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経団連副会長に聞く「日本企業に必要な組織論」 経営者が集めるべきものとは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 14時53分

経団連副会長に聞く「日本企業に必要な組織論」 経営者が集めるべきものとは?

アイティメディアの取材に応じた経団連副会長の小路明善氏

 従業員数約2万9000人、売上高2.7兆円以上を誇るアサヒグループホールディングス。サントリーと並ぶ国内大手飲料メーカーで、主軸となる飲料事業の拡大だけでなく、さまざまな教育事業にも力を入れる企業だ。

 例えば広島県庄原市と連携し、市内の小学生を対象に「アサヒの森」を通じた環境教育を実施している。アサヒの森とは、庄原市と三次市にかけた保有林で、その総面積は2165ヘクタール、東京ドーム約461個分にもなる森だ。起業家育成にも積極的に取り組み、2022年には子ども向け起業家教育プログラム「Goodday KidSTART」をマレーシアで実施した。社内向けにもグロービスグループと提携し、従業員の成長支援に取り組む。

 教育事業に注力する背景の一つには、小路明善会長の人材教育への理念がある。小路会長は長年にわたって教育・大学改革推進委員会委員長を務め、経団連副会長の立場としても、学校教育機関を通じた生涯学習を実現する全世代型教育システムの構築を目指す。

 8月21日には、国際戦略経営研究学会と早稲田大学イノベーション戦略研究部会共催のシンポジウム「産学官に求められるリスキリング・人材育成のあり方」(早稲田大学国際会議場)にも登壇。人材育成の重要性をあらためて訴えた。なぜ、小路氏は人材育成に力を入れるのか。前編【経団連副会長に聞く日本企業の人材育成の課題 社員のリスキリングが伸び悩む背景は?】に続き、小路氏に聞いた。

●2兆2000億円以上のM&A 百戦錬磨のトップが語る「組織論」

――小路会長は2016年にアサヒグループHDの社長に就任して以降、世界で2兆2000億円以上のM&Aを実現してきました。近年ではオーストラリア市場にも進出していて、今や海外での売上高が全体の65%、利益面では半分を稼ぐグローバル企業となっています。海外企業の買収で世界を見てきた中で、日本企業の課題をどう見ていますか。

 海外駐在の経験はありませんが、M&Aで数十カ国に足を運びました。その中で実感したのは、日本には多様性が十分にあるとはいえないということです。 例えばオーストラリアや北米は名実ともに多民族国家ですよね。多民族国家というのは異文化が入りまじった社会であり、異なる意見を持ちながら議論することは日常茶飯事です。その点、日本はいまだに同一性のある社会を形成しています。

 日本企業では同質性がどうしても求められ、トップや組織の考えに対して異論を差し挟む環境が乏しいと感じています。ゼロではありませんけどね。つまり異論は「異質」と受け取られてしまうわけです。それが組織のことを考えた意見であってもです。異論は異質と受け止められ、異質はどちらかというと排除される傾向がまだ残っているように感じます。

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