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パナが首都圏で「地産地消EC」 生産者と消費者をつなぐ「市場」で新風

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 14時56分

パナが首都圏で「地産地消EC」 生産者と消費者をつなぐ「市場」で新風

パナソニックホールディングスの芦澤慶之モビリティ事業戦略室主幹(左)と、三茶ワークカンパニーの近藤陽太プロジェクトマネージャー

 家電大手のパナソニックホールデインングス(HD)が、地元の生産者などと一緒になって、野菜などの食品が受け取れる地産地消のECプロジェクト「ハックツ!」の第2弾を開始した。ベースは東京・世田谷区の三軒茶屋だ。

 このプロジェクトは2023年5月、神奈川県藤沢市で第1弾をオープンした。今回はそれに次ぐもので、数万人規模の会員になると見込む。パナソニックのような大企業が、本業と異なる消費者の買い物までサポートするのは異例だ。社会課題の解決に挑むことによって、新しい企業価値を提供しようとしている。

●生産と消費の仕組みを変える パナの奮闘

 先行した藤沢市では、地元の約20の生産者が参加した。地元の有機野菜、みそ、パン、コーヒー豆などを販売。地元のホテルなどと連携して市内観光やヨガ体験のツアーなども始めようとしている。会員数は現在1075人ほどで、商品を受け取る「受け取りSPOT」も少しずつ増えてきているという。

 藤沢での実験に手応えを得たことによって、パナソニックは人口が密集している世田谷区の三軒茶屋で第2弾のプロジェクトを本格的に動かすことにした。

 このプロジェクトを指揮しているパナソニックHDの芦澤慶之モビリティ事業戦略室主幹は「日本は社会システムの転換期にある。人と人、モノとモノをつなぐECプラットフォームの構築が必要で、生産と消費という社会の仕組みをコミュニティーの力によって変えたい」と話す。『共助』の理念に基づいて、消費者と生産者に新しいプロジェクトを提案している。

 具体的には「生産者の思いや考えを消費者が共感することを軸に、新しい購買体系を作り、農産物が不作の時には消費者に助けてもらい、豊作の時には消費者に還元する『共助』の世界を確立させる」と話す。

 農産物の栽培はどうしても天候に左右される。そのため豊作の時もあれば不作の時もあり、安定した生産物の供給が難しい。このプロジェクトに農家が参加すれば、不作の時には消費者から支援してもらえて、不安定な収入を安定させることに役立つメリットがありそうだ。

●新しいコミュニティーマーケット

 消費者側の注文方法は、一般的なECサイトとあまり変わらない。違うのは注文する曜日と、受け取る曜日が指定されていることだ。消費者は週に1回注文し、金曜日に受け取りSPOTで商品をピックアップする。地域密着型のビジネススキームで、自宅までの宅配はしない。作る側にとっても注文数だけ作ればよいため、食品ロスの心配がなく、生産者側はスケジュールを立てやすい。

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