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井上尚弥を“モンスター”に 大橋ボクシングジム会長に聞く「持続可能なジム経営」

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月31日 11時3分

井上尚弥を“モンスター”に 大橋ボクシングジム会長に聞く「持続可能なジム経営」

取材に応じた大橋ボクシングジムの大橋秀行会長(撮影:武田信晃)

 NTTドコモは9月3日、映像配信サービス「Lemino」で「NTTドコモ Presents Lemino BOXING ダブル世界タイトルマッチ 井上尚弥 vs TJ ドヘニー&武居由樹 vs 比嘉大吾」を独占無料生配信する。東京・有明アリーナで開催する同大会を主催するのが、井上尚弥も所属する大橋ボクシングジム(横浜市)だ。元WBA・WBC世界ミニマム級王者の大橋秀行会長が1994年に開設して創立30周年。井上尚弥も含む5人の世界チャンピオンを生みだし、今や「王者製造工場」とも呼ばれている。

 井上尚弥の代名詞“モンスター”の名付け親も大橋会長だ。5月には、34年ぶりに東京ドームでボクシング世界戦を興行するまでにジムを成長させるなど手腕をみせた。一方で近年は、大橋会長が現役時代に所属していたヨネクラボクシングジムのほか、協栄ジム、白井・具志堅ボクシングジムが閉鎖するなどジムの経営環境は厳しさを増している。

 大橋会長も、ジムの経営を安定させるまでには苦労したという。その一方で、今日のような成長をするためのしたたかな計算もあった。利益が出せるジム、持続可能なジム経営とは何か。大橋会長に話を聞いた。

●経営の安定が第一 そのために目指した「楽しいジム」とは?

 大橋ジムはこれまでに5人の世界チャンピオンを生み出している。

 「ジムを開いたとき(師事した故米倉健司会長が開いた)ヨネクラジムが5人チャンピオンを作ったので、それを追い抜くのが私の目標でした。追い抜くまで、あと1人です」

 ジム経営の要点は、会員をいかに多く集められるかにある。損益分岐点を聞くと「100人いればなんとか運営していける」そうだ。ジムを開いた直後は、応募が殺到して150人も集まったという。当時SNSはなく、告知は今ほど、容易ではなかった。

 「1993年2月の現役最後の試合から1年後の1994年2月7日に引退会見をしました。その間にいろいろな準備をして、会見時に『実は2月22日にジムを開きます』と発表しました」と、念入りな準備をしたことが実を結んだという。現在、登録者は約400人いて「業界で1番だと思います」と話す。月会費が1万2000円だというから、会費収入だけでいくらあるかは計算できるだろう。

 今ボクシングジムの業界では、一般人が受けるコースの月会費が1万2000円前後と、暗黙の了解によって、ほぼ固定されているという。コロナ禍が明けた後、円安やインフレも進み、値上げを容認する風潮が生まれた。チャンピオンを5人も輩出している大橋ジムであれば、付加価値をつけて2万円にしても通いたい人はいるはずだ。筆者は、ボクシングジムの閉鎖が相次ぐ背景には、価格設定に自由度がないこともありそうだと感じる。

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