やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月21日 9時35分
小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス(以下セブン&アイ)が、カナダに本社があり世界各国でコンビニやガソリンスタンドなどを手がけるアリマンタシォン・クシュタール(以下ACT)からの買収提案を受けました。
日本国内では「ほかの有名企業もターゲットになりうるのか」「日本政府からNOを言えるようにするべき」といったように、多くの方々が買収に対して一種のアレルギー反応を示したように感じました。今回の買収提案とは関係ないとコメントしていますが、セブン&アイはこれまでしてこなかったコア業種への変更を、今年の6月以降に財務省からの照会を受けて行いました。変更の理由は開示されていないので真相は分かりませんが、防衛本能のように感じてしまったのは私だけではないでしょう。
確かに日本を代表する小売り最大手の一角が買収対象になるということは、私自身も驚きを隠せませんでした。しかし同時に、この買収提案はACTにとって非常に合理的であり、日本企業が今後自らの価値を考える上でのきっかけにすべきだとも感じました。
今回はそのように考えた理由を、セブン&アイとACTの財務諸表の各項目を見比べながら解説します。
●驚きだったセブン&アイへの買収提案
セブン&アイの買収提案に驚いたのは、日本国内では小売業界で最も優れている大企業であり、かつ海外、特に米国でもきちんと成長をしていたことから、まさかそのような企業が買収提案を受けるなどということは想定していなかったからです。通常であれば、評価の高い企業は株価が高く、買収されるのではなく、むしろ買収する側です。実際にセブン&アイも買収して大きくなった企業です。
そうした企業ですら買収候補として挙がってくるということが驚きでしたが、その中身自体は買収する側にとってみれば合理的だと思います。
セブン&アイは今回の買収提案を受けて、日本政府からNOと言えるような規制業種申請を出したという報道が出ていました。セブン&アイは行政サービスの代行や金融業なども行っていることから、日本にとって安全保障上重要な企業であり、「買収されるなんてとんでもない」という意見もあるのだと感じます。
ただ、株主の立場からすると、本来高い価格で買収されるということはプラスであるはずです。こうした反応は「買収されるのは良くない」ということが前提としてあり、そもそも買収されること自体をネガティブに見られている証左と言えます。
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