苦労して採った優秀人材が「合わない」とアッサリ離職……“採用の悲劇”を防ぐ2つのポイント
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月27日 8時0分
1つは「資質」で、性格や基礎的な能力が該当します。これは大人になるまでに身についたものの見方・考え方や行動のパターンで、入社後にもあらわれる可能性が高いからです。
資質の中で際立った要素は、あまり意識せずとも発揮できる強みといえます。資質を確認するには、実際の職務行動を観察するか、過去の経験談を数多く聞き、一貫した特徴を探ります。採用選考では応募者とコミュニケーションを取れる時間が限られていることが多いため、適性検査を併用するのも有効です。
採用時に見ておきたいもう1つの人物特徴は「働くことに対する志向・価値観」です。「チームをリードしたい」「専門性を発揮したい」などのように職場での行動の動機となる考えのことで、長期的にはキャリアを方向付ける要素です。
経験を積む中で明確化し、組織への定着に深く関わるため、特に中途採用においては資質とあわせてチェックしましょう。
過去の経験において何を考えて行動を取ったかや、自社で働くに当たってどのような希望や期待を持っているかを尋ね、その理由を掘り下げます。転職理由との一貫性を確認することも重要です。
最近は、新卒採用でも志向や価値観を確認する会社が増えています。高度にパーソナライズされたサービスに慣れた若年層は「自分がいいと思うものを選びたい。合わないものは早めに除外したい」という気持ちが強いためです。
当社が就職活動生を対象に実施した「2024年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査」でも、ここ数年、勤務地や配属先組織が確約されるかどうかが志望度や入社意思を大きく左右するようになっています。企業としては、選考中の辞退を防ぐとともに、入社前後で認識のギャップを生まないよう、志向・価値観を押さえて情報提供を行いたいものです。
新卒採用特有の留意点として、応募者の働くことに対する考えが固まっていない可能性があります。そのため、現時点での考えをたずねるとともに、応募者の視野を広げたり、言語化を手伝ったりするようなアプローチを取るとよいでしょう。
具体的には、自社にどんな考えをもった人がいるかを紹介する、就職活動中に感じたことを問いかける、発言から垣間見えた特徴をフィードバックするといった方法が有効です。
特定の職務における即戦力を求める場合には、知識・スキルを採用の要件とされることも多いでしょう。しかし、同様の職務内容でより良い待遇のポジションの募集が社外に出てきた場合に、知識・スキルを生かせることだけを理由にリテンションを図ることは難しいといえます。自社の一員として働き続けてもらうことを考えるならば、資質・志向・価値観のマッチングも考慮する必要があります。
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