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コロナ禍で営業のKPIはどう変わる?/猪口 真

INSIGHT NOW! / 2020年9月16日 9時27分

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猪口 真 / 株式会社パトス

営業職の多数でありながら、あまり表に出ることのないB2Bセールスは、コロナ禍でどう変わったのだろうか。

店舗や現地でのサービスでの営業は、本当に大変な毎日だが、B2Bの場合、B2Cと違って必ず店頭にいなければならいこともなく、セールスプロセスにおいても大きな変化があっただろうと想像できる。

逆に見れば、「テレワークですから」という言い訳も言いやすく、今でも(9月現在)自宅から営業している(在宅勤務というべきか)人もたくさんいる。

そうなると、これまでのセールスにおけるプロセス管理は、大きく変わることになるのだが、セールスの現場に立つ人たちはどのような意識なのだろうか。

営業職への調査によれば、営業業績への影響について、「業績は悪化している」と答えた人が約6割、「向上した」とする人は1割にも満たない。業務プロセス・手法への影響について、「悪くなった」とする人が半数以上、「良くなった」とする人が約1割。顧客との関係構築においても、「困難」とする人は約半数、「できる」とした人は、約15%にとどまっていた。

これまでのセールスプロセスに変化が生じた(悪くなった)おかげで、顧客との関係構築ができなくなり、業績にも影響が出た(悪化した)ということになるのだろう。

ところが、業績が悪化しているにもかかわらず、テレワーク・在宅勤務については、「推奨する」という人が約6割、「推奨しない」とする人は、約2割しかいない。(参照:株式会社セールスヴィガー プレスリリース)

こういう結果を経営者はどう受け止めるのだろうか。顧客との関係構築が難しいのにもかかわらず、テレワーク、リモートワークを推奨するのだろうか。

こうした現象は、私自身、肌感覚で感じることがある。最近仕事をするうえで、いわゆる「営業」と言われる人たちのプロジェクト内のウエートが下がっているのではないかと感じている。

その原因としては、クライアントからの距離感として、「営業と社内スタッフの差があまりなくなり、仕事が生まれる順番が変わってしまった」「オンラインミーティングが比較的楽に開催できるため、『まず営業に話す』という行為が減った」といったことがあるのではないか。

そうなると、営業としてのKPIも当然大きく変わることになる。まず営業が話を聞き、案件化し、見積りを出すというプロセスが変わっているのだから。

これまでは、営業が使用するKPIには、以下のようなものがあっただろう。

「アプローチ件数」「アポイント率」「訪問件数」「コンタクト人数(名刺交換)」「商談数」「提案書数」「プレゼンテーション数」「見積書提出件数」「成約件数」「受注額」「平均受注額」「成約までの日数」

ところが、コロナ禍で、さきほどの調査結果にもあったように、これまでの営業プロセスができなくなっている。

KPIとは、あくまでKGIという、ゴール(目標)を目指すための指標のひとつだ。当然どの企業も、売上や利益を数値的な目標としておいている(中には違うという企業もあるかもしれないが)。

なので、営業KPIはあくまで手段であり、目的になりえないのだが、現実では、結果目標ではなく、そうした行動目標に固執することになる。名刺を何枚集める(見込み客のリスト化)だの、何件提案したかだの、そういう行動に縛られながら行動するというわけだ。

KGIとは、「Key Goal Indicator」の略語で、「重要目標指標」。つまり、企業や事業で設定した目標指数のことだ。多くの場合、「売上高」「利益率」「成約件数」「ユーザー数」などの数値となる。

そして、そのゴールを達成するには、どうなればその目標に達することができるのかという、ファクターが存在する。それを、KFS(Key Success Factor)という。

「技術レベルにおいて業界1位になる」「顧客満足度を10ポイント上げる」「ブランドイメージを10ポイント上げる」「短納期を実現する」など、これは会社によって様々なファクターが存在することになる。また、この要素は常に変化もする。

たとえば、今期のKGIを「新規顧客の売上を10億円」と設定したとする。そうなるために、dのような状態になればいいのだろうか。

そのためには、「認知度を上げる」「新規顧客へのアプローチ」「問い合わせ件数倍増」「紹介件数倍増」「新規大手企業のリスト化」などの要素が考えられるかもしえない。繰り返すが、これは企業によって異なる。

そして、さらにこのKSFを実現するための具体的な指標、KPIを設定することになる。ここは、行動で置き換えられるような指標にしないと意味がない。このKPIの段階で、「顧客満足を10ポイント上げる」としても、実際にはそこからさらに行動目標を策定しなければならず、実現は難しくなる。できれば、セールスプロセスそのものとして指標を設定するのが望ましい。また、行動だけでなく、具体的な能力アップの指標も必要だろう。見落としがちだが、人は優秀で信頼できる人でなければ仕事のお願いなどしない。

こう見ると、KGI、KSF、KPIの流れを見ると、バランスドスコアカードそのものであることがよくわかる。

つまり、KPIは、業務プロセスと能力の向上ということになる。今回は、その業務プロセスに制限がつけられているわけだ。

なので、KPIをどうするかというのは、KSFをどうするかということになる。このコロナ禍で、セールスを受ける人たちの働き方も大きく変わった。当然KSFも変わるだろう。

そもそも、テレワークなどへの働き方の変革は、生産性をあげるためのものなのだが、残念ながら、「NO満員電車」「NO出勤が仕事」をなくすため、結果、残業代が減るなどの経費削減の一環にしかなってない気がする。

テレワーク時代のKSFは一体何か、この見極めが最初に必要だ。

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