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吉本興業および芸人は謝罪会見を開くべきか問題/増沢 隆太

INSIGHT NOW! / 2019年7月8日 7時30分

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増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

・巨大企業ゆえの油断
危機対応において何より大切なのは初動段階の対応です。いつも火事に例えますが、ボヤ段階で消火できれば笑い話で終われるものも、ボンボン延焼してしまえば当然消防車も呼ばなければならないし、何よりもはや自宅内だけで済むことはありません。

しかし消防車を呼ぶべきかどうか迷っている内に火が燃えさかってしまうというのは、正に初動対応を見誤ったことになります。闇営業事件も、当初芸人のシャレでなんとか押し切りたい甘い読みはあったのではないでしょうか。しかし不倫事件と違い、スポンサーが反応してしまったことは大きな誤算でした。

反社会的勢力との関係は、企業にとって不倫とは比較にならないデリケートな問題です。下手な言い訳ではなく、消火ができていればと悔やまれてならないでしょう。大企業である吉本興業のような組織では、そんな意識は持っていなかったとしても、危機対応や謝罪について形骸化し、いつの間にか巨大プロダクションという地位にあぐらをかいてしまっていといえないでしょうか。

一発で潰れるような弱小プロダクションと業界超大手では、危機対応への「危機感」がちがっていると、今回の事件は示しているように思います。

・初動対応にしくじった理由
そんな背景はともかく、人間のやることですから危機対応の初動においてしくじることはやはりあり得ます。よかれと思ってうやむやにしようとしたことが、返って炎上を招くことに、本来はもっと慎重であるべきでしたが、えてして大企業では「あるべき論」「あってはならない論」が跋扈します。初動対応含めてしくじった時こそ危機対応が必要なのですが、そんなことは「あってはならい」と思考停止してしまい、結局対策できないことが少なくありません。

重要なことは、流れが読めない時こそ「収拾しない」ことです。今回も早々に宮迫さんらが「ギャラはもらっていないが」という発言で収拾を図ろうとしました。しかしこんな簡単にバレるウソをついてしまえば、後でバレた時倍返しどころか3倍10倍にリスクが高まります。

「うっかりしてました」「目先のカネにめがくらみました」であれば、バカだの守銭奴だの罵倒されるだけで済んだ可能性だってあります。「ギャラ無し」という説明は「だから罪が薄い」という言い訳です。言い訳は事態収拾のために行います。これが早すぎたのです。

ひたすら自分らの卑しさ、先の見えなさなど自分側「だけ」に非を向けるべきでした。

・謝罪会見はすべきか?
数々のマスコミからこの件の問い合わせを受けています。難しいところですが、もうここまで延焼が進んでしまうと、もはや火消しはできず、謝罪をしたところで100%罵倒されて終わりでしょう。少なくともその結果のニュースでも罵詈雑言しか浴びないと思われます。

つまり今謝罪会見をしても事態が大きく変わることはないのでは?と思っています。ではやらなくて良いのでしょうか?

それでも芸人さんとしての活躍にわずかでも道を残すのであれば、会見はして損はないかも知れません。世間からの袋だたきを実現することで、この吹き荒れる批判を一気に燃え尽くさせるのです。

江戸時代など、まだ消火設備のなかった頃、消火は破壊消火と呼ばれる延焼防止が主体でした。まだ燃えていない近隣の家まで破壊することで、これ以上の被害を防ぐのです。自らの手で甚大な被害を作り出すことになります。

理由はリスク管理です。

現状でもすでに、今回の対象となる芸人さんがテレビ復帰は無理なところまで進んでいます。いわばもう下はない状況です。そうであれば、さらに袋だたきになったとしても、今以上にリスクが拡大する可能性は低いでしょう。

人気者でお金持ちというイメージが批判を加速させています。いかにダメダメな部分、カネに汚い部分、自分たちの正当化をせずにひたすら愚かさを訴えることができるなら、会見による事態の下げ止まりに、一縷の可能性を感じます。

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