中国発「遺伝子操作ベビー」の衝撃 “禁じ手”を使った人類の未来

ITmedia ビジネスオンライン / 2018年12月6日 7時20分

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中国の研究者がゲノム編集された子供が生まれたと明らかにした。これは「狂気の沙汰」なのか(写真提供:ゲッティイメージズ)

 11月26日、米AP通信などが報じたニュースが世界的に大きな物議を醸している。遺伝子を操作する「ゲノム編集」についての記事だ。

 「中国の研究者が、世界で初となるゲノム編集された双子の赤ん坊を産む手助けをしたと主張している。この研究者は、命の青写真を書き換えることができる新しい強力な方法で双子の赤ん坊のDNAに手を加えたという。事実だとすれば、科学と倫理の分野における重大な一歩となるだろう」

 中国・広東省深センにある南方科技大学の賀建奎・副教授が、クリスパー・キャスと呼ばれるゲノム編集技術を使って改変したヒトの受精卵から、双子の女児「ルル」と「ナナ」が11月に誕生したと明らかにした。エイズ感染を防ぐために遺伝子操作したとされるが、このニュースには世界中の科学者たちが激しく反応。中国科学技術省が批判したことに加え、中国生物医学界も11月27日にこの行為を「狂気の沙汰」と強く批判する書簡を公開。日本でも、日本ゲノム編集学会や日本医師会、日本医学会がこの行為を「大きな問題がある」と批判した。

 ただこの話はなぜ「狂気の沙汰」とまで言われるのか、すぐにはピンとこなかった。普通に考えると、生まれる前に遺伝子を操作するのは倫理的に問題があるという話はもっともな気がするが、遺伝子操作はいったい何がいけないのか、はっきりと分からない人も少なくないのではないか。そもそも、どんな危険性を孕んでおり、どこまで「重大」なことなのだろうか。

●「デザイナー・ベビー」というパンドラの箱

 まずヒト遺伝子のゲノム編集について簡単に説明したい。人間のDNAには遺伝子の情報が全て記録されており、DNAは生物の設計図とも言われている。そして、そうした遺伝子情報は専門用語でゲノムと呼ばれている。つまり、ヒト遺伝子のゲノム編集とは、人間のDNAを改変することを指す。

 人間のDNAには、2万2000個程度のさまざまな遺伝子が存在する。生まれ持った先天的な特徴は、遺伝子によってあらかじめ決められている。

 実はここ最近、特に精子や卵子など生殖細胞系のゲノム編集が、数年内には実現すると見られてきた。要するに、技術的には今回のゲノム編集はすぐに実現可能であると認識されていたのだが、賀建奎・副教授は今回、それを実現させたらしい。先日、ある有名な日本人医師と話をする機会があったのだが、この医師は「彼はうそをついてるかもね」とぽろっと言っていた。だが世界的には、副教授が「パンドラの箱を開けてしまった」と大騒ぎになっている。

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