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経営戦略構文100選(仮)/構文19:SCPとRBVの併用/伊藤 達夫

INSIGHT NOW! / 2018年1月22日 4時37分

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伊藤 達夫 / THOUGHT&INSIGHT株式会社

SCPパラダイムとRBV/ケイパビリティ学派の考え方は完全に異なっているが、実務上は目的に応じて都合よく使用する。外部環境から内部環境を分析するのであれば、SCPパラダイムによって設定した業界の競争要因/戦略変数を導き出し、それぞれの変数に対してどのような考え方をしているかによってポジショニングが抽出され、どのようなプロフィット構造になっているかを明らかにし、内部のケイパビリティ/資産を分析し競合に対して優位性を持つ競争優位の源泉までを把握する。内部環境から外部環境を分析するのであれば、ケイパビリティ/資産を前提としてその希少性や模倣困難性を把握した上で、強みとなりうるケイパビリティ/資産を設定し、そこから外部環境における機会や脅威を認識し対応を考えていく。その両面から自社のアクションを定めていくことが実務上は一般的である

こんにちは。伊藤です。2018年が始まってしまいました。戦略ナレッジなんて必要としている人はごくごく少数で、本当のことを書いてもほとんど意味がない気がしていますが、そのような徒労に一応、従事し続けています。

今日の写真の女性はLala*さんです。以下紹介文です。

【エンジニアなんだからFAXも直せるでしょ】の人。愛犬はポメのぽん。メロコア好き、フェスは毎年参戦。無料素材サイトぱくたそでモデルとして出没中(*´∀`)ノ依頼等はこちらまで→summers_ark@yahoo.co.jp

よくわかりませんが、投げやりな感じのする紹介文ですね。まるで私のようです。ええ、人生が少し投げやりです。とにかく仕事が詰まっていて忙しいですからね・・・。今年はもうパンパンに詰まっています・・・。いつまで仕事があるかわからない割に、しばらく仕事がつまっている。目の前の仕事を必死でやらざるを得ない。当たり前ですが、生きるって大変ですね・・・。

ただ、仕事があることの有難みというのは、当然、感じています。ええ。仕事を頂けるのはありがたいことです。事実というのは常に両面的ですね。

そう、今日は両面的に考えるお話です。SCPで考えることと、RBVで考えることと併用する考え方です。

ポーター的にはSCP的に競争優位の源泉を内部プロセスにおいて定める中で、顧客が価値だと思うことに対して、価値が連鎖して提供されていくというパースペクティブを設定する。その見方をバリューチェーンといい、複数事業においてバリューチェーンは当然複数となり、複数のバリューチェーン群をバリューシステムとして定義し、プロセスの共通性等に依拠するシナジーを考えたり、多角化の核となりうるプロセスを考えたりするわけです。

ただ、ここに論理的な苦しさがややある。バリューシステムにおいて、それぞれのバリューチェーンがバリューとして設定していることは違うわけですし、一連の価値の連鎖であるはずのバリューチェーンの1つのプロセスはバリューの一部としての共通性ではなく、機能の共通性からシナジーを生みます。

だから、バリューシステムという考え方はやや苦しいのではないか?と。

普通にプロセスと「ケイパビリティ」という規定の仕方で、プロセスを機能生産過程として捉えていいのではないか?という疑問が湧くわけです。

だから、ケイパビリティでいいと思うわけです。バリューチェーンは事業戦略では、ブルーオーシャン戦略のように価値に効いているプロセスを考えるという意味ですごく使えますが、バリューシステムとして全社の業務システム群を捉える意味はさほどないと思うわけです。

まあ、本当に価値の量化ができて、便益とプロセスコストが測定できるなら、そのプロセスの全社収益への寄与の度合いと事業における寄与の度合いが見えて、事業単体の意思決定でプロセスをカットしてはいけないといった意思決定も可能なのですが、そこは今日は置いておきましょう。

そうすると、多角化やらシナジーやらは素直にケイパビリティと業務プロセスをベースに考えた方が楽ですよね・・・。マッキンゼーの好きなビジネスシステムでもいい。

こう考えていくと、戦略策定プロセスはSCP的な外部環境分析の考え方で事業戦略における競争ルール、戦略変数、自社のポジショニング、競争優位の源泉を静的に分析した上で、競争優位の源泉とその周囲のプロセスをコアなケイパビリティを醸成するプロセスとして捉え、それを活かせる機会や対処すべき脅威を考えていくということになります。

膨大ですよね。事業戦略、全社戦略、コア事業定義、コアプロセス定義、業務改革、マーケティング戦略等を含みます。最近は機会認識とブランディングに対してビジョン策定が必須となってきているのでこれらの分析の前提としてビジョンがあり、ビジョンと価値の関係を明らかにするプロセスも前提となっています。

というようなことをやっていると、プロジェクトは永遠に終わらず、次フェーズ、次フェーズとやっているうちに、数年がたち、中期経営計画の更新の時期がやってくるというお仕事サイクルになってきますね・・・。

どこからどう手をつけてもいいのですが、全体観としてはこんな感じです。

ただ、社内をいじらなくて済むというか、社内の人が批判的に受け取らなくて済むという意味で、外部環境分析からやった方が楽は楽ですよね。事業の外部環境をSCP的に見てみる。どういう競争をどういう固定化された構造によってせざるを得ないのか、自社のポジショニングを特徴づける戦略変数と戦略変数におけるトレードオフ選択は何なのか?ぐらいを明らかにするところから始める。

すると、価値が定義できますから、その価値に対して当社はどのようなプロセス、バリューチェーンでやっているのかがわかる。バリューチェーンを中心として関係者と関係者間のヒト、モノ、カネ、情報のやり取りを明らかにしてビジネスモデルを書いてみてもいいでしょう。

そこから、派生的にブルーオーシャン戦略のように戦略キャンパスを書いてみてもいい。どのような機能、プロセスが顧客が求めることからずれ始めているのか、それともコアとしてあり続けているのか、マージナルに効いているのか。

その上で、内部のプロセス、ケイパビリティを競合のプロセスと比較して、内部の分析に入っていく。

比較の変数としては、VRIOでいいですが、自社のプロセスに組み込まれている時点でも、ブルーオーシャン的な検討をしている時点でも、Vがあることは自明ですから、希少性と模倣困難性、プロセスの組織的実行能力の3つの軸で構いません。要は競合間で似ているはずのプロセス全体のどこが同じでどこが違うか?を明らかにするだけです。いい違いとしての自社ケイパビリティの模倣困難性や希少性、高いプロセス実行能力があり、悪い違いとして他社ケイパビリティの模倣困難性や希少性、高い実行能力があります。

当然、トレードオフ選択であるならば、模倣困難ではあるわけですけどね。都合よくいいとこどりができない現象が模倣困難性を生んでいることの認識は必要でしょう。ただ、厳密にやっていくときついですので、アバウトでも構いません。

時には、プロセスクオリティを上げようというQCサークル的活動は現場レベルでやってもいいですし、競争優位や価値に対して大きく効くという認識なら、経営層からの強い推奨でやってもいいとは思います。というか、この経営層からの強い推奨でやるケイパビリティ強化が戦略的な業務改革なわけです。ポーター的には業務効率化は戦略ではないという面もあるわけですが、プロセスクオリティを上げられる、つまり費用対効果があるならやればいいですよね。

ただ、費用対効果の客観的算出はとても難しくはありますが・・・。

そして、別に「強み」として規定してもしなくても大丈夫ですが、ケイパビリティのコアな部分というのが活かせる機会があるのか?を見ていく。こっちの方が戦略的でしょうか。プロセス自体の能力をというか、効率を高めることを一生懸命やるのはオペレーションレベルでもできますが、ケイパビリティを活かせる機会を探すのは経営層にしかできない仕事です。

QCサークルに触れたように、いわゆる「強み」「弱み」自体をなんとかしようという話になると、弱み自体を克服しようとか、強み自体を伸ばそうとか、理由は特にないけれどやろう的な結論になることが多いです。いわゆるSWOT研修の結果としてなんとなく強みを強化しようとか、弱みを克服しようとかそういうことになっても戦略的な意味はさほどありません。

ただ、ケイパビリティを活かす外部環境を探すというのは、なかなか骨が折れる作業で、もしうまく活かせる機会が見つかれば新しい事業が立ち上がってしまうかもしれません。

いわゆる多角化論点ですし、新規事業論点の検討に等しい。

RBVは強みやらコアコンピタンスを中心として機会を認識して、その機会を活かそうとするわけですから、多角化での新規事業立ち上げには都合がいいロジックになります。新規事業は検討すればするほど、どのような制約条件でやるべき事業オプションを絞り込んでいくかが見えなくなってくる面がありますからね。

その上で、外部の機会を活かすことができて、事業が増えたとしましょうよ。その上でまたSCP的にどういう業界構造だから成立しているとか、業界構造がどう変わるとか、そういった話を考える必要が出てきて、バリューシステムとして、ケイパビリティを含むプロセスとしてシナジーがあるとかないとかそういった話になってくる。

というように、SCPもRBVも両方の視点を使って戦略を考えて事業を運営していくわけです。と、つらつら書きましたがうまく伝わりますでしょうか?

強みとコア・コンピタンスと競争優位の源泉という言葉の違いに悩む必要はありません。SCPの視点での用語の使い方なのか、RBVの視点での用語の使い方なのかといった違いがあるだけです。

なんとなく、SCPとRBVの違いが見えて、戦略を考えるということが見えてきたでしょうか?多少、みなさんの視界がクリアになっていたら幸いです。

それでは今日はこのあたりで。次回をお楽しみに。

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