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風雲急の新生銀行TOB 金融庁は「モラル欠如」のSBIを認めてよいのか

ITmedia ビジネスオンライン / 2021年9月24日 7時50分

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画像はイメージ、出所:ゲッティイメージズ

 インターネット金融大手のSBIホールディングス(SBI)が、新生銀行(新生)への出資比率を48%まで高めて子会社化する意向を表明し、TOBを開始しました。これは事前通告なしの「突然のTOB」であり、新生側は拒否する意向とみられることから、前代未聞の大手銀行を巡る敵対的TOBになる様相を呈しています。

 SBIによるTOBの裏には、複雑な要素が絡んでいます。一つは、SBIはそもそも2019年段階で新生株を買い進めており、新生に対して連結子会社か持ち分法適用会社になる提案をしていたのですが、新生がこれを拒否。その後もSBIは19%まで株を買い進め、提携秋波を送り続ける中、今年1月に新生がSBIのライバルであるマネックス証券と金融仲介業務で包括提携を結ぶという「禁じ手」に出ます。これに対しSBIの北尾吉孝社長が「信義にもとる」と怒りを隠さず、この禁じ手こそがTOBの引き金になったといわれています。

 もう一つ、この問題に別の観点から大きくかかわっているのが「政府=金融庁」です。新生は大手銀行で唯一、約20年前の金融危機脱却策であった「金融再生プログラム」で注入された公的資金が返済できていない銀行です。その残高は3500億円。政府が3500億円の税金を損失なく回収するためには、新生の株価が7450円以上になる必要があり、SBIのTOB表明前段階での株価1440円から考えると、はるかに遠い水準にあるといえます。

 監督官庁である金融庁からすれば、1日も早い公的資金回収を望んでいるわけですが、現状の新生の経営スタンスでは望むべくもないという絶望的な状況にあるわけです。そこに降って湧いたのが今回のTOBでした。SBIが新生を子会社化し、同社主導による新たなビジネスモデルの下で成長軌道を描いた段階で、上場を廃止して市場価格ではない事業価値を基にした株価算定による相対での株式売買が可能になり、念願の公的資金回収実現の可能性が現実味を帯びてくるのです。

 SBIは「第4のメガバンク構想」として、既に業績不振の8地銀を集めた地銀救済プログラムの受け皿銀行に新生を使う、という構想を明らかにしています。一方の金融庁は、地銀再生プログラムを検討する中で、20年前の大手行再生時にとった「再編とゴミ箱づくり」戦略がベストであるとの経験則を持っています(なお、この「ゴミ箱」という表現は、政府の大手行再生策検討当時に大蔵省銀行局職員が筆者に対して実際に使った言葉です)。

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