に自慢できて、モチベーションも爆上がりしますよね。


そうやって昔の自分みたいに何かを掴んで、進むべき方向を見つけると、僕はよしよし......みたいな感じで楽しんでます。実力は気にせずやる気のある子を採りたいですね(笑)


━━ゲームはグラフィック、キャラクターデザイン、シナリオ、音楽など、さまざまな要素で構成されていますが、どのようにしてバランスを取られているのでしょうか?(香西くん)


江口 氏:これは本当に難しい質問で、これだけ答えを用意することができなかったんです。...ちょっと村石さんのを聞きたいです(笑)


村石 氏:(笑)


いろんな考え方があると思うんですね。その上で自分が大切にしているのはコンセプトです。ゲームなら「ここをウリにしていきたい」という部分があると思います。


たとえば『Starry Museum』ならグラフィックですが、グラフィックという1つの軸を作ったら、そこにキャラデザだったり、難易度だったり、ストーリーだったりを枝分かれさせていきます。このように軸をブレさせないようにしてバランスを取っているわけですね。コンセプトの軸をブレさせないようにする、自分はそこを大切にしています。


◆ゲーム開発者へのインタビューを終えてみて


香西くん:今回の開発者インタビューで、普段関わらないような大人の人たちとお話をさせていただきとても新鮮でした。お話を聞くだけじゃなく、自分の考えを話すことで、自分の中の抽象的だった部分がより明瞭になった気がします!


『Starry Museum』の試遊では「操作がシンプルで進めやすい」「世界観が統一されていて、プレイしてても違和感がない」「一見子供向けっぽくみえるが、難易度や背景がどこか大人らしい」など、いろんな魅力を感じられました。試遊中に不具合が起きた際には、迅速に対応してもらったり、わからないところを丁寧に教えてくださったりと、ユーザーに対して真剣に向き合ってゲーム制作しているのを感じました!


坂井くん:はじめに『Starry Museum』を試遊させていただいたのですが、α版とは思えないほど既にクオリティーが高く、グラフィックも洗練されていて、発売が非常に待ち遠しいです。


試遊をしていて特に印象に残ったのが、開発者のみなさんがユーザーのゲーム体験だったり、遊びやすさに気を配ってゲーム製作をされていたことです。


私は、試遊の際に「ここはオートではなく、自分のタイミングでセリフ送りをしたい」といった、ユーザー目線で気になったこと、改善してほしいことなどを結構ズバズバ言わせていただいたのですが(笑)みなさん真摯に耳を傾けてくださり、本当にユーザーファーストでゲームを製作されているのだと感じました。


小林くん:今回『Starry Museum』というゲームの試遊会とインタビューをさせてもらったのですが、まずゲームのクオリティが予想よりも高く、操作していてとても感動しました。


一度クリアしてもう一度プレイした際にくまなく探索したのですが、色んなところに“考察しがいのある伏線”みたいなものが散りばめられてました。考察していて楽しかったです。初心者でも、僕みたいに考察が好きな人も楽しめるゲームになっていて、とても考えられていると感じました。


茅野くん:江口さん、村石さん、米岡さんは、将来自分がしたい仕事をしている方で、そのような方からお話をお伺いできたことがとても貴重な経験だと感じました。


話を聞いて自分が進もうとしている道は茨の道だと思ったのですが、「逆にやってやろう」とも思いました。この先、辛いこともあると思いますが、諦めずに努力を続けていきたいと思います!


・おまけ(※後日、横浜創英高等学校のプレゼンで公開された高校生制作の一部資料)


【※9月22日 16時35分追記】文中のテキストを一部調整しました。


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