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経団連副会長に聞く「日本企業に必要な組織論」 経営者が集めるべきものとは?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 14時53分

 もちろん近年、日本でもダイバーシティーなどの考え方が広まり、改善傾向にはあります。しかし、そのスピードは、国際標準に追い付くにはまだ遅いと思います。

――逆に日本企業の良さはどこにあると思いますか。

 まず、勤勉だということですね。非常に真面目で誠実で、仕事に打ち込む姿勢や視座は非常に高いと感じています。その勤勉性に多様性を足したら、これほど強い社会はないのではないでしょうか。だからこそ、こうした勤勉性と誠実さが、みんなと同じ考え方を作り上げていこうとする方向に走ってしまうと、多様性が一気に失われてしまうのです。

 1人1人が勤勉で誠実で真面目に仕事に打ち込みつつ、打ち込んだ人たちの個性や多様性をどんどん引き出す社会に向かっていかねばなりません。

――小路会長はアサヒで、人事や組織作りにも長く携わっています。その経験が多様性の重視につながっているのでしょうか。

 私は中国唐代に書かれた書物『貞観政要』の考え方を参考にしています。そこには「社長が右と言ったら、部下は左の考え方を言ってくれ」というディベート的な考え方が示されています。『貞観政要』は唐の皇帝、太宗の言行録なのですが、太宗は何でも物事を言える部下を従えていて、その部下に自分がやってきたことに対して、常に異論や思ったことを言ってもらうようにしていたそうです。

 この教えにもあるように、私は自分がやってきたことが全て正しく適切だったとは思っていません。これまで当社を経営するにあたっても、常に意見を言ってもらうことによって、自分の経営の舵を修正してきたんですね。全て自分の考え方に従ってやってきたわけではありません。

 例えば今日のように講演をしたあとにも、秘書に「今日の講演はどうだった」と聞くようにしています。悪いことばかり言われると自信をなくしてしまうので、次に生かすために、いいことを2つ、悪いことを2つ聞くようにしています。

 会社経営においても同様で、周囲や部下には「私の良かった判断と悪かった判断を2つ言ってくれ」と言ってきました。私はそうやって、経営の舵の方向性を常に調整してきたつもりです。

――小路会長は近年の生成AIやデジタル化の動きを、どう見ていますか。

 デジタル社会、そしてAI社会というのは、どんどん進めていかなければならないと思います。過去の人類の歴史を見ても、産業構造の変化に伴って、経済成長と社会の発展、生活の向上が図られてきました。

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