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チームビルディングシリーズ:安全な場1   「本音が言えなければチームではない!」/斉藤 秀樹

INSIGHT NOW! / 2015年9月29日 11時10分

写真

斉藤 秀樹 / 株式会社アクションラーニングソリューションズ 一般社団法人日本チームビルディング協会

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◆本音が言えなければチームではない

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「本音が言えなければチームではない」と聞いて複雑な心境になる方が

多いのではないかと思います。

ある人は「じゃあ、うちのチームはチームじゃない」

またある人は「本音なんて言えるわけない。そんなの無理」

様々な想いがよぎったと思います。

しかし、敢えて言います。「本音が言えなければチームではありません」

その真意について、これからお話ししていくことにします。

最初に種明かしをします。チームの定義についてです。

人が集まり集団を作ればそれが即、チームと言えるのか。

答えは

私たちが「チーム」と呼ぶとき、そこにあるものは

「活性化していて高い成果が出せる集団」です。

チーム成長プロセスで言えば、第3段階以降の集団をチームと

呼ぶのです。

それに満たない集団は単に「集団」とか便宜的に「組織」という

言い方をして区別しています。

更に違いを鮮明にしたいときは「無能な組織」「有能なチーム」と

言ったりもします。

それほど、集団、組織とチームは別物なのです。

その違いを生む重要な要素が「安全な場」です。

安全な場とは「非難否定の無い本音が言える場。或いは言い合える場」

を意味しています。

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◆なぜ、本音が言える「安全な場」がないのか

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私たちはなぜ組織を作り、集団で仕事をするのでしょうか。

配属や所属は自分の意思とは関係なく決まる場合が多いですから、

私たちはチームの意味や意義について深く考える機会が無いままに組織で

働いています。

そして、自分の考えや価値観を尊重して行動するよりも、他者からの指示や

命令で行動せざるおえない状況が一般的です。それらは「やらされ感」と

「創造性の凍結」をもたらしますが、余りにもありふれた光景なので、

声高に異論を唱える人は稀です。

しかし、組織に居る当事者が誰一人、組織の価値や恩恵を感じることが

できないとしたら、そもそも組織を作る意味はあるのでしょうか。

私たちは様々機会に「なぜチームを作るのか」「チームを作る意味とは何か」

を問いかけてきました。

回答の多くは

・一人では創りだせない成果を得るため

・仲間がいることで喜びは倍増し、困難は半減する

・切磋琢磨することでお互いを刺激し合いより大きな成長を得る

などの回答をいただきます。

しかし、現実はと言えば、これら皆さんが考えるチームとはほど遠い組織が

あるわけです。

ある企業の若手社員の方にインタビューした際に返ってきた言葉が、

今でも印象に残っています。

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私は大学の頃は自分の研究に熱中していました。私以外に仲間が

付き合い自体はそんなに長くはありませんでしたが、同じ研究について

激論を交わし、時には対立することもありましたが、それすらもその本気の

姿勢に互いが尊重し合っていました。

時には研究室に泊まり込み体力的にはつらい時もありましたが、

仲間とともに本当に充実していた時間を過ごしました。

そして、就職したらもっと遣り甲斐に満ちた生活が待っているのだと勝手に

考えていました。

(少し沈黙)

しかし、上司の顔色を見ながら言葉を選び選び話す先輩。

どんな意見を出しても結局リーダーのひと声で結論付けられるミーティング。

飲みに行けば愚痴と諦めの言葉ばかり。

日によっては朝出社して夜帰るまで誰とも口を利くこともなく、帰宅する日も

あります。

いったい自分は何のための就職したのか分からなくなっています。

組織って、何のためにあるのでしょうか。

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以前、私自身も同じような想いを持ったことがありました。

やる気やモチベーションだけではなく、自分の人生や生き方まで無意味と

思えてしまうような組織。この状況で精神的に病まない方が難しいと考えて

しまいます。

勿論、色々な処方が考えられます。ですが、それらは対症療法である場合が

多く、一時の改善はできても長続きしません。

ですから、本質的な解決方法として、チームビルディングに取り組むことが

とても重要になるのです。

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◆「安全な場」ができない理由

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「安全な場」はチーム創りにとって不可欠な基盤です。

しかし、前述の若手社員のチームにはそれがありません。

では、なぜ安全な場が形成されないのか。

理由はいくつかあります。

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1)「安全な場」の重要性に気づかない

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最もありふれた事実として、経営者やリーダーが「安全な場」の重要性に

気づいていない、あるいは必要性が理解できない。

これは古い話になりますが、ある中堅企業の経営者にチームビルディングの

話をしたとき、返ってきた言葉は

「そんなことをして金になるのか」

でした。 残念なことですが当時、

しかし、今ではチームビルディングの考え方を全社に浸透させ、新たな風土を

創りたいと言っていただけるようになりました。本当にうれしい限りです。

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2)過度な権限に対する執着

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権限を手放したくない経営者やリーダーがいる。

チームビルディングは、権限をはく奪する方法論ではありません。

ところが最強チームの考え方として「チームメンバー全員(リーダーも含め)が

リーダーシップを発揮する」チームになることだと、お話しすると

「リーダーの権限が部下に奪われるのではないか」「リーダーの存在感が薄く

なるのではないか」と心配になる方がいます。

これはリーダーが担う役割の認識に誤解があるように感じます。

リーダーの役割は「権限を誇示すること」でも「リーダーシップを独り占め

すること」でも「部下を意のままに操ること」でもありません。

リーダーの役割は「チーム力の最大化」と「高められたチーム力を最高の

チーム成果につなげるファシリテーター(導師)」です。

そのためにすべきことはメンバーの能力、可能性を最大限高め、引き出すこと。

そしてそれらを使ってシナジー(相乗効果)を生み出すことです。

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3)「安全な場」の創り方を知らない

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最後に「安全な場」の創り方を知らない。

ほとんどの方はビジネスチームやプロジェクトチームに所属していると

思います。

振り返っていただきたいのですが、これまでのチーム、今のチームに

「安全な場」はありましたか。

私たちが関わったリーダーや一般社員の皆さんの回答は「ある!」が

せいぜい全体の

本音で話したことがないのです。また、本音で話すことを求められても

いないのです。

しかし、安全な場の必要性は例外なく、ほとんどの皆さんから支持されます。

ですから、私たちは「安全な場」の創り方が分かれば、どのような組織で

あっても取り組んでいただけると確信しています。

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◆なぜ、本音が言える「安全な場」が必要なのか

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チームをなぜ創るのか。

それは既にお話ししてきたとおり「一人では創りだせない大きな成果を

生み出す」ためです。

この大きな成果とは、量的な成果を指すだけではなく、質的な成果も

指しています。

質的な成果とは、これまでのルーチンワークを革新し、今までとは

比べものにならない生産性を獲得したり、新たなアイデアやサービス、

製品を生み出すことを意味しています。つまり、イノベーションです。

このようなイノベーションの多くは、異なる価値観や経験則、本音、

本気の話し合いや関わりによって生まれるものです。

そして、この中心にあるものが「安全な場」です。

チームの本質は、多様性(異なる価値観、経験則、強み、弱みなど)が生み出す

エネルギーを、チームが直面する課題を克服するためのチーム力

(問題解決/ブレークスルー)に変換する器であり、仕組みです。

このチームが持つ本質的な仕組みは、ただ人が集まって集団を作れば始動する

というものではありません。

それはこれまでの話や皆さんの身の回りの組織の状態から推察いただける

ものと思います。


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