日本式経営に“戦略”は存在するのか?――海外の眼が解き明かす「真の日本人像」

ITmedia ビジネスオンライン / 2019年12月3日 7時0分

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【画像】海外の識者から見た「日本人の戦略」

●編集部からのお知らせ:

本記事は、書籍『日本国の正体 「異国の眼」で見た真実の歴史』(著・孫崎享、毎日新聞出版)の中から一部抜粋し、転載したものです。海外の識者の知見から分析した、経営論にも通じる「日本人論」をお読みください。

 私たちはしばしば戦略という文字に出合う。だが、そもそも戦略とは何であろうか。

 試しに、ウィキペディアで「戦略」を検索すると、「特定の目的を達成するために、長期的視野と複合思考で力や資源を総合的に運用する技術・応用科学」(A)とある。

 一方で、私は自分の著書『日本人のための戦略的思考入門』(祥伝社新書)で次のように「戦略」を定義した。「人、組織が死活的に重要だと思うことに目標を明確に認識する。そしてその実現の道筋を考える。かつ、相手の動きに応じ、自分に最適な道を選択する手段」(B)。

 (A)と(B)とどちらが「戦略」の定義としてより核心をついているか、読者諸賢はどうお考えだろうか。

 重要なことは、「戦略」の対象とは、自分にとって「死活的重要な問題」であること、であろう。

 この「戦略」概念を、システムとして確立したのがマクナマラ(フォード社社長、ケネディ大統領時代の国防長官等を歴任)である。彼の戦略論を経営用語で説明したのが次の例である。

 1. 外部環境の把握(いかなる環境におかれているか、例えば企業の戦略での考慮要因は・消費者要求・競争状態・技術水準・一般経済・法的規制)

 2.将来環境の変化の予測

 3.自己能力、状況の把握(いかなる状況にあるか・保有資源・保有能力・投資状況・投資状況)

 4.自己の弱みと強みは何かの情勢判断

 5.課題:組織生存のため何が課題かの観点で集積し検討

 6.目標提案

 7.代替戦略提案

 8.戦略比較

 9.目標と戦略の決定

 10.任務別計画提案

 11.計画検討・決定

 12.スケジュール

出典:馬淵良逸著『マクナマラ戦略と経営』(ダイヤモンド社、1967年)

 私たちが考える「戦略的思考」は、マクナマラの定義のような厳密な条件をクリアしているだろうか。

●決められた「地図」を歩む日本人: ベネディクト『菊と刀』

 〈(日本人は)行動が末の末まで、あたかも地図のやうに精密にあらかじめ規定されて居る〉

 〈人はこの「地図」を信頼した。そしてその「地図」に示されてゐる道を辿(たど)る時にのみ安全であった。人はそれを改め、或(ある)いはそれに反抗することに於てではなくして、それに従ふことにおいて勇気を示し(た)〉

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