「タカタ問題」の論点整理

ITmedia ビジネスオンライン / 2017年6月19日 6時48分

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日本で最初にエアバッグを装着したのは1987年のホンダ・レジェンド。写真は運転席とともに助手席にもエアバッグを装着した1990年モデル

 経営に失敗したら退場するのは資本主義の大原則だ。淘汰こそが進歩のメカニズムだからだ。エアバッグの巨大リコール問題で対応策を間違い、深刻な窮地にあるタカタは、会社更生ではなく民事再生という方法をとった。要するに倒産の一形態である。ただし、倒産イコール廃業ではない。廃業するケースもあれば、事業を継続することもあるのだ。

 負債が資産を上回ることを債務超過と言うが、企業が倒産するのは債務超過が起きるからだ。実は世間一般に債務超過はこっそりと起きているケースがままある。資産の価値評価などによってバランスシートに細工を行ってごまかすケースが多いが、それでも現実のキャッシュフローが支払いの引き延ばしや隠ぺいではどうにもならなくなり、お金が返せなくなったことが外部に明らかになるわけだ。

 債務超過が金融機関などの外部にバレると、「期限の利益」を失う。それは借金や取引先への支払いなど、事前の約束通りの返済期限の利益を失うという意味で、即時全額の支払いを求められる。ただでさえ資金繰りがひっ迫している最中に即刻一括支払いを求められれば、万事休すとなる。よほどの内部留保がない限りこれを切り抜けるのは難しい。それが債務超過だ。経営者が震え上がる恐ろしい言葉である。

 タカタの場合、エアバッグ関連の改修費用は全世界で1兆円という説もある上、この品質問題で以後タカタ製品の採用打ち切りを決めたメーカーも出てきていることから、債務超過の瀬戸際にある。1兆円の負債は、金額的には戦後製造業で最大とも言われており、営業利益400億円のタカタに負えるレベルでは無いが、その行く末は自動車メーカとの費用負担交渉の成り行きによって大きく左右される。要するに1兆円を誰がどれだけ負担するかという話だ。

 現時点では自動車メーカー各社が改修費用を暫定的に全額立替えて、タカタには全く請求していないから債務超過に陥っていないだけのことだ。だからタカタを見捨てて、採用打ち切りとするメーカーが増えれば、立替費用は容赦無く請求されることになり、廃業するしかなくなる。それがなぜ更正の可能性を残しているかについての詳細は後述する。

 さて、倒産についての一般論に戻ろう。債務超過をどうするかについて、いくつかの段階的分岐点がある。最初に事業継続の可否という分岐があり、廃業するのであれば処分可能な全資産の適正な分配という1点に論点が絞られる。しかし、事業を継続するならば、事業継続に必要な生産資源を精査して確実に確保しつつ、債務の返済金額と期間について債権者の合意を得なくてはならない。

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