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不快な汗がドロンする? グンゼの「アセドロン」累計85万枚を突破 「ベタつき」解消で大ヒット

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年8月31日 6時10分

 さらに、糸の鞘部(外側を覆う部分)には隙間をつくって水の通り道を確保し、汗を素早く効果的に拡散。素早く汗を吸ってベタ付きを残さない、「肌離れ」の良い着心地を実現した。

●独自構造で吸水性が2倍に

 この独自構造により、汗を素早く吸収し、広範囲に拡散させることで、ベタつきを軽減する効果を生み出した。グンゼによると、従来のシーズン商品と比較して、吸水性は約2倍、吸放湿性は約25%向上したという。

 開発には通常の倍以上となる約3年の期間を要した。藤本さんは「珪藻土の構造を模倣するといえば簡単に聞こえるが、実現するのは非常に困難だった」と振り返る。

 データ上の性能向上だけでなく、消費者が実感できる効果の創出や、インナーウェアに求められる清潔感を保つためのカラーなど、細部にまでこだわりを持って開発に取り組んだ。

 夏場は吸水速乾や冷感をアピールするインナーウェアが市場に出回る中、同社は「アセドロンの特徴は肌離れの良さ」を強調する。インナーウェアだけでなく、靴下やパジャマなど幅広い商品ラインアップを展開することで、日常生活のあらゆる場面で汗による不快感を解消することを目指している。

●「アセドロン」をファンクショナルブランドへ

 グンゼは開発と並行して新たなマーケティング戦略にも着手し、従来のブランド中心のアプローチではなく、機能そのものをブランド化する「ファンクショナルブランディング」を採用した。

 日和さんは「これまで『ボディワイルド』など、ブランドを前面に出してきたが、今回は機能をブランディングし、端的にベネフィットや機能性が伝わるような形を目指した」と説明する。

 商品名やロゴマーク、キャッチコピーにも特に力を入れた。「アセドロン」という商品名には、「汗」を「ドロン」と消し去るイメージを込めたほか、「ベタつき、瞬時にどこへやら」というキャッチコピーと合わせ、商品の機能を直感的に伝える狙いがある。

 ネーミングについては社内でも賛否があったという。「汗」という言葉自体がやや汚いイメージを持つという意見もあったが、最終的には分かりやすさと新規性を重視して決定した。実際、印象的な商品名が話題を呼び、認知度の向上に一役買ったといえる。

 また、消費者がアセドロンの情報に接触する回数を重視したプロモーションを展開。KPIを設定し、テレビCMも含めて組み立てを行った。こうした戦略的なアプローチが、商品の認知度と購買意欲の向上につながったとグンゼは分析している。

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