新燃費規程 WLTCがドライバビリティを左右する

ITmedia ビジネスオンライン / 2020年10月12日 7時5分

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高燃費をたたき出すヤリスのガソリンモデルにはアイドリングストップ機能が付かない。当然ヤリスクロスも同様

 ここ最近よく聞かれるのが、「最近の新型車ってどうしてアイドルストップ機構が付いてないの?」という質問だ。全部が全部装備しなくなったわけではないが、一時のように当たり前に装備している状況でなくなったのは確かだ。

 それに対してはこう答えている。「燃費の基準になる測定方法が変わったから」

●JC08からWLTCへ

 現在、日本国内での燃費表示は、従来の国土交通省が定めたJC08から、国際基準のWLTCへとシフトしつつある。正確にいえば、新型車はすでに移行済みで、継続生産車は今年の9月1日までに規制が義務化されていたが、コロナの影響で、4カ月延期され、いまだに移行措置の最中ということになる。

 その中身がどう変わったかといえば、JC08で想定していた運転パターンでは、渋滞に巻き込まれて車両が停止しているか、走り始めてからは比較的負荷の低い加減速で速度が上下しているという想定時間が長かったのに対し、WLTCモードでは運転中の燃料消費におけるアイドリングの比率がダウンし、むしろ新たに加わった高加速領域や高速運転域での燃料消費の方が結果に対して支配的になった。

 それは下のグラフの急峻な加速の傾きを比べると分かるだろう。モードの測定時間が伸びて横軸の目盛りが変わっている影響もあるが、それでも加速時の初速と終速のギャップとそれに要する時間は短くなっている。なお国内のWLTCでは、Ex-Highは除外されている。

 この高加速度というのは、例えばBセグメントあたりだと全開加速運転でギリギリというほどの加速なのだ。つまり停止と巡航重視から、高加速重視に試験課題が変わったといえる。

 こうやって試験課題が変わったことが、パワートレインのシステム構成の見直しにつながった。多少条件が違うとはいえ、欧州のNEDCに対しても加速要求が高まっているのは同様で、端的にいえば基準が変わったことで、ダウンサイジングターボのメリットが激減したのだ。

 本来ダウンサイジングターボは、小排気量化と気筒削減でエンジン内部の摩擦抵抗を減らしつつ、過給によって低回転域のトルクを増大させることで、擬似的に、多気筒・大排気量エンジンを低負荷運転させた状態をエミュレーションし、いいとこ取りを考えるシステムだ。

 軸となるのは、最大トルクの発生回転数を下げ、そこを多用することによる低〜中負荷・低回転領域の燃費の向上だ。仕事量はトルクと回転数の積なので、トルクが同じなら回した方が仕事量は増える。けれどそれでは摩擦損失が尋常ではなくなり、燃費が落ちてしまうのだ。

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