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YOSHIKIが描く「AIと音楽ビジネス」の未来 日本主導のルール整備はなぜ必要か

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月31日 14時53分

 「ハルシネーションは面白いと思います。僕も作曲しているときに『急に、何だこれ?』みたいなことが起こって、想像できない自分が現れ、自分の許容範囲を超えた作品ができることがあります。でも、そこから新しい発想が生まれるんです。AIによるハルシネーションでも、そういうことが起こってくると思います」

 AIにYOSHIKIの曲や過去のインタビューなどを数多く学習させれば、それこそAI YOSHIKIが彼に代わって作曲することも技術的には不可能ではない。作業効率を上げる観点からみれば、AIに依存する作曲家が出現する可能性もある。利益を追求する企業の論理でいえば、もっと積極的に活用してもいいはずだ。

 8月1日の「YOSHIKI+」発表記者会見でYOSHIKIは、10月に首の手術をすると発表した。技術が進歩した未来に、もしこのようなことがあった場合、本物のYOSHIKIはリハビリに専念し、具体的な仕事はAI YOSHIKIに任せるという考え方もできる。しかしYOSHIKIによれば、生きざまや人生観を反映することを含めた曲作りは、AIにはまだ無理だという。

 「作曲には生みの苦しみがあります。作曲家は本当に苦しんで、苦しんで曲を作ります。人生はジェットコースターのようにいろいろなことがあり、悲しみなど振れ幅があればあるほど面白く、その過程を僕はそのまま曲に反映させています。ただ、そういったことはAIにはまだできないんじゃないですか」

 YOSHIKIは「AIに脅威を感じている」と話す一方で「僕は守りより攻めのタイプの人間なんです。だから恐れながらもAIの世界に自分から入っていき、自分自身でサービスを作ろうと思いました」と明かす。それがAIを使ったYOSHIKI+だったというわけだ。

 「もしAI YOSHIKIを自分で作らなかったとしても、いずれ『フェイクYOSHIKI』みたいな偽物が現れるでしょう。事実、米国ではすでに著作権や肖像権に関しての裁判がたくさん起こり“裁判の雨”のようになっているんです」

●日本主導で「AIのルール作り」をすべきワケ

 日本政府は8月2日、AIの法規制などを検討する有識者会議「AI制度研究会」の初会合を開催した。YOSHIKIは、音楽業界で生成AIを使うにあたって、著作権の保護にまだまだ課題があると指摘する。

 「AIによって、著作権を含め多くの権利はほぼ崩壊したと考えています。AIはいろいろなアーティストの作品を学んでいますが、あるフレーズについて、どのアーティストのどの部分を学習したのかまで特定するのはなかなか難しいでしょう。だからこそルール作りが必要なんです」

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