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MECEと構造化のススメ/野町 直弘

INSIGHT NOW! / 2015年6月10日 17時28分

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野町直弘 / 株式会社アジルアソシエイツ

ロジカルシンキングの中でもMECEと構造化は業務にとても役に立つというお話です。

研修でもよくこういう話をしますが、お客様(クライアント)のコスト削減をお手伝いするようなコンサルティングプロジェクトをスタートする際にクライアントからよく聞かれることがあります。
「コンサルティング会社に手伝ってもらうと、何かコスト削減の為のいいアイディアが
出てくるのですか」と。そのような場合には「そんな打ち出の小槌みたいなものはありません」とお答えします。この場合はコスト削減の手法やアイディアなのですが、一つけ心がけていることは、我々はこの様な手法を幅広く体系的に捉え、ヌケモレがないか、という見方をするのです。これは非常に効果的な方法です。具体的には約60弱のコスト削減手法体系にまとめられるのですが、この体系を目の前にして今回の案件にあてはまるかどうか、という視点で検討を進めてきます。いわゆるチェックリスト法とも言われるブレインストーミング手法になります。この思考法はコンサルタントがよくやる思考法です。ここで重要なのは、コスト削減手法がモレなくダブリなく体系化されているか、ということです。モレなくダブリなく全体像を把握できていないとアイディアを出せない恐れもあります。このようなモレなくダブリなく全体像を把握することをMECE(ミーシー)と言い、ロジカルシンキングの一つの基本的な手法です。MECEとはMutually Exclusive, Collectively Exhaustiveの頭文字を取ったもので、モレなくダブリなく、という意味になります。
たとえば、自社の顧客構成を考えた場合、顧客を「20代」「30代」と年齢別に分けていく、「男性」「女性」といった切り口で分類することで考えるなどで、重要な要素のヌケモレを防ぐことができ、より正しい答えに行き着く可能性が高まるということを目的とした思考法です。
MECEであるかどうかを考えることを特にコンサルタントは常に強いられます。多くのコンサルタントはクライアントよりも経験が浅い場合が多いので、数少ない経験を元にモレやダブリなく体系化し全体像を捉えることで、経験の浅さをカバーせざるを得ないからです。
MECEであるかどうかを考えることは必ずしも難しいことではありません。それではどのように進めていけばよいでしょうか。まずは考えられる選択肢をとにかく数多く出すことから始まります。そして次はそれを分類します。例えば先ほど例に上げたコスト削減手法ですが約60弱あると申し上げましたが、大きく分類すると「安くする」「安いところから買う」「安いモノを買う」「買わない」の4つに分けられます。
同様に調達人材に必要なスキルを上げていくと、どの企業もだいたい60~100位のスキルが上げられますが、これも分類すると「購買品目知識」「購買共通スキル」
「ファンダメンタルスキル」の3つにだいたい層別できます。
この分類するということで、この3つや4つのカテゴリで大きなヌケモレやダブリがないかを次にチェックします。そしてこの分類に大きなヌケモレダブリがなければ次は
中分類を考えます。そしてまた、中分類のヌケモレダブリがないかを検討します。
最後に中分類毎に最初に抽出した選択肢を分類し、ヌケモレがないかを再検討します。
これらの手順を何度か繰り返しながらMECEな体系を考えることができます。
ここでご説明した手順の通りMECEな体系づくりと全体像の把握はそんなに難しいことではないことが分かっていただけたでしょう。一方で、MECEかどうか検証するために分類すると申し上げましたが、これは「構造化」という手法になります。「分類」というのは一番やさしい構造化のやり方と言えるでしょう。
この「構造化」というモノの考え方もコンサルタントは徹底的に鍛えられます。
構造化には「分類」の他にもプロセスなどの「フロー」に構造化するやり方やポートフォリオなどの「マトリクス」に構造化するやり方、分類に上位下位の概念を追加した「ピラミッド型」に構造化する方法もあります。コンサルタントはその場面場面で最適な構造化を頭の中でやっています。(もしくはホワイトボードを使ったり、文書化したりします)
よくコンサルタントと打合せをやっていると打合せした内容をホワイトボードにさらさらと纏めることがあるでしょう。これは日頃色々な情報をインプットした時、考えを整理する時、アウトプットを作る時に頭の中で構造化しているからできることです。このように構造化して体系化することができればインタビューの力や人に伝える力
自体も向上します。それは人の話を聞きながら頭の中で構造化している(例えばマトリクスがあってそこに相手が言ったことを当てはめていく)ので相手が言いたいことが何かを理解する力や言いたいのに言えないことを引き出す力がつくからです。
同様に自分の言いたいことが構造化されていると相手に自分の考えを伝えやすくなります。
MECEよりもこの「構造化」という手法は機会や場が必要になります。そういう習慣を日常の中でつけていくことが重要だからです。私も多くの優秀なコンサルタントの構造化の手法を真似しながら経験を踏み、ようやく構造化ができるようになったと記憶しております。今回何でこのような思考法について触れたかと申しますと、概してして調達・購買部門の人間はこの全体像を把握する、構造的に考えるということが出来ていないからです。
私も完璧にできているとは申し上げませんが、最近お客さんや他のコンサルタントの方が作成した資料をちらっと拝見させていただく機会があったのですが、拝見させていただいた瞬間、MECEになっていないな、という気づきがありました。
ヌケモレがあったり、分類も上位下位の概念がごっちゃになっている、などが気づいた点です。資料や考え方が必ずしもMECEでなければならないかというとそうではないケースも多くあります。しかし、先ほど取上げたコスト削減のアイディア出しやスキルの定義などにはMECEは欠かせない思考法になります。そのためには出せるだけのアイディアを出す、そして簡単な構造化である分類をする、ヌケモレダブリがないか検討する、これらの一連のことを心がけるだけでアイディアが生まれやすくなります。様々な教科書本やインターネット上の参考情報、トレーニングプログラムなどでこのようなロジカルシンキングに関する勉強ができるようになってきています。
皆さんも是非ともやってみてくだだくととても役に立つことでしょう。

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