やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年9月21日 9時35分
なぜそうした認識が浸透しているのかは分かりません。ただ、私自身の考えとしては、買収されること自体が悪だとは思っていません。むしろ買収によって企業が成長できるのであれば、その道を選ばなくてはならないと考えています。
●セブン&アイとACTは比較される対象
ビジネス的な観点で見ていくと、セブン&アイは米国での成長を重視している企業です。それを理解するために、2021年の決算説明資料から見ていきましょう。この決算資料は2020年3月から2021年2月末までの期間のもので、ちょうどコロナの影響が初めて決算に現れたタイミングです。
この頃セブン&アイは、米国において買収を通じて直営店を積極的に展開し始めていた時期でした。セブン&アイはアジアでも店舗展開していますが、ほとんどがライセンスで、直接経営していないところも多く存在します。そのため、海外での大規模な直営は、米国が初めてだったといっても過言ではありません。
この当時の決算説明資料では、数字の羅列が目立ち、詳しい説明はあまり示されていませんでした。
そんななか、2022年2月に動きがありました。米国の投資ファンドであり、セブン&アイの株主であるバリューアクト・キャピタルが、セブン&アイに対して不採算事業を切り離し、コンビニ事業に経営資源を集中させ、投資をして成長させるように言ってきたのです。
セブン&アイは店舗数は多いものの、海外ではライセンスがほとんどで、実入りは少ない状況でした。そのなかでバリューアクトから、自分たちの勝ちパターンを使って積極的に海外に出店し、成長していくべきだという強い改革提案をされた形です。
また、バリューアクトはACTを引き合いに出すことで、セブン&アイの海外事業の非効率性を指摘し、運営の見直しを要求しています。そのため、今回の買収報道が公表される以前から、ACTとセブン&アイは互いに比較される対象でした。
●粗利を増やす戦略
この指摘を受けてか、2022年の決算説明書は、2021年とは打って変わってかなり詳細に記載されています。また、セブン&アイは米国のガソリンスタンド併設型コンビニのスピードウェイを買収をして成長する姿勢も示しました(もちろん、もともと計画されていたのでしょうが)。
2022年の決算説明資料で、セブン&アイはコンビニの付加価値を日本国内で高めつつ、海外においてはどのような商品が伸びているのかを示していました。
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