『ジャンプ』伝説の編集長が語る「21世紀のマンガ戦略」【前編】

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年7月24日 8時54分

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学生に語りかける鳥嶋和彦氏

 文化学園大学(東京・西新宿)は4月23日、「Dr.マシリトと語る21世紀のMANGA戦略」と題する特別講義を開催した。

 文化学園大学の「デザイン・造形学科 メディア映像クリエイションコース」では、多彩なゲストが出版・映像・Webのメディア状況を3年生に向けて語る、「新しいメディアのカタチ」という授業が行われている。その一環となる特別講義では、『週刊少年ジャンプ』の元編集長であり、現在は白泉社の代表取締役会長を務める鳥嶋和彦氏が招かれて登壇。同大学の特別外部講師・原田央男氏との対談を通して、デジタル化で大きく変わりつつある漫画業界の現状と今後について語った。

 当日、学生のほか一般聴講者も詰め掛けた教室に登壇した鳥嶋氏は、90分の講義前のあいさつで「電子や紙媒体で定期的に雑誌を買っている人はいますか?」と、挙手を求めた。すると約半数の手が挙がり、「白泉社の新入社員より雑誌を買っているね(笑)」と鳥嶋氏。

 実はここ数年、白泉社の新入社員に同様の質問をしているそうで、「定期的に雑誌を買っている」と答えた社員はゼロだったという意外な結果が語られた。出版業界の内側でも大きな変化が起こっていることがのっけから明かされ、原田講師からの質問で特別講義の幕が上がった。

●「漫画雑誌はもう終わる」と思ったから、『少年ジャンプ』を逃げ出した

原田: 今日はよろしくお願いします。戦後の書籍と雑誌の売り上げは1990年代半ばをピークとして、以後右肩下がりで落ち続けていることはよくご存じのことと思います。そして『少年ジャンプ』が653万部という、世界規模でも未曾有の発行部数を達成したのが1995年。しかもこの年は「Windows 95」が発売され、インターネット元年と呼ばれた年であったことも実に象徴的といえるでしょう。出版業界の業績が悪化した理由の1つが、まさしくPC、スマホ、タブレットといったデジタル機器の普及によるものだからです。紙媒体ではなく電子媒体で漫画を読む傾向が、今現在に至っても続いている。

 日本の出版業界は世界の出版業界の中でも特殊なところがあって、活字本よりも漫画本のほうが売れるような形で営業が維持されてきました。しかしその漫画雑誌の主軸である『少年ジャンプ』ですら、部数減がずっと続いているわけですね。

 そこでまず伺いたいのは、鳥嶋さんは『ジャンプ』が漫画誌のトップに上り詰めて以後、部数が下がり始めるという、大きな曲がり角の時期に編集長を務められたわけですけれども、当時はそういう事態にどう対処されようとしたのでしょうか?

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