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コロナ対応に厳しく臨んだ店ほどお客は集まる説  ~お客様は神様です~/増沢 隆太

INSIGHT NOW! / 2020年5月7日 8時0分

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増沢 隆太 / 株式会社RMロンドンパートナーズ

・休業要請緩和での不安
東京や大阪など大都市以外から、徐々に休業要請が解除など緩和も始まるとの報道です。全面解除ではないものの、少しずつ営業が再開される店舗などが増えていく見込みです。これまで行ってきた厳しい営業自粛では、お客さんにに「来ないで」というメッセージを発したことで、繁華街や観光地は大幅な人出減を実現できました。

ワクチンも治療薬もない今、感染リスクを下げるという方法しか対策がない中、自らの生活を犠牲にし、売上減どころか廃業に追い込まれるほどの激甚な苦しみを味わう人たちの努力が、事態の鎮静化を強力に推し進めたことは疑いの余地がありません。身を犠牲にして社会正義を守る姿勢は、国を守り、われわれ多くの国民を救っていただいているのだと、本当に感謝でいっぱいです。

人が集まってくれなくては成り立たない小売業、サービス業、観光業などにとって、自粛は自らの身を切る行為です。観光地が「今は来ないで」とストレートなメッセージを発し、人の集まる場所を閉鎖し、駐車場を閉め、本当に身を切ることで人出を止めたのでした。

休業要請が緩和されることで、少しずつ人出を元に戻す動きが始まります。そんな時に一部の店主さんなどから「これまでお客さんに来ないでくれ等と失礼なことを言った。イメージ悪化が心配」というインタビューも見ました。客に「来ないでくれ」など、商道徳にもとる許されない気持ちなのでしょう。

・「お客様は神様」
しかし外出自粛に真剣に取り組んだ皆さん、安心して下さい。お客さんはまた来てくれますよ。
なぜそんな気楽なことを言えるのでしょうか?それは「お客さんは神様」だと思うからです。

拙著「謝罪の作法」で詳しく説明していますが、この三波春夫さんの名言は、一部のクレーマーなど犯罪者や犯罪予備軍が勝手に使い、小売業やサービス業を苦しめています。また一部の理解力のない経営者も同様に、三波さんの真意を理解せず、あたかも店で働く者はクレーマーの奴隷であるかの如き、全面服従を推奨したりします。すべて「お客様は神様」の意味を勝手にねじ曲げたものなのです。

三波春夫さんは浪花節など伝統大衆芸能の世界で育ち、神前儀式として神様の前で披露する芸として修練を積みました。そこで芸を行うことは、神様に対して全力で芸を披露するのだという気持ちを表現したものです。当然神様は芸の出来不出来以上に、そうした崇高な気持ちや精神性の高さを理解してくれるのではないでしょうか。

互いの理解や相手への尊重という関係性を表現したものが「お客様は神様」であるなら、コロナ自粛の一環で発した「来ないで」というメッセージが、正しく理解されていることは間違いないでしょう。心ある人は、身を切って事態終息に全力で取り組んだ皆さんの姿勢を絶対に理解できるのです。理解する能力がないのは、「俺は罹ってないからマスクもしない」とうそぶき、平気で外を出歩ける外道だけです。

・本当のお客さんとは
朝からパチンコ屋に密集して行列したり、周囲の迷惑かえりみずマスク買いに開店前から並ぶ者。レジャー代わりにスーパーに家族連れで出かける者。河原でバーベキューや公園でピクニックする者など、全く事態を理解できない不心得者は、そもそもお客様などではないのです。

もちろんそんなやつらでもお金を落としてくれればありがたいかも知れません。でも他人への思いやりなど持たない、他人への迷惑など一切気にする感覚がない、自分たちだけの都合以外考えられないような者はお客でしょうか?そんなやつらは圧倒的に多くの善意ある人たちに、これまでもこの先も次々と迷惑を振りまいていくことでしょう。コロナ以上に悪質な存在ともいえる、そんなやつらは来ない方がよほど商売には有益だと思うのです。

私は新卒で流通業界に入りました。そこで学んだカスタマーサービスは「お店はお客様のためにある」という、当時の流通業界で共通スローガンでした。しかし若き日の私はヒネクレていたので、「すべての来店者が客なのではなく、本当のお客さんとは呼べないクレーマーもいる」と感じていました。

クレーマーはお客ではなく犯罪者です。クレーマーが好き勝手できる店は、善意ある本当のお客様にとって居心地の良い環境である訳がないのです。お客さんを選別するのに気が引けると感じる方は、「お客」とお客の名を語る「お客モドキ」を区別し、「本当のお客様」のために店はあるべきと、私は思っています。

・サイレントマジョリティこそ主役
私は講演やセミナーをするのが仕事です。これまで流通業やサービス業、介護・医療などの現場で働く皆さんと、その組織に対してこうした「真のカスタマーサービス」を訴えてきました。圧倒的に現場の方々のご理解とご賛同をいただいてきました。そうした正しい感覚をぜひ正々堂々、会社として取り組んで欲しいのです。

「本当のお客様」へのサービスこそ、お店や接客が目指すべきゴールだと信じています。無法者や犯罪者、それらの予備軍をつけあがらせ、野放しにすることは、本当のお客様にとてつもない不快感と迷惑をかけているのです。このことを繰り返し述べたいと思います。

自粛に耐え忍んできた心あるお店、サービス業、さまざまなお仕事をされる皆さん。そうした努力を「神様」はきっとわかっているはずです。サイレントマジョリティを大切にする社会の実現と、ノイジーマイノリティに振り回されることが早くなくなることをずっと祈っています。

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