被害者の権利はどこに?「忘れられる権利」行使の裏に潜む個人情報のダダ漏れ【デジ通】

ITライフハック / 2014年12月3日 15時0分

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インターネットの検索サイトで、自分に不利益な情報が表示されることを防ぐために、「忘れられる権利」を行使しようと、検索結果からの削除を求める人が増えている。ありもしない噂を書きたてられたまま放置された個人ブログ、誹謗中傷のためだけに捨てアカウントで作成され、悪口雑言だらけのまま放置されたブログ、誹謗中傷をツイートしたまま削除されずに残っているツイッターアカウントやFacebookページ。

こうしたサイトはサーチエンジンで検索するとヒットし、否が応でも検索結果に表示されてしまう。元のサイトを削除しない限り、サーチエンジンは、サイトを見付けてはせっせとインデックスを作成するためネット上から、元ページを削除しない限り存在し続けることになる。

検索大手のGoogleはユーザーから、検索結果からの削除依頼に応じており、Googleが定めるポリシーに乗っ取ってこれを実行している。削除に関するポリシーは著作権違反、名誉棄損といったいくつかがあり、正当な申請であると認められたなら検索結果から削除をしている。

例えば著作権違反に関しては比較的速やかに削除してくれるのだが、個人に対する誹謗中傷や名誉棄損に関しては、申請しただけでは削除に応じてくれない。まずは「削除の正当性を証明するために裁判を起こし裁判所命令を提出しろ!」と言ってくることがほとんどだ。

日本はアメリカとは異なり個人が裁判を起こすことが難しく、これを言われたら一般の個人はお手上げといったところだろう。

実はここ1年半ほど、筆者の知人に対する言われなき誹謗中傷の書かれたブログ(GoogleがサービスしているBlogger)内のサイトの削除依頼をGoogleに対し行ってきているのだが、最初は「ブログの管理人に連絡して話し合え」という返事、ところがその管理人に連絡しても一切返事がない。仕方ないので「運営のGoogleで判断して削除してくれないか」と依頼したところ「裁判所からの削除命令を提出しろ!」の一点張りで頑として聞きいれてくれない。

そしてこの状態が一年半以上も続いている。結局、知人はいわれなき誹謗中傷から逃れることができずに現在も心的ストレスを抱えたままだ。日本では裁判を起こす費用もばかにならないし、いちいちブログの記事削除のために高いお金を出し、被害を受けた側が裁判を起こすのは本末転倒だ。

こうした謂れのない誹謗中傷記事の削除に容易に応じてもらえる別の道筋をGoogleには用意してもらいたいところだ。ちなみに別のブログ(FC2ブログ、ライブドアブログ、BIGLOBEブログ)といった国内向けのブログサービスにおいては、運営側にこちらの身分を明かし、事情と経緯を説明して削除をお願いすると、運営側でサイトの内容を細かくチェックし明らかに誹謗中傷であるとの理解を得ることができれば、記事を削除してくれる。一部サービスで筆記による申立書と身分証明書のコピーの郵送といった手順は踏むものの、裁判所命令を出せと言ってくるGoogleの対応とは大違いである。

こうやって、大変な思いをして削除してもらった情報であるが、削除を申請したことによって逆に、検索結果から表示させたくない情報が目立ってしまうこともある。

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例えば、著作権侵害の報告をする際、Googleのポリシーでは報告した人の情報を公開することになっている。つまり、権利侵害をGoogleに訴えると、報告者の氏名といった個人情報がGoogle側から公開されてしまうのだ。「このコンテンツは、〇〇△■(個人の氏名)さんの申し立てにより削除されました」と表示されてしまう。「おいおい、私(俺)の氏名、ダダ漏れやん・・・」といったことになる。

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公開されるのは、Chilling EffectsというサイトやGoogleの透明性レポートのサイト上。

権利侵害をGoogleに訴える際、これらのサイトに自分の氏名を入力しなければならないが、ケースによっては入力した情報が広く一般に公開されてしまう。検索結果には検索から削除されたことが表示され、目的の検索結果自体は削除されたが、逆に申し立てた人の氏名が目立ってしまうという望ましくない状態が発生してしまうわけだ。「あいつのせいで削除された!畜生!」と逆恨みされ、刃傷沙汰に発展、最悪死亡してしまうようなことが起きた場合、「弊社のポリシーに基づいて氏名を公開しただけだ」は果たして通用するのだろうか?

こうした情報が公開されることは、削除依頼フォームにしっかりと書かれている。ただ、これがわかりにくいのか、見逃したり理解できないことが原因で、後で情報が公開されていることに気づいて慌てる人も多くなっている。これは、Googleが削除のプロセスを公開するポリシーにしているからだ。インターネット上の情報は容易に調べられるので、これが良いのか悪いのかは意見が分かれるところだろう。

削除依頼自体を取り消すことも可能であるが、削除依頼時に入力した情報は消えるが、検索結果からは消えない。もはや後の祭りである。

このようなことがおきないように、インターネット上から個人情報を削除したいなら、サーチエンジン側に依頼するのは最終手段とするしかないだろう。なんとかしてその情報が掲載されているサイトの管理人と連絡を取り、その管理人と話し合って削除してもらう方法を先に行うほうがよさそうだ。

スマホやタブレットの普及で、今後こうした個人情報が衆目にさらされることが、どんどん増えてくるだろう。そしてネットのマナーや常識をわきまえない人たちの利用も増えて行き、誹謗中傷や噂だけを根拠に他人を非難するサイトが増加していくだろう。サーチエンジン各社もインターネットサービスを提供している企業も、こういった情報の削除について、再度考え直す時期に来ているのではないだろうか。

上倉賢 @kamikura [digi2(デジ通)]

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