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日本最南端八重山諸島 石垣島からの地域発ファッションブランド/井上 和則

INSIGHT NOW! / 2017年4月7日 10時23分

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井上 和則 / 株式会社リーダーズ 代表取締役  文化学園文化ファッション大学院 教授

ファッション業界にいると周囲は欧米ブランドで溢れている。首都の目抜き通りである銀座や表参道を歩いていても目につくのは外資系ブランドが殆どだ。

日本のブランド、しかも地方からのブランドとなれば、食品ブランドは時々見受けられるが、ファッションブランドは本当に少ない。

国や地方は地域活性化支援で、公的機関からの助成金も含め色々な対策を行ってきている。大都市での地域物産展示会もよく開催されている。私も時々足を運んだりもする。しかしながら地域からの商品やブランド発信はいくつもの壁があるのが現状で、日本国内においても地域ブランドは大都市に拠点があり資本力、企画力、情報力を持ち合わせた企業と競争していくのは容易ではない。

先日、沖縄那覇から久々に早春の日本最南端地域の石垣島を中心とする八重山諸島地域に行く機会があり、地元発ファッションブランドとして八重山諸島からも地域の自然、海、空、山、緑、文化等を背景・モチーフにグローバル市場に挑戦している企業が目に留まったの少し紹介してみる。早春といっても小浜島では日本で今年最初の海開きイベントが開催されていたのでさすが最南端地域である。

1つは琉球真珠という会社で1951年に創業。本土の人にも有名な景勝地である石垣島川平湾で真珠の養殖をしている会社で、琉球真珠というブランドで展開している。長い養殖技術への挑戦の末、世界で初めて黒蝶真珠養殖に成功し、石垣市内や空港店舗を主に「琉球真珠」という店舗・ブランドで販売をしている。卸もしているようだ。

2つめは同様に石垣島からの発信でTILLA EARTHというジュエリーブランド。離島への発着ターミナル近くに本店を構えており、八重山地方で織られる絣(かすり)の特徴模様であるミンサーという模様をリングの内側にデザインしたジュエリーを島の工房で企画、制作、販売している。このミンサー織りは本土に伝わって真田幸村で有名な真田紐に姿を変えていったと言われている。石垣島では珍しく2つとも正当派ファッションブランドだ。共に価格帯は地域の土産物価格とは異なり百貨店価格設定である。

石垣島の物品としては食品で有名なペンギン食堂のラー油とか八重山そばとか、雑貨アクセサリー等のお土産商品が中心だが、上記の2ブランドは石垣島発、日本ファッションブランドとして全国市場に挑戦しているといえよう。

他地域としてはアパレル・雑貨分野で地域の背景を背負って地域ブランドとして頑張っている企業に、島根県大田市に本社を置く岩見銀山生活文化研究所という企業がある。地域的に石見銀山は世界遺産にも登録されており、ここで日本の地方の村里の生活様式を背景とした和テイストのアパレルから雑貨にいたるまでのライフスタイルブランドを展開している。大都市の百貨店にも店舗展開しており、著名な都会ブランドに負けずに頑張っている事例もある。

都会で企画されるブランドばかりでなく、このような日本の地域特有の背景やオリジナリティーを持ったブランドが、ブランドの価値をグローバルマーケットに向け魅力的に表現し、日本から世界市場に挑戦してくれる事を切に願いたい。それこそが本当のクールジャパンであり、欧米にはそんなブランドがいくつか見受けられるので。







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