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りそなデータサイエンス部長に聞く「金融DXの課題」 AI活用で何が変わる?

ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月29日 14時44分

りそなデータサイエンス部長に聞く「金融DXの課題」 AI活用で何が変わる?

金融業界でいち早くデジタル化に取り組んできたりそな(写真提供:ゲッティイメージズ)

 AIなどの進歩により金融DXが加速度的に進む中、伝統的な銀行はどのように対応しようとしているのか。

 金融業界でいち早くデジタル化に取り組んできた、りそなホールディングス・データサイエンス部長の大西雅巳氏に、金融DXの現状と将来について聞いた。前後編でお届けする。

●1000万DL超 アプリ利用者が収益増に2.6倍貢献

 大西氏が率いるデータサイエンス部は、データの力を使って、銀行業務の生産性向上に取り組む。時にはマーケティングの強化やIT関連の業務も手掛け、新しい価値を提供する。

 現在、りそなグループ4銀行の個人利用者は約1600万人。そのうち店頭への来店、もしくは渉外営業担当者の訪問によって実際に“会える利用者”は100万人にすぎないという。つまり残りの1500万人は“会えない利用者”であるため、この利用者に対するサービスや情報の提供が課題だった。

 “会えない利用者”にも各種サービスを提供できるバンキングアプリ「りそなグループアプリ」のダウンロード(DL)数は、累計1000万DLを突破。利用者は順調に伸びている。2021年5月、南昌宏社長にインタビューした際には、同年3月末でのアプリDLが「360万DLでグループ全体の利用数が来店数より多かった」とのことだった。それから3年が経過し、倍以上に伸びている。会えない利用者の多くがこのアプリを利用しているわけだ。

 大西氏は「アプリを提供することによって、さまざまな情報が蓄積されますので、これを基にアプリで配信する(顧客向けの)アドバイスを日々、改良しています。6年間で約1000のマーケティングモデルのパターンを作って試行錯誤しています」と話す。

 例えば新しいアドバイスを配信する際には、ターゲットとなる層の全てに配信するのではなく、ターゲット層の中でも一部配信しないグループを設けて効果を比較するなど工夫しているという。結果として、現在は約600のマーケティングモデルが稼働している。

 「セールス的なアドバイスに偏らないようにし、顧客一人一人の役に立ちそうな情報、例えば誕生日特典などのお知らせや便利な使い方の案内、ポイントがたまるキャンペーンなどをお送りするよう心掛けています」

 アプリの利用拡大は、りそなグループの収益拡大にも貢献している。日ごろからアプリを使っている利用者から得られる収益は、そうでない利用者の2.6倍で、銀行の収益増につながっているという。アプリ利用者は、アプリからのアドバイスにより提案されてくる各種サービスの利用可能性が上がり、手数料などを含めて銀行の収益につながっているというわけだ。

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