コロナ内定切りに遭った学生と、内定切りをした企業はどうなるのか?/増沢 隆太
INSIGHT NOW! / 2020年3月17日 7時30分
増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ
1.コロナ内定切り
コロナ渦を理由に経営不振に陥った企業が、新卒内定の取り消しを始めました。収まる目処の見えない中、企業は必死にもがきますが、それ以上に今の時点で行き先を失った新卒学生にとっては、もはや後戻りできない中で困惑しています。
リーマンショックの頃といえば、私が大学のキャリア支援を始めたのもその時期です。内定切りも問題になりましたが、その後の人手不足により内定切りはあまり話題に上らなくなりました。そんな中、2月収束どころか4月を超えても恐らく平常運転に戻るのは難しいほどダメージを負った経済活動は、ついに内定切りという禁断の手に出てしまったといえます。
政府も内定切りを認識し、経団連始め経済団体に内定切りをやめるよう呼びかけ、新たに雇用調整助成金特例など対策し始めました。残念ながら、内定切りをする企業は規模の小さい会社が多く、経団連加盟企業クラスでの内定切りは報道されていないようです。
2.内定切りにあった学生は
まず第一にすることは自分の大学のキャリアセンターへの相談です。キャリアセンターが頼りにならないと勘違いしている学生は少なくないのですが、多くの大学ではキャリアセンターに採用情報は集まります。またほとんどのキャリアセンターでは、大学教員や事務職員だけでなく、民間企業出身の専任教職員が所属しています。内定取り消し通知を受けたショックで身動きできなくなってしまう人もいるかも知れませんが、今動かなければ致命的な結果しか残りません。とにかく一番頼りになるのはキャリアセンターなので、まずは相談に行きましょう。
企業は神様でも裁判所でもありませんので、一方的にあなたの内定を取り消すことはできません。法律で内定者の権利は明確に保護されているのです。「景気が悪いのでやっぱり採用はやめる」というのは内定取り消し理由にはならないのです。
しかし学生個人が企業と渡り合うのはあまりに無理があります。ここはそうした法的な知識もあり、採用問題の専門家であるキャリアセンターの出番なのです。場合によっては大学がサポートしてくれる可能性もあります。とにかく1人で戦うことだけはやめましょう。親であっても、人事問題に通じていなければほぼ無力です。
3.内定を取り消した企業
遅い対応のせいなのか、PCR検査が足りないせいなのか、それでも日本はましなのかわかりませんが、接客業や販売業は大ダメージを受けています。とても新卒など採れる環境ではないのかも知れません。しかしそれでも新卒採用の内定取り消しは最後の最後まで待って下さい。
誰も予期しなかったコロナ渦ですが、一度でも内定切りをすれば永久に新卒を採れなくなる覚悟はできるでしょうか。内定切りをした記録は永久に残り、「内定切りをした会社」という烙印がつきます。そしてこの先ずっとインターネットの海の中にその記録は残り続けます。
そうはいってももはや新卒採用余力も尽きてしまったという会社。内定取り消しは「解雇の4要件」と同じと理解して下さい。日本では正社員を解雇できない高いハードルがあります。しかし「(整理)解雇4要件」を満たすことで、人員削減は不可能ではありません。つまり内定切りをするということはその要件に相当する「経営危機」であることを公にすることを意味します。
経営悪化程度ではなく、倒産がカウントダウンに入るほどの経営状態であることが、数少ない内定切りを選択肢にできる状況です。政府は雇用調整助成金の特例追加を発表しました。とにかく使えるものは何でも動員して、最悪の事態を避ける努力をしていただきたいと思います。
4.それでも内定切りされた学生はどうすべき
私が担当する学生であれば、もはや内定切りする企業は倒産寸前だと考えるべきだと説明します。気持ちを切り替えて、その上で今から採用できる企業を探しましょう。
例えばマイナビ「2021」(2020は既にクローズされました)では「既卒可」という企業検索ができます。恐らく1万社を超える企業が既卒者を求めています。コロナ禍が理由で内定切りにあったことを堂々と伝え、堂々と就活しましょう。少し入社時期が遅くなることはあるかも知れません。しかし21卒就活の、現学部3年/修士1年より早く入社できる可能性も十分あるでしょう。
人手不足状況はB2B系製造業でまだ続いています。今から知名度のある大手人気企業などを狙ったりしなければ、十分可能性はあります。学生に何一つ落ち度のない理由による再就活です。同じ目にあった人などまずいませんので、過去の事例や周囲の雑音など一切無視して、キャリアセンターと協力の上でガンガン進みましょう。
内定切りした経営危機企業などより優良なB2B企業への道が開けるかも知れません。 一度は就活で勝利した経験を、今一度思い出して下さい。ガンバリましょう!
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