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直感でわかる仮説思考2/期待が分かれば仮説はもっとわかる/伊藤 達夫

INSIGHT NOW! / 2015年6月19日 17時21分

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伊藤 達夫 / THOUGHT&INSIGHT株式会社

前回は 「後悔したことがあれば仮説は絶対にわかる」で後悔と仮説構築は似ているということを解説しました。

今日は、セカンドステップです。

また、誰でもしたことがあることをヒントに仮説を捉えていきます。

今度は、期待です。私はいつも学生に「何かを期待したことがあれば仮説は立てられるよ」と言います。

期待するというのはどんなことなのでしょうね?

わかりやすいのはいわゆる「中二病」的期待です。誰でも中学校二年生ぐらい思春期の時に患う病。これを患っている時に抱く期待はけっこうすごいものがあります。思い出せますでしょうか?

クラスの憧れの女の子に話しかけられれば、「ひょっとしたら告白されるかもしれない」とか。

先生に呼ばれたら、「ひょっとしたらいい成績だったと褒められるかもしれない」とか。

「ひょっとしたら犬のぬいぐるみみたいなやつが現れて、魔法少女になって欲しいんだと言われるかもしれない」とか。

「ひょっとしたら、実は特別な血を引いているというお告げがあるかもしれない」とか。「ひょっとしたら空から女の子が降ってくるかもしれない」とか・・・。

ごめんなさい。悪ノリが過ぎましたね。

ただ、分かって欲しいのは、普段の出来事の中に、なにかしら、ちょっとした期待を抱きながら生きていたりしませんか?ということです。

これは何も現代人だけではありません。昔の人も期待を抱いて生きていました。たとえば中国の古典で韓非子の「守株待兎」、いわゆる「まちぼうけ」というやつがあります。

野良仕事をしていたら、兎がやってきて、木の切り株にぶつかって倒れてくれて、難なく兎を手に入れることができた。それがまた起きると「期待して」ずっと待っていたら兎は取れず、作物は育たなくて笑いものになってしまった、というお話です。

少しまとめますと、ここで言いたいのは、結果はともあれ「期待を抱く」ということを、妄想的だろうと現実的だろうとやったことがあれば、仮説を思い付くベースとなる能力はあるということです。

ビジネスに寄せて考えますと、ベンチャー企業の経営者は仮説を作るのが得意である場合が多いですね。これは会社と自分が一心同体だからでしょう。会社の経験はほぼ自分の体験であり、いろいろな良いことや悪いことが起こった。だから、会社に関することで、「こんなことになればいいなあ、あんなことになったら嫌だな」と四六時中期待しているんですね。

期待に関してまとめると、「誰でも何かが起こること期待することができる」ということです。

そして、これはビジネスに寄せると、市場で起こることに関して、こんなことが起こるのではないか、あんなことが起こるのではないかということを誰でも期待していると言っているわけです。

こんなことが起こるといいなあ、あんなことが起こるのは嫌だなあ、というのは誰でも期待します。何から期待するか?と言えば「自分の経験から」です。

女の子に告白してフラれる経験があるならば、告白しようとすると「フラれるんじゃないか」と怖くなったりします。超絶イケメンで一度もフラれたことがない人は、「あの子と付き合えたらいいな、きっとOKしてくれるだろう」と期待するわけです。

これと同じようにベンチャー企業経営者は、自分の経験と会社の経験がほぼ一体で、いろいろな経験をしているので、いろいろなことを思い起こして、「同じようなことが起こるんじゃないか」と期待しているわけですね。

でも、「白い犬みたいなやつに魔法少女になってくれと言われるかもしれない」と期待することや、「特別な血をひいているというお告げがあるかもしれない」と期待することの元になることなんて経験したことがある人はいないのでは?と思うかもしれません。

確かにそうです。

それはどうしてでしょうか?

もうお分かりですね。

そうです。少し痛いですが、映画やアニメ、ラノベから得た情報で期待しているわけです!

ただ、これはすごいことなわけですよ。自分で過去に経験したことがもう一度起こるかもしれないというのは、当たり前だと思いますよね。

でも、映画やアニメを見て、それが自分に実際に起こるかもしれないというのは、よっぽど登場人物になりきって映画やアニメ、ラノベを味わっていなければできないことです。

最近の大学生は文字を追って、それを覚えるだけに終始することも多い中で、文字を追うだけではなく、文字が指し示す状況がリアルにイメージできていて、自分の実際の経験と変わらないぐらいに自分に染みこんでいるんです!

書いていて、少し痛々しい気もしてきましたが、実は仮説を立てる上でこれはすごく大事な能力なのです。

もしも、自分で体験したことからしか、期待できないのであれば、長生きしている人、多くの実体験を積んでいるリア充な人に絶対勝てないですよね。でも、文字情報をリアルにイメージすることで体験量を増やせるのならば、ひょっとしたら、実体験を積む以上の経験ができるかもしれない!

そして、いろんな期待を抱くことができて、何が起こるか?の仮説をたくさん立てられるようになるかもしれない。

こう考えると、映画やアニメを見て、ラノベを読んで妄想するのも悪いことではないですよね。

ここまで読み進めてきて、勘のいい人は後悔と期待が少しつながって見えてきたかもしれません。

実は、後悔すること、期待することは一連の流れの中にあることです。

こんなことが起きてくれないかな、と期待する。それで、いろいろと行動してみる。それが失敗したら後悔するし、成功すればいわゆる「成功体験」になる。

そんなの当たり前じゃないかと思われますか?

でも、仮説思考はこれと同じようなことをしているだけです。

難しい言葉で言えば、市場でこんなことが起こるんじゃないか?だからこういうことをしてみよう。成功した。これは成功体験だ。繰り返そう。失敗した。やっぱりこういうふうにやっていればよかったのかな・・・。じゃあ、少し変えてみよう。

いわゆる試行錯誤を頭の中で組み立てている。これは普通の人が普通に生きている上で常に常にやっていることです。特に難しくもない。

ただ、ビジネスや学問では、情報を得るのが文字情報を通じて得ること多いので、それほどリアリティがなくて期待が自然に浮かんでこないこともあるでしょう。

また、最近の受験勉強は日常生活と完全に切り離された文字情報を覚えるだけというやり方に偏っている面もあります。文字情報からリアリティを感じるということがそもそもわからない人も多数いるわけです。

でも、意外とラノベぐらいなら読んでいて、それを現実と混同するような期待を抱いているなら仮説も立てられそうな気がしますよね。

「思いつく、思いつかない」がどういうことかわかってきたでしょうか?

多くの人は、いわゆるアニメが大好きな中学二年生が「魔法少女まどか☆マギカ」に没頭するほどには、ビジネス情報に没頭して感じきっていないだけのことです。

ここまでは直感的にイメージできますよね。

「そりゃそうだ、当たり前すぎる」と思いましたでしょうか。でも、仮説ってどうやって出すんだろう?と悩んでいるのであれば、ここまでに仮説をより思いつくためのヒントがたくさんあったと思います。

そうなのです。いつも、日常生活の中でやっていることを仕事や学問でやればいいだけなのです。

【ポイント:自分の抱いている期待を自覚してみる】

次は、【「たられば」がわかれば仮説がもっと見えてくる】と題してここでお見せした考え方をもとに、どうすればいいのか?をより具体的に見ていくことにしましょう。

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