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副業へ飛びつきたい人へ2 どうせやるなら、副職をめざす。副業が向く人、向かない人/猪口 真

INSIGHT NOW! / 2018年5月13日 21時41分

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猪口 真 / 株式会社パトス

会社、個人ともにメリット?

副業解禁に踏み切る会社が増えてきた。一見、従業員に対して柔軟な制度に見えるが、企業側にとってもメリットもあるようで、「働き方改革」の名のもと、いくつかの条件つきで、制度採用の企業が増えている。

実際、人材の採用時点で、「副業解禁」の訴求メリットは確かに大きい。誰もが欲しがるスーパー人材を採用するには、背に腹は代えられないのだろう。

採用される身になっても、歓迎される制度だ。能力のある人なら、サラリーマンをやりながらでも、「手伝ってほしい」と言われることも多いだろうし、私でも、(まったくスーパー人材ではなかったが)転職エージェントからオファーがきたときに、「その会社は副業OKか?」と聞いた覚えがある。自分自身を少しでもいいから自由の身においておきたいという気持ちは誰もが持っている。

この副業制度、かっこよくいえば、自分の持つ可能性を考え、現在の仕事以外に活躍の場を求めて、付加価値を出し、多様化した働き方ができるということだ。マクロ経済の観点からも、これまでのプロセス以外のところに付加価値が生まれてパイが大きくなる可能性があり、個人にとっても国にとってもいいことづくめなのだろう。

副業は本当にいい話か

しかしながら、現在のクラウドワークの例を見るまでもなく、副業の世界は楽なものではない。

その副業を欲しがる会社の立場で考えてみるとあたりまえのことだが、コスト削減のために依頼することが大半だ。副業として手伝ってほしいと思うということは、やはり、臨時の発注でしかない。

私も会社を経営している身だが、副業の人たちに仕事を発注するとなると、やはり「イレギュラーの仕事」の域を出ない気がする。

それでも、自分の可能性を考え、「もっと稼げるはずだ。もっと違う世界があるはずだ」と思う人は、自分を独立したビジネスマンだと思えば普通のこと。どんどんチャレンジしてほしい。

自分の可能性を考えた場合、今の仕事でいいのかどうか、まず自分自身の棚卸しを行ってみよう。次の質問について考えてみよう。

「今の会社を辞め、再度、現在の上司(または社長)のところに出向き、これからは1年契約で仕事をしたいと申し出たとする。年収はいくらで提示されるだろうか?」

今より低くなると思う人

今より低いと考えるなら、現状の立場は非常にラッキーだということだ。自分の値打ちよりも多くのギャラをもらっているわけだから、今の会社を辞めるべきではない。

また、現在の事態を会社が許容しているのだから、管理もルーズなのだろう。副業は自由に選択できる状況にあるともいえる。

現在の会社では力を発揮していないかもしれないが、得意なことはいろいろあるはず、じっくり考えて副業を選択しよう。

ただ、生活費の足しにしようと、時給1200円の仕事を週に10時間程度こなすことができたとしても、月に5万円程度にしかならない。年間60万円は少なくはないが、自分の時間や自分の成長の機会をほぼ失うこと、心身のストレスをともなうことを考えた場合、それでもやると判断できるかはよく考えるべき。

また、自分で「給料に見合っていない」と思っているならば、上司や会社としてもそう判断している。さらなる減給や降格がないとも限らない。そうなると副業もしんどいものになる。

本業で成果を出すことのほうが、将来を考えれば優位なのはいうまでもない。

それでも何かやってみたいと思うならば、単なる副業ではなく、自分の可能性をもとめて、「副職」を目指そう。今の会社で実力を発揮できていないなら、「職」が合っていない可能性もある。自分に合う「副職」を今のうちに探しておこう。必要であれば、準備も始めよう。

もっと高くなるはずと思う人

逆に、もっと高く出してくれるはずだと思う人。いったん辞めて、再契約の年収が、今より高いと考えるならば、給料以上に働いていると考えているわけだから、自分に自信があるわけだし、ビジネスパーソンとしてのスキルがあり、会社では、いわゆる「できる人」と言われている(と思っている?)可能性が高い。

ただ、ひとつ考えなければならないことがある。こういう人は、自分の今やっている仕事が評価されていないと思っているので、副業を現在のビジネスの延長考えてしまうことがある。なので、重要なことは、会社の業務の中で与えられているスキルと自分自身が本当に持つスキルを分けて考えることができるかどうかだ。

自分のことだが、「あなたは何ができますか?」と転職のエージェントに聞かれたとき、いろいろと口からは出てくるのだが、振り返れば、ほとんどが、自分の会社(自分の部門)が業務としてできることだったという情けない思い出もある。

それぐらい、多くの人は、自分自身の持つスキルと会社のノウハウや技術のもとに発揮できているスキルを混同してしまっている。

競合会社へ転職するのであれば、問題はない。むしろ、現在の仕事っぷりを競合は求めているので、歓迎されるはず。

転職と副職は違うということだ。会社のスキルと自分のスキルを混同して、副業に手を出してしまうと、権利上の面倒なトラブルも招くこともある。

副業か副職か、あるいは転職か、自分自身について慎重に考える必要がある。

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