テレワーク継続で「社員に優しくしたのに」不満がなくならない……企業が見落としているコト
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月25日 10時10分
ウェルビーイングが注目される背景は?
在宅勤務やフレックスタイム制など“従業員に優しい”人事施策や働き方は、近年のトレンドだ。その一方で、
1カ月前まで普通に働いていた従業員が、仕事のストレスから体調を崩してしまい、離職してしまった。
従業員にイキイキと働いていてもらうため、副業の解禁やフレックスタイムの導入などを行っているが、不満を解消できていない。
と悩む企業は少なくないようだ。その影には、誤ったウェルビーイング施策があるかもしれない。
本連載では、ウェルビーイングが注目される背景や、ウェルビーイング経営を推進するポイント・注意点などについてお伝えしていく。
●ウェルビーイングが注目される背景
昨今、人事領域において「ワークエンゲージメント」「マインドフルネス」など、働く人の気持ちや心に重きを置いたキーワードに注目が集まっている。中でも、注目度が高くなっているのがウェルビーイングだ。
ウェルビーイング(Well-being)は、直訳すると「幸福」「安寧」「福利」。WHO憲章では「病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、全てが満たされた状態(Well-being)にあること」と定義されている。
ウェルビーイング市場が活況を呈している米国では、数多くのサービスベンダーが参入している。米NPO「GLOBAL WELLNESS INSTITUTE」の調査によると、米国におけるウェルビーイングの市場規模は2022年時点で約1兆8000億ドル、日本円にすると約262兆円にも上っている。同年の日本における市場規模が約35兆円(予測)であることと比較しても、米国での注目度の高さがうかがえる。
なぜ米国で注目されているのか。これは、流動性の高い労働市場において、優秀な従業員を採用・確保し続けるために「従業員体験」が重視されていることが大きいだろう。
米国はジョブ型雇用が主流であり、入社後の異動や昇給はほとんどない。優秀な従業員はキャリアアップのために転職することが多く、企業は優秀な従業員を確保するために、「従業員体験」を魅力的にデザインする必要がある。その一環として、従業員の健康促進や幸福実現といったウェルビーイング向上の取り組みが盛んになっているのだ。
こうした流れを受けて、日本企業でもウェルビーイングの重要性が認識されるようになった。SXサービスを提供するUPDATER(東京都世田谷区)が企業の人事担当者を対象に実施した調査では、69.1%の企業が「ウェルビーイングへの取り組みの重要性を実感している」と回答している。
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